トップ
>
逐
>
お
ふりがな文庫
“
逐
(
お
)” の例文
松向寺殿の御居城
八代
(
やつしろ
)
に相詰め候事と相成り、あまつさえ殿御上京の御供にさえ
召具
(
めしぐ
)
せられ、繁務に
逐
(
お
)
われ、
空
(
むな
)
しく月日を相送り候。
興津弥五右衛門の遺書(初稿)
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
また一説にはこれら皆
空
(
うそ
)
で実は尊者の名パトリックをノールス人がパド・レクルと間違え
蟾蜍
(
ひき
)
を(パダ)
逐
(
お
)
い去る(レカ)と解した。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
私は異様な怖れからその蛾を
逐
(
お
)
いのけようともしないで、かえってさも無関心そうに、自分の紙の上でそれが死ぬままにさせて置く。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
私はその姿を皆によく飲み込ませるために、多少の想像を加味しながら、十人に聞えるだけの低い音調で、順を
逐
(
お
)
うて説明し出した。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
全
(
まつた
)
く
法廷
(
ほふてい
)
は
上
(
うへ
)
を
下
(
した
)
への
大騷
(
おほさわ
)
ぎでした。
福鼠
(
ふくねずみ
)
を
逐
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
して
了
(
しま
)
ひ、
皆
(
みん
)
なが
再
(
ふたゝ
)
び
落着
(
おちつ
)
いた
時
(
とき
)
迄
(
まで
)
に、
料理人
(
クツク
)
は
行方
(
ゆきがた
)
知
(
し
)
れずなりました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
▼ もっと見る
逐
(
お
)
うて迫り来るがごとき点をひどく感服しておられる。氏の近作『三四郎』はこの筆法で往くつもりだとか聞いている。しかし云々
田山花袋君に答う
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただにイエスの言が新鮮であって恩恵に満ちたのみでなく、彼の言には権威があって、悪鬼を
逐
(
お
)
い出し、病をいやす能力をもった。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
スサノヲの命は、かようにして天の世界から
逐
(
お
)
われて、
下界
(
げかい
)
へ
下
(
くだ
)
つておいでになり、まず食物をオホゲツ姫の神にお求めになりました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
「先生、何です御わかりになりませぬ——まア驚いたこと——先生、
貴郎
(
あなた
)
を教会から
逐
(
お
)
ひ出す相談のあるのを
未
(
ま
)
だ御存知ないのですか」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
すくなくとも第一に、先ず科学を詩の範囲から
逐
(
お
)
い出してしまおう。次に或る種の哲学——デカルトやヘーゲル——を拒絶しよう。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「ヘーヘー恐れ
煎豆
(
いりまめ
)
はじけ豆ッ、あべこべに御意見か。ヘン、親の
謗
(
そしり
)
はしりよりか些と自分の頭の
蠅
(
はえ
)
でも
逐
(
お
)
うがいいや、面白くもない」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
一度二度
喧嘩
(
けんか
)
して
逐
(
お
)
い出したこともあるが、初めの時はこっちが
宥
(
なだ
)
めて連れて帰り、二度目の時は、女の方から黙って帰って来た。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
其後
(
そのご
)
彼等は警官に
逐
(
お
)
われて山深く逃げ
籠
(
こも
)
ったが、食物は
兎
(
と
)
もあれ、女性の
缺乏
(
けつぼう
)
ということが彼等の
間
(
あいだ
)
に一種の不足を感じたらしい。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかし、それでもまだ
棄
(
す
)
てられるほどではなかったが、間もなく
瘡
(
おでき
)
が出来て、それが
潰
(
つぶ
)
れて
牀席
(
ねどこ
)
をよごしたので、とうとう
逐
(
お
)
い出された。
翩翩
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
言
(
ことば
)
甚だ
謔
(
ぎやく
)
に近しと
雖
(
いへども
)
、以て文明と戦争の関係を知るに足れり、戦争の精神、年を
逐
(
お
)
ふて減じ行き、いつかは戦争なき時代を見るを得んか。
想断々(1)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
私はこの事件の直後、
拭
(
ぬぐ
)
い去ろうとしても拭い去ることの出来ない憂鬱症のために、
逐
(
お
)
われるようにしてこのX市を立ち去った。
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
追い出せとお沙汰がある、家来たちが見ると、お能役者のほかに人はいない、殿様はなお
頻
(
しき
)
りに
逐
(
お
)
