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惜氣
其中には、さすが
御大名丈あつて、
好い
繪の
具を
惜氣もなく
使ふのが
此畫家の
特色だから、
色が
如何にも
美事であると
云ふ
樣な、
宗助には
耳新らしいけれども
他目にも
數あるまじき君父の恩義
惜氣もなく振り捨てて、人の
譏り、世の笑ひを思ひ給はで、弓矢とる御身に
瑜伽三密の
嗜は、世の無常を如何に深く觀じ給ひけるぞ。
以前の
卯平であればさういふ
味が
普通で
且佳味く
感ずる
筈なのであるが、
數年來佳味い
醤油を
惜氣もなく
使用して
來た
口には
恐ろしい
不味さを
感ぜずには
居られなかつた。