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仰
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お
ふりがな文庫
“
仰
(
お
)” の例文
「無断で
室
(
へや
)
へ踏みこむのみか、いきなり縄をかけて、武士らしくとは、何たる暴言。この郁次郎には
解
(
げ
)
せませぬ、理由を
仰
(
お
)
っしゃい」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ほんに、そう
仰
(
お
)
っしゃれば秋らしい晩でございますこと。けれどわたくし、こう云う晩は淋しゅうて
滅入
(
めい
)
るような気がいたします」
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
『わざわざ
遠方
(
とおく
)
からあまたの
軍兵
(
つわもの
)
を
率
(
ひき
)
いて
御出征
(
おいで
)
になられるようなことはありませぬ……。』
橘姫
(
たちばなひめ
)
はそう
仰
(
お
)
っしゃって
居
(
お
)
られました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
須利耶さまがお従弟さまに
仰
(
お
)
っしゃるには、お前もさような
慰
(
なぐさ
)
みの
殺生
(
せっしょう
)
を、もういい
加減
(
かげん
)
やめたらどうだと、
斯
(
こ
)
うでございました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「あなたがいくら巧者なことを
仰
(
お
)
っしゃっても駄目ですわ、この噴水には水の
仙女
(
ニンフ
)
が一人も現れていませんわ」
噴水物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
「ずるい!
仰
(
お
)
っしゃいな。」と、下から見上げる姉の眼に、かち合うと、すぐあらぬ方に、視線を
外
(
そら
)
して
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
如何
(
いか
)
なる件でありまするか、御遠慮なく
仰
(
お
)
つしやつて下ださい」篠田は
火箸
(
ひばし
)
もて灰かきならしつゝあり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
それで、根本の公娼廃止と云ふ問題はあなたの
仰
(
お
)
つしやるやうな正当な理由から肯定の出来る事ですが、私は矯風会の人達の云ひ分に対しては矢張り軽蔑します。
青山菊栄様へ
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
アノ時
阿父
(
おとっ
)
さんは
何故
(
なぜ
)
坊主にすると
仰
(
お
)
っしゃったか
合点
(
がてん
)
が行かぬが、今
御存命
(
ごぞんめい
)
なればお前は寺の
坊様
(
ぼうさま
)
になってる
筈
(
はず
)
じゃと、何かの話の
端
(
はし
)
には母が
爾
(
そ
)
う申して居ましたが
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
『
日出雄
(
ひでを
)
や、お
前
(
まへ
)
は
今
(
いま
)
此
(
この
)
災難
(
さいなん
)
に
遭
(
あ
)
つても、ネープルスで
袂別
(
わかれ
)
の
時
(
とき
)
に
父君
(
おとつさん
)
の
仰
(
お
)
つしやつたお
言葉
(
ことば
)
を
忘
(
わす
)
れはしますまいねえ。』と
言
(
い
)
へば、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
此時
(
このとき
)
凛乎
(
りんこ
)
たる
面
(
かほ
)
を
擧
(
あ
)
げ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「わたくしなぞには歌のことなんか分りっこはございませんが、そう
仰
(
お
)
っしゃられれば、好い歌は好いと思われますね。」老刀自はしかたがなさそうに
合槌
(
あいづち
)
を打つのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
かつて紀介様はいつか何かのまぎれに、ふいにお
仰
(
お
)
せになったことがございました。
玉章
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「まあ、まあ、そんなに
仰
(
お
)
っしゃらないで、どうかお先へ。」とチチコフが言った。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
よこしてくれた時は、皆大騒ぎよのい。吉田屋の姉さま、おりつ小母さままで来てて、『あれ、これが捨様かなし、そいったってもまあ、こんなに大きく成らっせいたかなし』なんてそう
仰
(
お
)
ッせて……
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
先生が庭の離れから画を持って来いとお
仰
(
お
)
