夢は呼び交す:――黙子覚書―― (新字新仮名) / 蒲原有明(著)
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
それによく似た流行を趁う人の群だ、自分の趣味でも主張でもなく、人のあとにくっついてうろうろする、煩わしいが罪のない気の毒な人達だ。
続スウィス日記(千九百二十三年稿) (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
二三日の後、我は新月の光を趁ひて、又同じところに來しに、こたびは自ら禁ずること能はずして、進みて灰色の寺壁の下に立ち、格子窓を仰ぎ視たり。
即興詩人 (旧字旧仮名) / ハンス・クリスチャン・アンデルセン(著)
冬の間は比較的麓の方に下っているのだそうであるが、晩春になると雪解の跡に萌え出づる瑞々しい芳草を趁うて、上へ上へとのぼり、夏は全く山上を棲処としている。
遊牧期にある民族としては、こうした習俗は当然のことであって、実際を言うと水草を趁うて転々した時代においては、屍体のことなどに屈托しては居られなかったに相違ない。
涼を趁うといっても、海はまだ羽田、大森でさえ開けない、上野や道灌山の森蔭へ行って寝ころぶくらい、さなくば近郊の滝めぐり、目黒の不動、角筈の十二社、王子名主の滝
文士の生活:夏目漱石氏-収入-衣食住-娯楽-趣味-愛憎-日常生活-執筆の前後 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかれどもかかる流行的理論を趁いて軽々しく政体その他の変改を主張することは国民論派のあえてせざるところなり。何となればこの論派はいたずらに改革そのものを目的とするにあらず。
自由に、楽んで、内なる光明を趁って
ファウスト (新字新仮名) / ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(著)
同じやうな型にはまつた作、流行を趁つたやうな作、チヤンと構図と構成のきまつたやうな作、さうした作の多いのは、つまり対世間の作者が多いからである。
続スウィス日記(千九百二十三年稿) (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
武州公秘話:01 武州公秘話 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)