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惜
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お
ふりがな文庫
“
惜
(
お
)” の例文
「なにか、
心
(
こころ
)
から
娘
(
むすめ
)
を
喜
(
よろこ
)
ばせるような
美
(
うつく
)
しいものはないものか。いくら
高
(
たか
)
くても
金
(
かね
)
をば
惜
(
お
)
しまない。」と、
両親
(
りょうしん
)
は、
人
(
ひと
)
に
話
(
はな
)
しました。
笑わない娘
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
女学生は女学生で、このお面のカムフラージュによって、あこがれのボーイッシュ・ガールを、声を
惜
(
お
)
しまず声援することができた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
みんなほんとうに別れが
惜
(
お
)
しそうでその顔いろも少し青ざめて見えました。ジョバンニはあぶなく声をあげて泣き出そうとしました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
砲弾にうたれ、裂けてくだけて散る人の命というものを、
惜
(
お
)
しみ悲しみ止どめることが、どうして、してはならないことなのだろう。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
惜
(
お
)
しいけど、僕、あきらめるよ。それに、そんなもん、大して
欲
(
ほ
)
しかないんだもの。銀貨の一つやそこら、あったって
無
(
な
)
くったって!
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
▼ もっと見る
老人
(
ろうじん
)
たちは、ごんごろ
鐘
(
がね
)
に
別
(
わか
)
れを
惜
(
お
)
しんでいた。「とうとう、ごんごろ
鐘
(
がね
)
さまも
行
(
い
)
ってしまうだかや。」といっている
爺
(
じい
)
さんもあった。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
九円じゃ東京までは帰れない。茶代なんかやらなければよかった。
惜
(
お
)
しい事をした。しかし九円だって、どうかならない事はない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
義眼の副司令の女を、柳ちどりと思っていたのは笹枝弦吾の
惜
(
お
)
しい
誤解
(
ごかい
)
だった。柳ちどりは確かに機関銃で殺された踊り子だった。
間諜座事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
なによりも名を
惜
(
お
)
しむ武士にとって、これはいつまでも耐えられる問題ではない、折さえあったら華ばなしくたたかって汚名を
雪
(
そそ
)
ごうと
死処
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
けれどもこれほどのえらい
将軍
(
しょうぐん
)
をただ
葬
(
ほうむ
)
ってしまうのは
惜
(
お
)
しいので、そのなきがらに
鎧
(
よろい
)
を
着
(
き
)
せ、
兜
(
かぶと
)
をかぶせたまま、
棺
(
ひつぎ
)
の中に
立
(
た
)
たせました。
田村将軍
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
(なんじゃ、また勧進か)大衆は、銭乞いに、
懲
(
こ
)
りている。
惜
(
お
)
しげなく、彼を残して、散ってしまう。ただ一人、立ち残って
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なるほど。そうか。——しかし、大河にしちゃ
惜
(
お
)
しかったね。おしまいごろにはかんしゃくをおこしていたようだったが。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
香織
(
かおり
)
は
櫛
(
くし
)
で
解
(
と
)
かしながらも、『
折角
(
せっかく
)
こうしてきれいにしてあげても、このままつくねて
置
(
お
)
くのが
惜
(
お
)
しい。』と
言
(
い
)
ってさんざんに
泣
(
な
)
きました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
夢中
(
むちゅう
)
で
振
(
ふ
)
り
払
(
はら
)
ったお
蓮
(
れん
)
の
片袖
(
かたそで
)
は、
稲穂
(
いなほ
)
のように
侍女
(
じじょ
)
の
手
(
て
)
に
残
(
のこ
)
って、
惜
(
お
)
し
気
(
げ
)
もなく
土
(
つち
)
を
蹴
(
け
)
ってゆく
白臘
(
はくろう
)
の
足
(
あし
)
が、
夕闇
(
ゆうやみ
)
の
中
(
なか
)
にほのかに
白
(
しろ
)
かった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
間もなく不量のことで負傷し、
肋膜炎
(
ろくまくえん
)
を起してその年の冬、即ち一八九〇年十一月八日、多くの
弟子達
(
でしたち
)
に
惜
(
お
)
しまれながら、パリの宅に
長逝
(
ちょうせい
)
した。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
「いえ……その……
金魚
(
きんぎょ
)
ですよ。こいつは三
匹
(
びき
)
ともかなり
上等
(
じょうとう
)
のランチュウです。
死
(
し
)
んでしまつているから、どうも
惜
(
お
)
しいことしたと
思
(
おも
)
いまして」
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
その頃のヘルンは、瞬時を
惜
(
お
)
しんで仕事に熱中していたため、以前のようには、度々妻と一所に旅行したり、散歩したりすることができなかった。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
人込みの中で騒ぎたてては
面目
(
めんもく
)
ないという
理窟
(
りくつ
)
をその時私は胸の中で考えていたのだが、実は振り放すには余りに
惜
(
お
)
しいような気もしていたのだ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
婦人
(
おんな
)
は早や
衣服
(
きもの
)
を
引
(
ひっ
)
かけて
縁側
(
えんがわ
)
へ入って来て、
突然
(
いきなり
)
帯を取ろうとすると、
白痴
(
ばか
)
は
惜
(
お
)
しそうに押えて放さず、手を上げて、
婦人
(
おんな
)
の胸を
圧
(
おさ
)
えようとした。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
僧都が(いや、わしの行く先は、ここではない)と、云うと、その男が声を荒らげて(命は
惜
(
お
)
しくないのか。その
衣
(
きぬ
)
を
脱
(
ぬ
)
いで、どこへでも勝手に行け)
大力物語
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
成経 わしは他人の
惜
(
お
)
しみのかかった獲物をほしいとは思わない。(俊寛の前に小鳥をたたきつける)持ってゆけ!
