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生
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お
ふりがな文庫
“
生
(
お
)” の例文
野に生まれて、野に
生
(
お
)
い
立
(
た
)
って、そして野に食物をあさる群れの必ず定まって得る運命——その悲しいつらい運命にお作も
邂逅
(
でくわ
)
した。
ネギ一束
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
生
(
お
)
い長じてはべつべつな主君に仕え、年久しく会いもせず、たまたま、相見たと思えば、
公
(
おおやけ
)
の使節たり、また一方の臣下たる立場から
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先日のお言葉のように
生
(
お
)
い先が哀れに思われます。しかし、そちらへこの子が出ましてはまたどんなにお恥ずかしいことばかりでしょう。
源氏物語:19 薄雲
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
その中でもこの地方のやや高山がかった植物界は、南国の海べに近く
生
(
お
)
い立った自分にはみんな目新しいもののように思われるのであった。
沓掛より
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼は桑の木の方へ向いて、根元のあたりに
生
(
お
)
い茂った新しい草の緑を
眺
(
なが
)
めるともなく眺めて、そこで俥の通過ぐるのを待った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
賢吉
(
けんきち
)
は、そのそばへいってみると、かきの
木
(
き
)
の
苗
(
なえ
)
が、みょうが
畑
(
ばたけ
)
の
端
(
はし
)
の
方
(
ほう
)
に一
本
(
ぽん
)
生
(
お
)
い
出
(
で
)
て、
大
(
おお
)
きな
葉
(
は
)
をつやつやさしています。
僕のかきの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ことによると自分の
生
(
お
)
い立ちには、何かの秘密が
匿
(
かく
)
されていそうだ位のことは気のつきそうな年頃になっても、私はいっこう疑わなかった。
花を持てる女
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そのさま人のつくりたる田の如き中に、人の
植
(
うゑ
)
たるやうに苗に
似
(
に
)
たる草
生
(
お
)
ひたり、
苗代
(
なはしろ
)
を
半
(
なかば
)
とりのこしたるやうなる所もあり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
童
(
わらわ
)
かとすれば年老いてその
貌
(
かお
)
にあらず、法師かと思えばまた髪は
空
(
そら
)
ざまに
生
(
お
)
い
上
(
あが
)
りて
白髪
(
はくはつ
)
多し。よろずの
塵
(
ちり
)
や
藻屑
(
もくず
)
のつきたれども打ち払わず。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これより始終谷を下り、日没
椶櫚
(
しゆろ
)
生
(
お
)
ふるエニンに到り、
独逸
(
どいつ
)
人のホテルに投ず。今日は終日サマリヤの山を行けるなり。行程わづかに七里余。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
折しも秋の末なれば、屋根に
生
(
お
)
ひたる
芽生
(
めばえ
)
の
楓
(
かえで
)
、時を
得顔
(
えがお
)
に色付きたる、その
隙
(
ひま
)
より、
鬼瓦
(
おにがわら
)
の傾きて見ゆるなんぞ、
戸隠
(
とがく
)
し
山
(
やま
)
の
故事
(
ふること
)
も思はれ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
天地の運行に従って百草は
下萌
(
したもえ
)
をし、
生
(
お
)
い立ち、花をつけ、実を結び、枯れる。人もまた天地の運行に従って、生れ、生長し、老い、死する。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
そはわが先見に誤りなくば、今
子守歌
(
ナンナ
)
を聞きてしづかに眠る者の頬に鬚
生
(
お
)
ひぬまに彼等悲しむべければなり 一〇九—一一一
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
築山陰
(
つきやまかげ
)
の
野路
(
のぢ
)
を写せる
径
(
こみち
)
を行けば、
蹈処無
(
ふみどころな
)
く地を
這
(
は
)
ふ
葛
(
くず
)
の乱れ
生
(
お
)
ひて、
草藤
(
くさふぢ
)
、
金線草
(
みづひき
)
、
紫茉莉
(
おしろい
)
の色々、
茅萱
(
かや
)
、
穂薄
(
ほすすき
)
の
露滋
(
つゆしげ
)
く
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その池の
水際
(
みずぎわ
)
には、
蘆
(
あし
)
やよしが沢山
生
(
は
)
え茂っている上に、池のぐるりには大木が
生
(
お
)
い茂って、
大蛇
(
だいじゃ
)
でも住みそうな気味の悪い大池でありました。
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
この渾一体の意志は下は路上に
生
(
お
)
うる一葉より、上は人間に至るまで、完全に現われている。たとえばその意志は幻燈の火のごときものである。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
苔
(
こけ
)
深き墳墓の前に、
桔梗
(
ききょう
)
やらむ、萩やらむ、月影薄き草の花のむら
生
(
お
)
いたるのみ。手向けたる人のあとも見えざるに、われは思わず歩を
留
(
とど
)
