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零
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お
ふりがな文庫
“
零
(
お
)” の例文
始めは木の間を
罩
(
こ
)
めた霧の間から、時折八ヶ岳の頂上が望まれたが、下るに従って霧は大粒となり、梢から露が雨のように
零
(
お
)
ちて来る。
朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
夕方から
零
(
お
)
ち出した雪が暖地には
稀
(
めず
)
らしくしんしんと降って、もう宵の口では無い今もまだ
断
(
き
)
れ
際
(
ぎわ
)
にはなりながらはらはらと降っている。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それが村で持余された重右衛門の
亡骸
(
なきがら
)
を焼く烟かと思ふと、自分は無限の悲感に打れて、殆ど涙も
零
(
お
)
つるばかりに同情を
濺
(
そゝ
)
がずには居られなかつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
外に立てば、銀河は天に横たわり、露は
零
(
お
)
ちて、
旌旗
(
せいき
)
うごかず、更けるほどに、
寂
(
じゃく
)
さらに寂を加えてゆく。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
身は学舎にあり、中宵枕を排して、燈を
剪
(
き
)
りて亡友の為に哀詞を綴る。筆動くこと極めて遅く、涕
零
(
お
)
つること甚だ多し。
相距
(
あひへだゝ
)
ること二十余日、天と地の間に於てこの距離は
幾何
(
いくばく
)
ぞ。
哀詞序
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
▼ もっと見る
零
(
お
)
ちたる影や
紀念
(
かたみ
)
の
花小草
(
はなをぐさ
)
よ
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
病みては
零
(
お
)
つる
泪
(
なみだ
)
のみ
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
或
(
あるひ
)
は
露
(
つゆ
)
と
溢
(
こぼ
)
れ
零
(
お
)
ち
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
見れば男は露一厘身動きなさず無言にて思案の
頭
(
こうべ
)
重く
低
(
た
)
れ、ぽろりぽろりと膝の上に散らす
涙珠
(
なみだ
)
の
零
(
お
)
ちて声あり。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
空は瑠璃色に冴えて、仰ぐ梢からは露が
零
(
お
)
ちて来る。崖(麹岩の名がある)からのり出した日蔭つつじの黄花が、薄暗い木蔭にほんのりと暖い色を浮べる。
釜沢行
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
その手の指の先にても、これこの露にさはるなら、たちまち
零
(
お
)
ちて消えますぞえ。
北村透谷詩集
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
舌よりも真実を語る涙をば溢らす眼に、返辞せぬ夫の方を気遣ひて、見れば男は露一厘身動きなさず無言にて思案の頭重く
低
(
た
)
れ、ぽろり/\と膝の上に散らす
涙珠
(
なみだ
)
の
零
(
お
)
ちて声あり。
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
零
常用漢字
中学
部首:⾬
13画
“零”を含む語句
零落
零余子
零点
飄零
零敗
零砕
零細
断簡零墨
零陵
御零落
零下
零々落々
零露
凋零
零落果
零落末裔
零餘子
霜零而
飄零風泊
零羊
...