い出せ逐い出せとおっしゃる
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
激怒した独逸商会と独逸領事とは、直ちにラウペパをムリヌウの王宮から
逐
(
お
)
い、代りに、従来の副王タマセセを立てようとした。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
これが
報
(
むくい
)
を
一一三
虎狼
(
こらう
)
の心に
障化
(
しやうげ
)
して、
信頼
(
のぶより
)
が
隠謀
(
いんぼう
)
にかたらはせしかば、
一一四
地祇
(
くにつがみ
)
に
逆
(
さか
)
ふ罪、
武
(
ぶ
)
に
賢
(
さと
)
からぬ
清盛
(
きよもり
)
に
逐
(
お
)
ひ
討
(
う
)
たる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
大気都姫はとうとう食事の度に、彼と同じ
盤
(
さら
)
や
瓶
(
ほたり
)
を、犬の前にも並べるようになった。彼は
苦
(
にが
)
い顔をして、一度は犬を
逐
(
お
)
い払おうとした。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
人々が今、かのオスティア
人
(
びと
)
またはタッデオの
後
(
あと
)
を
逐
(
お
)
ひつゝ勞して求むる世の爲ならで、まことのマンナの愛の爲に 八二—八四
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
われらが次を
逐
(
お
)
うてその運命をたどり来たれる敵も、味方も、かの消魂も、この
怨恨
(
えんこん
)
も、しばし
征清
(
せいしん
)
戦争の大渦に巻き込まれつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
鷹のとまりしを
逐
(
お
)
ふ所にて、煙管にて欄干を叩く外に、鷹の前にて煙管を廻し見るは新し。遺書を読む処は、句ごとに拾ひて読む心持あり。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
しゃあしゃあとこの小さい貴婦人の椅子の中で眠ったりして、きっと私はお給金ももらえずに、
逐
(
お
)
い出されてしまうのだろう。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
(
馬可
(
マルコ
)
伝一章十二節「往かしめし」は英語の Driveth 希臘語の Ekballei「無理に
逐
(
お
)
いやる」の意なり)。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
たとえば英国のごとくデーンがセルトを
逐
(
お
)
い、ノルマンがサクソンを
殺戮
(
さつりく
)
するという歴史であったら、地名はその都度改まらずにはいない。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
もう少し経済状態をよくしたいと思ひますが私自身がその日の生活に
逐
(
お
)
はれてゐる位で御座いますので、思ふばかりで手が届きませんのです。
編輯室より:(一九一六年二月号)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
さればとてお俊を
諭
(
さと
)
して藤吉の後を
逐
(
お
)
わすことをいたすほどの決心は出ませんので、ただ悪い悪いと思いながらお俊の情を受けておりました。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
すでにキャゼリン嬢は太子の後を
逐
(
お
)
って次の便船ベルゲンランド号をもって
桑港
(
サンフランシスコ
)
へ旅立ち、印度から来た
料理人
(
コック
)
、従僕らも一足先に帰国して
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
此處
(
こゝ
)
から
逐
(
お
)
はるゝは
世界
(
せかい
)
から
逐
(
お
)
はるゝも
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
、
世界
(
せかい
)
から
逐
(
お
)
はるゝは
殺
(
ころ
)
さるゝも
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
、すれば
追放
(
つゐはう
)
とは
死罪
(
しざい
)
の
隱
(
かく
)
し
名
(
な
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
されど、神もし地獄の陰火を
点
(
とも
)
し、永遠限りなくそれを輝かさんと欲せんには、まず公刑所の建物より、
回教
(
サラセン
)
式の丈高き
拱格
(
アーチ
)
を
逐
(
お
)
うにあらん。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
信長を
窺
(
うかが
)
う敵は、三好松永の党ばかりではない。美濃を
逐
(
お
)
われた斎藤
龍興
(
たつおき
)
とその一族もある。つい先頃亡ぼされた佐々木一族やその他もある。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さあ、いろいろ
談
(
はな
)
せば長いけれど……あれからすぐ船へ乗り込んで横浜を出て、
翌年
(
あくるとし
)
の春から夏へ、主に朝鮮の
周囲
(
いまわり
)
で
膃肭獣
(
おっとせい
)
を
逐
(
お
)
っていたのさ。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