せになりましたので。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
そして、何という不人情な事を
仰
(
お
)
っしゃるだろうと思います
婦人改造の基礎的考察
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
それで
私
(
あたし
)
が
専
(
もっぱ
)
ら案内役を
承
(
うけたまわ
)
ったんで、何か御覧になりたいものはって云ったら、阪神間の代表的な奥さんに会わせろって
仰
(
お
)
っしゃるの
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
(おっかさんねむられないよう。)と
仰
(
お
)
っしゃりまする、
須利耶
(
すりや
)
の
奥
(
おく
)
さまは立って行って
静
(
しず
)
かに頭を
撫
(
な
)
でておやりなさいました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ナニ
人間
(
にんげん
)
の
世界
(
せかい
)
にも
近頃
(
ちかごろ
)
電話
(
でんわ
)
だの、ラヂオだのという、
重宝
(
ちょうほう
)
な
機械
(
きかい
)
が
発明
(
はつめい
)
されたと
仰
(
お
)
っしゃるか……それは
大
(
たい
)
へん
結構
(
けっこう
)
なことでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
『……おっ
母
(
か
)
さん、
折角
(
せっかく
)
ですが、何度
仰
(
お
)
っしゃっても、環を家へ入れるなどという事は、許されるものではありません。もう、云わないでください』
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「何でもむかし東海道でよくお目にかかった作楽井の息子と言えばお判りでしょうと
仰
(
お
)
っしゃいますが」
東海道五十三次
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
吉野さんの方はどうかと聞けば、ヤレ
私
(
わたし
)
が貧乏人の
女
(
むすめ
)
であつても貰ひたいと
仰
(
お
)
つしやるのでせうかの
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「道世様が、こう
仰
(
お
)
っしゃいました。この若者は、遠い田舎から都へ出て来て、親類もない者に違いない。傷が癒れば、家来にして使うてやろうと、仰っしゃいました。」
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
勿論
(
もちろん
)
君
(
きみ
)
が
御决心
(
ごけつしん
)
で、
運命
(
うんめい
)
を
全
(
まつた
)
く
天
(
てん
)
に
任
(
まか
)
せて、
再
(
ふたゝ
)
び
小端艇
(
せうたんてい
)
で、
印度洋
(
インドやう
)
の
波
(
なみ
)
を
越
(
こ
)
えて、
本國
(
ほんごく
)
へお
皈
(
かへ
)
りにならうと
仰
(
お
)
つしやれば、
仕方
(
しかた
)
がありませんが、
私
(
わたくし
)
は
决
(
けつ
)
して、
其樣
(
そん
)
な
無法
(
むほふ
)
な
事
(
こと
)
を
望
(
のぞ
)
みません
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「あの浜田さんと
仰
(
お
)
っしゃるお方や、それから外のお方たちも、お一人でお越しになった事がございましたかと存じますが、………」
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「
雁
(
かり
)
の童子と
仰
(
お
)
っしゃるのは。」老人は
食器
(
しょっき
)
をしまい、
屈
(
かが
)
んで
泉
(
いずみ
)
の水をすくい、きれいに口をそそいでからまた云いました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
『たった一
度
(
ど
)
しか
逢
(
あ
)
いません……。お
爺
(
じい
)
さんが、あまり
逢
(
あ
)
っては
良
(
い
)
けないと
仰
(
お
)
っしゃいますから……。わたしそんなに
逢
(
あ
)
いたくもない……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
と、お笑いになりながら、康清へ大杯をやれ、と
仰
(
お
)
っしゃる。満座も笑った。笑いがやむと康清はいま聞いた読人
不知
(
しらず
)
の歌をいい声で朗詠しだした。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
井上の奥様がサウぢやない、是れ/\の話でツて、私なぞには解からぬ何か
六
(
むづ
)
ヶ
敷
(
しい
)
事
(
こと
)
仰
(
お
)
つしやいましてネ、其れでモウ内相談が
定
(
き
)
まつて、来月三日の教会の廿五年の御祝が済むと
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
夫人
(
おくさん
)
!
