)” の例文
ここにその國主こにきし一二かしこみてまをしてまをさく、「今よ後、天皇おほきみの命のまにまに、御馬甘みまかひとして、年のに船めて船腹さず、柂檝さをかぢ乾さず、天地のむた、退しぞきなく仕へまつらむ」
それにて思ひ合すれば、さきに藪陰にて他に逢ひし時、いたく物にぢたる様子なりしが、これも黄金ぬしに追はれし故なるべし。さりとは露ほども心付かざりしこそ、返す返すも不覚なれ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
依つてその國王がじ恐れて、「今から後は天皇の御命令のままに馬飼うまかいとして、毎年多くの船の腹をかわかさず、柁檝かじさおかわかさずに、天地のあらんかぎり、止まずにお仕え申し上げましよう」