めぬ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まあ、よくよく
縁
(
えん
)
がないのだね。なにしろ
年
(
とし
)
を
取
(
と
)
って
生
(
お
)
い
先
(
さき
)
の
短
(
みじか
)
い
体
(
からだ
)
だからね。しかたがない、あきらめましょう。」
羅生門
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
津田は返事をする前に、まず小林の様子を
窺
(
うかが
)
った。彼らの右手には高い土手があって、その土手の上には
蓊欝
(
こんもり
)
した
竹藪
(
たけやぶ
)
が一面に
生
(
お
)
い
被
(
かぶ
)
さっていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
アシは、人間の
背
(
せ
)
よりも高く、びっしりと
生
(
お
)
い
茂
(
しげ
)
るものですから、
小舟
(
こぶね
)
でさえも、その中にわけいることはできません。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
すぐにそこから
小径
(
こみち
)
がつづいて、あたりいちめんに
生
(
お
)
い
繁
(
しげ
)
っているすすきの穂の先を、あるかないかの風が、しずかな波をつくり乍ら渡っていった。
山県有朋の靴
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
天禀
(
てんぴん
)
ならむは教へずとも大なる詩人となりぬべし。野に
生
(
お
)
ふる
花卉
(
くわき
)
の
麗
(
うるは
)
しさ、青山の自然の風姿、白水のおのづからなる情韻、豈人間の所爲ならむ。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
庭の正面に大きな笠松の枝が低く
垂下
(
たれさが
)
って、
添杭
(
そえぐい
)
がしてあって、下の
雪見灯籠
(
ゆきみどうろう
)
に被っています。松の根元には美しい
篠
(
ささ
)
が一面に
生
(
お
)
い茂っていました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
彼女がペテルブルグで
生
(
お
)
い立ったこと、しかし
嫁
(
とつ
)
いだ先はS市で、そこにもう二年も暮していること、ヤールタにはまだひと月ほど滞在の予定なこと
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
同一の環境の下に
生
(
お
)
い
出
(
いで
)
ても、多様多趣の形態を取って
萠
(
も
)
え出ずるというドフリスの実験報告は、私の個性の欲求をさながらに
翻訳
(
ほんやく
)
して見せてくれる。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
何だか「即興詩人」の中の賊の山塞へ伴はれる様な気がした。山荘の扉の前は一面にひよろ長い草が
生
(
お
)
ひ茂つて星明りに
透
(
すか
)
せば
其
(
それ
)
が皆花を着けて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
そのうちに夏が過ぎると、その黒い土の上に、誰が
種子
(
たね
)
を
蒔
(
ま
)
いたともなく、コスモスが高やかに
生
(
お
)
い茂りました。
卵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ひた土に
筵
(
むしろ
)
しきて、つねに机すゑおくちひさき
伏屋
(
ふせや
)
のうちに、竹
生
(
お
)
いでて長うのびたりけるをそのままにしおきて
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
道路の傍には松の
生
(
お
)
い茂った崖が際限もなく続いていた。そしてその裾に深い
叢
(
くさむら
)
があった。月見草がさいていた。
蒼白い月
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
あの辺は
灌木
(
かんぼく
)
やすすきが一面に
生
(
お
)
い茂っている所で、その中から灯が見えたかと思ううちに、ひとりの人間が提灯を持って火薬庫の前へ近寄って来ました。
火薬庫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
岩を打ち岩に砕けて白く青く押し流るる水は、
一叢
(
ひとむら
)
生
(
お
)
うる緑竹の
中
(
うち
)
に入りて、はるかなる岡の前にあらわれぬ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
妾
(
せふ
)
は
児
(
じ
)
の
重
(
かさ
)
ね/″\
龍
(
りよう
)
に
縁
(
えん
)
あるを
奇
(
き
)
として、それに
因
(
ちな
)
める名をば
命
(
つ
)
けつ、
生
(
お
)
ひ先きの
幸
(
さち
)
多かれと
祷
(
いの
)
れるなりき。
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
で、夢見心地でこの広々とした原っぱを通り過ぎると、間もなく物凄い
薄
(
すすき
)
の大波が
蓬々
(
ほうほう
)
と
生
(
お
)
い
繁
(
しげ
)
った真に芝居の難所めいた古寺のある荒野に踏み入る筈だ。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
のちに
孕
(
はら
)
んで産むところの子、両牙長く
生
(
お
)
い尾角ともに備わり、
儼
(
げん
)
として牛鬼のごとくであったので父母怒ってこれを殺し、銕の
串
(
くし
)
に刺して路傍に
暴
(
さら
)
した。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
見上げるような両側の
崖
(
がけ
)
からは、
芒
(
すすき
)
と
野萩
(
のはぎ
)
が列車の窓を
撫
(
な
)
でるばかりに
生
(
お
)
い茂って、
薊
(
あざみ