先刻
(
せんこく
)
貴女
(
あなた
)
も
左樣
(
さう
)
仰
(
お
)
つしやいましたねえ。
私
(
わたくし
)
も
眞個
(
ほんたう
)
に、
此世
(
このよ
)
でまた
貴女
(
あなた
)
にお
目
(
め
)
にかゝらうとは
思
(
おも
)
ひ
設
(
まう
)
けませんでした、
實
(
じつ
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
ですよ、
一體
(
いつたい
)
あの
時
(
とき
)
は
如何
(
どう
)
して
御助命
(
おたすかり
)
になりました。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「浜さん、黙っていないで何か
仰
(
お
)
っしゃいよ。———あの、綺羅子さんは何ですか、いつから浜さんとお友達におなりになって?」
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「いまは会うこと成らぬが、
儂
(
み
)
が隠居でもした後には、ゆるゆる会ってつかわそう——と、かように惣左衛門どのへ
仰
(
お
)
っしゃったことがおありだそうで」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、さう
仰
(
お
)
っしゃってはあんまりでございます。それでお名前を何と云はれましたでございませうか。」
月夜のけだもの
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「はあ、その時はお二人ぎりで、今日はホテルに昼間のダンスがあるからと
仰
(
お
)
っしゃって、お出かけになったんでございますが、………」
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
もちかえて、出仕しようと
仰
(
お
)
っしゃった父上のお気もちを、わたくしとて忘れません。……それに、わが
家
(
や
)
のうちも、なんだかこのごろは、明るくなったし
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で私のおたずね致したいことはパンフレットにもありました通り動物がかあいそうだからたべないとあなた方は
仰
(
お
)
っしゃるが動物というものは一種の器械です。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「じゃあ、………もしか先にお帰りになったら、十一時に迎えに出ているように
仰
(
お
)
っしゃって下さらない? 電話をかけるつもりだけれど」
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
さあ
仰
(
お
)
っしゃい、見つけましたよ。この月の扇の持ち主はだれですか。——と責めたのである。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どうだらう。お客さまはこの通りの型でいゝと
仰
(
お
)
っしゃるが、君たちの意見はどうだい。」
毒蛾
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
お師匠様は鶯や雲雀の方がお前
等
(
ら
)
より忠義者だと
仰
(
お
)
っしゃるが忠義なのも無理がない、私等よりも鳥の方がずっと大事にされていると云った
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「どうしてそんなことを、
仰
(
お
)
っしゃるのです。あなたはまだまだお若いではありませんか。」
マリヴロンと少女
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「その……何と
仰
(
お
)
っしゃいましたッけ、桐代さんでしたか、千坂様のお嬢様は」
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから三四年になると
仰
(
お
)
っしゃっていらっしゃいましたが、と云うので、幸子は成る程そんなこともあったのを思い出した。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「何も
仰
(
お
)
っしゃったんではございませんがちょっとしたらご存知かと思ひましたので。」
土神と狐
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「いえ、
仰
(
お
)
っしゃったのは、ご
幕下
(
ばっか
)
のお方で……。すると、おん大将の新田殿は、それを聞いて橋の途中からお戻りになり、たいそうご機嫌のわるいお声で、お侍たちを叱ッておいでられました」
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何にしても
中姉
(
なかあん
)
ちゃんに一遍様子を見に来て貰いたい、と、雪子
娘
(
とう
)
さんは
仰
(
お
)
っしゃっていらっしゃいます、と云うのであった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「何も
仰
(
お
)
っしゃったんではございませんがちょっとしたらご存知かと思いましたので。」
土神ときつね
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
待ちわびていた
養父
(
ちち
)
からの返事である。返書が来たところをみると、若い二人を迎える使いはよこさないものとみえる。養父はどう考えているのだろうか、どう処置をせよと
仰
(
お
)
っしゃるのだろうか。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そう
仰
(
お
)
っしゃるのも一往はきこえておりますけれども、まえ/\から家来どもがじぶんをばかにするという
僻
(
ひが
)
みをもっていらっしゃるところへ
盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「いやいや、そのご
謙遜
(
けんそん
)
は恐れ入ります。早速
竜巻
(
たつまき
)
に云いつけて天上にお送りいたしましょう。お帰りになりましたらあなたの王様に海蛇めが
宜
(
よろ
)
しく申し上げたと
仰
(
お
)
っしゃって下さい。」
双子の星
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
仰
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
“仰”を含む語句
仰向
被仰
仰臥
仰山
仰反
仰付
仰々
欽仰
仰有
大仰
渇仰
御仰
仰言
有仰
仰聞
仰天
振仰
随喜渇仰
讃仰
渇仰者
...