)” の例文
その日は河内家かはちや総見そうけんがあつたので、肝腎のかあは皆と一緒に場に坐つて、惚々ほれ/″\吾児わがこの芸に見とれて、夢中になつてゐた。
後はこの侘住居わびすまいに、拓と雪との二人のみ。拓は見るがごとく目を煩って、何をする便たよりもないので、うら若い身で病人を達引たてひいて、兄の留守を支えている。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
結城ゆうきから入ったいねというのを御寵愛になるげなが、この女子おなごは、昼はおすべらかしにうちかけという御殿風、夜になるとつぶし島田に赤い手絡てがら浴衣ゆかたがけといういきな姿でお寝間入りをなさるそうな。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)