貴下が勝手に之を
逐
(
お
)
い落して会津を取られたことは、殿下に於て甚しく機嫌を損じていらるるところだ、と云って
遣
(
よこ
)
した。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
親馬鹿の記録は日を
逐
(
お
)
うてつづいてゆくであろう。私は自分の感情の
枠
(
わく
)
にはめて子供を育てようなぞとは思ってはいない。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
彼
(
かれ
)
は、
火鉢
(
ひばち
)
の
前
(
まへ
)
に
凝然
(
ぢつ
)
として
居
(
ゐ
)
ては
座敷
(
ざしき
)
へ
上
(
あが
)
る
鷄
(
にはとり
)
をしい/\と
逐
(
お
)
ひつつむつゝりとして
居
(
ゐ
)
る
卯平
(
うへい
)
に
小
(
ちひ
)
さな
銅貨
(
どうくわ
)
を
貰
(
もら
)
つては
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
と言ってとうとう十娘を
逐
(
お
)
いだしてしまった。崑の両親がこれを聞いた時には、十娘はもう往ってしまった後であった。
青蛙神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そうして彼はそれらの声に
逐
(
お
)
いかけられながら、ようやく逃げのびて、土蔵の立ち並んだ黒い色の感じのする町のなかへ、彼自身の姿を見出した。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
父を
逐
(
お
)
うものは叔父達だ。頼りの無い家のものの手から、父を奪うのも、叔父達だ。この考えは、お俊の小さな胸に
制
(
おさ
)
え難い
口惜
(
くや
)
しさを起させた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
文「
此処
(
こゝ
)
へおいでなさい、
其処
(
そこ
)
にいると蚊がさしていかない、なか/\蚊の多い処だから蚊を能く
逐
(
お
)
うて這入んなさい、少しお前に話す事がある」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
浅ましとは思へど、
逐
(
お
)
ひて去らしむべきにあらず、又
門口
(
かどぐち
)
に居たりとて人を騒がすにもあらねば、とにもかくにも手を着けかねて
棄措
(
すておか
)
るるなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それと同時に、農作は、村人の健康・幸福と一つ方向に進むものと考えた。だから、田の稲虫とともに村人に来る疫病は、
逐
(
お
)
わるべきものとなった。
水の女
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
「いったいその両人はなに者でございますか、大峰、矢田部と姓だけは先日耳にいたしましたが、刺客に
逐
(
お
)
われるほどの大切な役におりましたのか」
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
短い杖が、鼠を
逐
(
お
)
うように、
小刻
(
こきざ
)
みに
床石
(
ゆかいし
)
の上を走る。そして、一つの、
椅子
(
いす
)
にぶつかる。盲人は腰をおろす。かじかんだ手を
暖炉
(
だんろ
)
のほうに伸ばす。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
殺風景も
些
(
ち
)
と
念入
(
ねんいり
)
の殺風景で、決して誉めた話でない。
畢竟
(
ひっきょう
)
少年の時から種々様々の事情に
逐
(
お
)
われてコンな事に成行き、生涯これで終るのでしょう。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
あの窓から覗いて……あの煙草屋の前を力なげに歩んでいる放浪者に心を惹きつけられた……慍られはしないかと思いながら跡を
逐
(
お
)
うて呼んでみたが
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
季康子が小人を
逐
(
お
)
って孔子を迎えたという伝を
活
(
い
)
かすためである。ではなぜこの伝が記者にとって重要であったか。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
されど我はその不幸を救ひ得べき地位にあらざりしを奈何せん。指す方もなき水上の逍遙ながら、痛苦に
逐
(
お
)
はるゝ我心は、猶船脚の
太
(
はなは
)
だ遲きを覺えぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
こっちも仕事に
逐
(
お
)
われて、いつの間にか一と月許りは経ってしまった。……ちょうど二月の中頃にもなっていた。或る晩のこと、もう夜の十一時すぎだ。
北国の人
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
殺したほうもよい郎党だったのですがそんな過失をしてしまった男は使わないとお国から
逐
(
お
)
われてしまいました。
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
逐
常用漢字
中学
部首:⾡
10画
“逐”を含む語句
逐出
逐払
逐電
放逐
逐返
逐日
逐々
窘逐狂
逐落
水雷驅逐艦
逐攘
逐一
駆逐
角逐
駆逐艦
逐次
逐天
窘逐
駆逐艦隊
逐退
...