郷田梨枝子は、叔母と並んで東京駅のプラット・フォームに立つてゐる。そして、今着いたその汽車から降りて来る筈の父親の顔をちつとも覚えてゐないのである。 「すぐ教へてね、叔母さま……。いやだわ、いろんな人が顔を突き出して……」 「ああ、お待ちな …
著者 | 岸田国士 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「婦人公論 第二十一巻第六号~第二十二巻第五号」1936(昭和11)年6月1日~1937(昭和12)年5月1日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約3時間41分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約6時間9分(300文字/分) |