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
それから
寝
(
ね
)
ている我が子に
名残
(
なご
)
りを
惜
(
お
)
しみつつ「
恋
(
こ
)
いしくば訪ね来てみよ
和泉
(
いずみ
)
なる———」と障子へ記すあの歌。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
十
分
(
ぷん
)
の休憩時間が
惜
(
お
)
しいくらいに早くたってしまう。ありがたいのは雨の日の昼休みだ。天下晴れて語りあう。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「もっとくれ!
残
(
のこ
)
すのは
惜
(
お
)
しい、おれが一
人
(
り
)
でいただいちまおうよ。」といいながら、とうとう
一人
(
ひとり
)
で、みんな
食
(
た
)
べてしまって、
骨
(
ほね
)
を
食卓
(
テーブル
)
の
下
(
した
)
へ
投
(
な
)
げました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
又人に物を
呉
(
く
)
れと云った事が一度も無いから付けた名前で、慈善小僧というのは、この小僧が貰った物の余りを決して
蓄
(
た
)
めず他の
憐
(
あわ
)
れな者に
惜
(
お
)
し
気
(
げ
)
もなく呉れて
終
(
しま
)
い
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
起居
(
ききょ
)
振舞
(
ふるまい
)
のお
転婆
(
てんば
)
なりしは言うまでもなく、修業中は髪を
結
(
ゆ
)
う
暇
(
いとま
)
だに
惜
(
お
)
しき
心地
(
ここち
)
せられて、
一向
(
ひたぶる
)
に書を読む事を好みければ、十六歳までは髪を
剪
(
き
)
りて前部を左右に分け
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
惜
(
お
)
しいところで、またこの次にしなくてはならない。戦争は、
明日
(
あす
)
にならなければ始まりません。
キャラコさん:08 月光曲
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
啻
(
ただ
)
に氏の
私
(
わたくし
)
の
為
(
た
)
めに
惜
(
お
)
しむのみならず、士人社会
風教
(
ふうきょう
)
の
為
(
た
)
めに深く悲しむべきところのものなり。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
湖畔の学生生活が空気のように身について来ると、習慣的な朝夕の
起
(
お
)
き
臥
(
ふ
)
しの間に、しんしんとして、寂しいもの、
惜
(
お
)
しまれるもの、痛むものが心臓を
掴
(
つか
)
み絞るのであった。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
鮒
(
ふな
)
やたなごは
宜
(
い
)
い
迷惑
(
めいわく
)
な、
釣
(
つ
)
るほどに
釣
(
つ
)
るほどに、
夕日
(
ゆふひ
)
が
西
(
にし
)
へ
落
(
お
)
ちても
歸
(
かへ
)
るが
惜
(
お
)
しく、
其子
(
そのこ
)
出
(
で
)
て
來
(
こ
)
よ
殘
(
のこ
)
り
無
(
な
)
くお
魚
(
さかな
)
を
遣
(
や
)
つて、
喜
(
よろこ
)
ぶ
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
たいとでも
思
(
おも
)
ふたので
御座
(
ござ
)
りましよ
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
蝶子の肚はそろそろ、三度目のヤトナを考えていた。ある日、二階の窓から表の人通りを眺めていると、それが皆客に見えて、商売をしていないことがいかにも
惜
(
お
)
しかった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「そんなものは
惜
(
お
)
しくもないけれど、いったいおまえは何者だ」とおたしなめになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
棒砂糖少し持てきたりしが、煮物に
使
(
つか
)
わんこと
惜
(
お
)
しければ、無しと答えぬ。
茄子
(
なす
)
、
胡豆
(
いんげん
)
など醤油のみにて煮て来ぬ。
鰹節
(
かつおぶし
)
など加えぬ味頗
旨
(
むま
)
し。酒は麹味を脱せねどこれも旨し。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
亭「へい良いお
鑑定
(
めきゝ
)
で
入
(
いら
)
っしゃいまするな、恐入りました、
仰
(
おお
)
せの通り
私共
(
わたくしども
)
仲間の者も
天正助定
(
てんしょうすけさだ
)
であろうとの評判でございますが、
惜
(
お
)
しい事には何分
無銘
(
むめい
