)” の例文
そして、又、他の一口のミルクをさがしに行くのです。けれども、木虱は乳をしみます。何時もその管から流し出しはしないのです。
彼女は、彼女のながい人生に必要のない余計なものはみんな、しげも無くすてて了って、今では血の色まで透きとおっていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
さきに半円の酒銭さかてを投じて、他の一銭よりもしまざりしこの美人のたんは、拾人の乗り合いをしてそぞろに寒心せしめたりき。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
忠利は真摯しんしな求道者として沢庵の高示を仰ぎ、沢庵もまた、忠利を教え導くにあらゆる努力をしまなかった。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この開展かいてんせる瑩白色花蓋えいはくしょくかがいへんの中央に、鮮黄色せんおうしょくを呈せる皿状花冕さらじょうかべんえ、花より放つ佳香かこうあいまって、その花の品位ひんいきわめて高尚こうしょうであることに、われらは讃辞さんじしまない。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「あれは一知がラジオの械器をこわしたのじゃないらしい。婆さんが費用をしんで止めさせたものに違いない。一知さんも可哀そうにのう。タッタ一つの楽しみを取上げられて」
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
私の名を出さないでも済ませる方法もあったろうではないか、相手は小新聞なのだから、何とか手を廻せば伏せてしまうことが出来たろうものを、兄さんはそう云う場合にお金をしむからいけない
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
汗をしむ奴等は?
白い魔の手 (新字新仮名) / 長沢佑(著)
酒がえんだろう? 無えなら取って来い、金がしいなら俺の家から持って来い、こもかぶりの一本や二本なら何時いつでも用意してあらア、そこえらの、けちなさむらいとは
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
渠はその平生へいぜいにおいてかつ百金をしまざるなり。されども今夜ふところにせる百金は、尋常一様の千万金にあたいするものにして、渠が半身の精血ともっつべきなり。渠は換えがたく吝しめり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、人間は、彼等に食物をやる事をしむだり、彼等を働かせすぎたり、適当な保護をしてやらない。そして、彼等から乳を取り、被毛ひもうを取り、皮をとり、肉をとるなど、実にいろんなものをとる。