)” の例文
新字:
拔け荷の取引を濟ませて歸つて來た彈三郎は、一杯機嫌で棧橋へかゝると、首尾しゆびよく茂野の仕掛けたわなちて、板を踏み外した。
手を盡して調べ拔いて、萬に一つの手拔りの無いところまで運んで置いたとは知るまい、——わなちたのはこの平次ではなくて、お前だつた
怪盜鼬小僧は、その晩佐久間町の大川屋忠兵衞の家に押入り、三百兩といふ大金を奪つて、三輪の萬七の張りめぐらしたわなに、完全にちてしまつたのです。
まだ三十臺の若盛りで、腕つ節も智惠も人並に優れ、少し向う見ずで輕率ではあつたにしても、惡者のわなちて、手籠にされるやうな男ではなかつたのです。
こんな恐ろしい罠にち、惡獸のやうに死んでしまつたといふのは、何んといふ淺ましい皮肉でせう。
お二人の身體はもつれ合つたまゝ、夜の眞黒な水の中へ、音も立てずにち込んでしまひました。
幾度かめては、廣間の樣子を覗き、幾度か氣をうしなつては何刻となく深い眠にちました。
私は、お妙の阿魔あまに、勝手にされ過ぎました。この上あの女を生かして置いちや、生きながら地獄の底までち込むに違ひないと思ひ、一と思ひに、手馴れた楊弓で射殺しました。
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
明日の日は死ぬかも知れないといふ破目にち込んで居たんですね
たうとう御朱印ごしゆいんの傳次郎の父親、船頭の傳六といふ惡者の手にち、危ふく吉原へ叩き賣られるところでしたが、それよりは妾奉公をさせて、幾度も/\支度金をかせがせた方が實入りになると知つて
「へツ、へツ、到頭ち込みやがつたか」
萬兵衞は深く暗い緘默かんもくちます。