)
にて残念でございます」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
小布
(
こぎぬ
)
の意味であります。一つは南部地方のもので「
菱刺
(
ひしざし
)
」と呼びます。「こぎん」の方はもうほとんど絶えましたが、近頃それを
惜
(
お
)
しんで再び立ち直ろうと試みられております。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
当人の
心事
(
しんじ
)
如何
(
いかん
)
は知るに
由
(
よし
)
なしとするも、
左
(
さ
)
るにても
惜
(
お
)
しむべきは勝氏の
晩節
(
ばんせつ
)
なり。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
今日と
成
(
な
)
りては
惜
(
お
)
しき事をしましたと
談次
(
だんじ
)
、先生
遽
(
にわ
)
かに
坐
(
ざ
)
を
起
(
たち
)
て
椽
(
えん
)
の方に
出
(
いで
)
らる。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
されど翁はもはやこれを
惜
(
お
)
しとも思わざりき。
たき火
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
つまり
離別
(
りべつ
)
を
惜
(
お
)
しむ記念にするのであろう。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
知りなば
惜
(
お
)
しき銭をすてむや
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
といって
惜
(
お
)
しんだ。
王成
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
そして
惜
(
お
)
しげもなく、それをアネモネの
花
(
はな
)
といわず、
葉
(
は
)
といわず、
頭
(
あたま
)
からふりかけました。
花
(
はな
)
は、どんなにびっくりしたことでしょう。
花と人の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
みんなほんとうに
別
(
わか
)
れが
惜
(
お
)
しそうで、その顔いろも少し青ざめて見えました。ジョバンニはあぶなく声をあげて
泣
(
な
)
き出そうとしました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ここのうちは、いか銀よりも
鄭寧
(
ていねい
)
で、親切で、しかも上品だが、
惜
(
お
)
しい事に食い物がまずい。昨日も芋、
一昨日
(
おととい
)
も芋で今夜も芋だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大人
(
おとな
)
たちは、あまり
時間
(
じかん
)
がないし、もうみんなじゅうぶん
別
(
わか
)
れを
惜
(
お
)
しんだのだから、
鐘供養
(
かねくよう
)
はしなくてもいいだろう、といった。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
捜査本部に
於
(
おい
)
ても、それはたいへん遺憾なことであった。せっかく屋上に追いつめた痣蟹を逃がしてしまったことは
惜
(
お
)
しかった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何の
惜
(
お
)
し
気
(
げ
)
もなく七堂
伽藍
(
がらん
)
の善美や九百余坊の繁昌
仏国
(
ぶっこく
)
をすてて、北へ北へ、たましいの
住
(
す
)
み
家
(
か
)
を求めて、孤影を旅の風にまかせて歩いた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
惜
(
お
)
しんだりうらやましがる
同僚
(
どうりょう
)
もいたが、とくに引きとめようとしないのは、大石先生のことがなんとなく目立ち、問題になってもいたからだ。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
(
惜
(
お
)
きましょ。透通いて見えん事は無けれどもよ……障子越は目に雲霧じゃ、
覗
(
のぞ
)
くにはっきりとよう見えんがいの。)
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
有王 私の尊いご主人様、私はあなたのために命を
惜
(
お
)
しみませぬ。幼い時からあなたに受けたご恩を思えば、私はよろこんであなたのために死にまする。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
惜
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“惜”を含む語句
可惜
口惜
愛惜
最惜
負惜
名残惜
残惜
骨惜
惜気
不惜身命
哀惜
殘惜
物惜
口惜涙
惜別
惜氣
口惜紛
惜哉
愛好惜
惜毛
...