)
や、
姫紫苑
(
ひめじおん
)
や、
螢草
(
ほたるぐさ
)
や、
草藤
(
ベッチ
)
の花が目さむるばかりに咲き
繚
(
みだ
)
れている。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
さて次年また子を生んだ当日より母馬その子の在所を見定めた上ならで身を動かす事なく子よく
生
(
お
)
い立った。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
私はまた想像した、雪に
埋
(
うも
)
れ、氷に閉され、伸びては枯れ、枯れては
生
(
お
)
うる林相の無常を。またその光明を。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
さていよいよ猟場に踏み込むと、猟場は全く
崎
(
みさき
)
の
極端
(
はずれ
)
に近い山で雑草
荊棘
(
けいきょく
)
生
(
お
)
い茂った山の尾の谷である。僕は始終今井の叔父さんのそばを離れないことにした。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
歳三十に近く
蒼白
(
そうはく
)
なる
美貌
(
びぼう
)
。
華
(
はな
)
やかならざれどもすずしきみどり色の、たとえば陰地に
生
(
お
)
いたる草の葉のごとくなるに装いたり。妙念に
縋
(
すが
)
り鐘楼に眼を定め息を
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
そこでは
鶴
(
つる
)
が長い
翼
(
つばさ
)
をひろげて飛びまわり、ペリカン鳥はミモザの
枝
(
えだ
)
から人々を見おろしています。
生
(
お
)
い
茂
(
しげ
)
った
草藪
(
くさやぶ
)
が、象の重たい足に
踏
(
ふ
)
みつけられています。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
それでも、三日に一度、七日に一度づつは、泊りがけにやつて來て、
姪
(
めひ
)
のお雛の美しく
生
(
お
)
ひ立つのと病弱な富太郎が、少しづつでも丈夫になるのを見て歸りました。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
遙
(
はる
)
かに関口の
大洗堰
(
おおあらいぜき
)
の水おとが聞えるし、あたりには
萩
(
はぎ
)
、
芒
(
すすき
)
のたぐいが自然のままに
生
(
お
)
い茂っていて、どんな山奥へ来たかと疑えるほど閑寂な空気に包まれていた。
日本婦道記:桃の井戸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
御衣は
柿色
(
かきいろ
)
のいたうすすびたるに、手足の
爪
(
つめ
)
は
獣
(
けもの
)
のごとく
生
(
お
)
ひのびて、さながら魔王の
形
(
かたち
)
、あさましくもおそろし。
空
(
そら
)
にむかひて、
一二九
相模
(
さがみ
)
々々と、
叫
(
よ
)
ばせ給ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
生
(
お
)
い茂った
軟
(
やわらか
)
い
草叢
(
くさむら
)
が、かすかな音をたてて足の下にしなっていった。
榛
(
はんのき
)
の立木が半ば水に浸って、河の上に枝を垂れていた。
蝿
(
はえ
)
が雲のように群れて飛び回っていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
木立
(
こだち
)
生
(
お
)
ひ繁る阜は岸までつづく。
向
(
むかひ
)
の岸の野原には今一面の花ざかり、
中空
(
なかぞら
)
の雲一ぱいに白い光が
掠
(
かす
)
めゆく……ああ、また
別
(
べつ
)
の影が來て、うつるかと見て消えるのか。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
こゝからビエンホアの町へ這入る間、
甘蔗畑
(
かんしよばたけ
)
や、果樹園や、
椰子
(
やし
)
、
檳榔
(
びんらう
)
の
生
(
お
)
ひ茂る、いくつかの小さい部落を抜けて、ドンナイ河に
架
(
かゝ
)
つた、長い鉄橋を二つも渡つた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
益々美しく
生
(
お
)
い立たせるために恐ろしい非道を実行し貴郎自身をもその物のために犠牲にしたではありませんか! あなたは科学界の王者です! しかし貴郎は殺人鬼です
物凄き人喰い花の怪
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もしも
二人
(
ふたり
)
がはなればなれの
見
(
み
)
も
知
(
し
)
らない
土地
(
とち
)
に
生
(
お
)
ひ
立
(
だ
)
つたとしたらどうであつたらう。まち
子
(
こ
)
は、そんな
事
(
こと
)
を、またふと
考
(
かんが
)
へると、
幸福
(
しあはせ
)
なやうな
氣
(
き
)
がすることもあつた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
われその年の秋母の
許
(
ゆるし
)
を得て始めて八重を迎へ
家
(
いえ
)
を修めしめしが、それとても
僅
(
わずか
)
半歳
(
はんさい
)
の夢なりけり。その人去りて庭の
籬
(
まがき
)
には摘むものもなくて矢筈草
徒
(
いたずら
)
に
生
(
お
)
ひはびこりぬ。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
山河
(
やまがは
)
の
水陰
(
みづかげ
)
に
生
(
お
)
ふる
山草
(
やますげ
)
の
止
(
や
)
まずも
妹
(
いも
)
がおもほゆるかも 〔巻十二・二八六二〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
“生”を含む語句
生活
先生
生長
畜生
平生
生々
蘇生
生死
衆生
生業
生暖
根生
生命
生存
存生
生出
後生
生温
生計
生身
...