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居
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お
ふりがな文庫
“
居
(
お
)” の例文
わたくしは因縁こそ実に
尊
(
とうと
)
くそれを
飽迄
(
あくまで
)
も大切にすべきものだと信じて
居
(
お
)
ります。
其処
(
そこ
)
に優しい
深切
(
しんせつ
)
な愛情が当然
起
(
おこ
)
るのであります。
家庭愛増進術:――型でなしに
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
罪を持ったものが衆人の沈黙の中で而も自分の殺した死体と一しょに置かれるということは、非常な恐怖を感ぜずには
居
(
お
)
られません。
三つの痣
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
『はい私は、その紐の本数を、存じ
居
(
お
)
ります。実を申せば、お殿さま、
厠
(
かわや
)
に
入
(
い
)
らせられましたとき、私はお出を待つ間に、紐の本数を ...
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私も、その頃
阿母
(
おふくろ
)
に別れました。今じゃ
父親
(
おやじ
)
も
居
(
お
)
らんのですが、しかしまあ、
墓所
(
はかしょ
)
を知っているだけでも、あなたより
増
(
まし
)
かも知れん。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
長安には太清宮の
下
(
しも
)
に
許多
(
いくた
)
の楼観がある。道教に観があるのは、仏教に寺があるのと同じ事で、寺には
僧侶
(
そうりょ
)
が
居
(
お
)
り、観には道士が居る。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
折しも
弥生
(
やよい
)
の桜時、
庭前
(
にわさき
)
の
桜花
(
おうか
)
は一円に咲揃い、そよ/\春風の吹く
毎
(
たび
)
に、一二輪ずつチラリ/\と
散
(
ちっ
)
て
居
(
お
)
る処は得も云われざる風情。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一身の私徳を
後
(
のち
)
にして、交際上の公徳を先にするものの如し。即ち家に
居
(
お
)
るの徳義よりも、世に処するの徳義を
専
(
もっぱ
)
らにするものの如し。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ただこころもちはやすらかに、その血のついた大きなくちばしは、横にまがっては居ましたが、たしかに少しわらって
居
(
お
)
りました。
よだかの星
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
おれは
全
(
まる
)
三日苦しみ通しだものを。
明日
(
あす
)
は四日目、それから五日目、六日目……死神は何処に
居
(
お
)
る? 来てくれ! 早く引取ってくれ!
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
大牟田さまなども、あの奥方を持っていれば、末にはこんなことになるのだと、私は蔭ながら御気の毒に思って
居
(
お
)
った様な訳ですよ
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
が、予は
昨夜
(
ゆうべ
)
もあの
菰
(
こも
)
だれの中で、独りうとうとと眠って
居
(
お
)
ると、柳の五つ
衣
(
ぎぬ
)
を着た姫君の姿が、夢に予の枕もとへ歩みよられた。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
本当
(
ほんと
)
にお客様が
皆
(
みんな
)
一番さんのようだと、下宿屋も
如何様
(
どんな
)
に助かるか知れないッてね、
始終
(
しょっちゅう
)
下でもお噂を申して
居
(
お
)
るンでございますよ……
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
乃
(
すなわ
)
ち三丰の
居
(
お
)
りし所の
武当
(
ぶとう
)
大和山
(
たいかざん
)
に
観
(
かん
)
を営み、
夫
(
ふ
)
を
役
(
えき
)
する三十万、
貲
(
し
)
を
費
(
ついや
)
す百万、
工部侍郎
(
こうぶじろう
)
郭𤧫
(
かくつい
)
、
隆平侯
(
りゅうへいこう
)
張信
(
ちょうしん
)
等
(
ら
)
、事に当りしという。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
太陽は、いま
薔薇色
(
ばらいろ
)
の雲をわけて、小山のうえを越える所でした。小さい子供は、白い小さい
床
(
ベッド
)
の中で、まだ眠って
居
(
お
)
りました。
朝
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
あなたが、いやがるだろうと思いましたから、きょうまで黙って
居
(
お
)
りましたが、あの頃、私には他に二つ、縁談がございました。
きりぎりす
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それかあらぬか、
同地
(
どうち
)
の
神明社内
(
しんめいしゃない
)
には
現
(
げん
)
に
小桜神社
(
こざくらじんじゃ
)
(
通称
(
つうしょう
)
若宮様
(
わかみやさま
)
)という
小社
(
しょうしゃ
)
が
遺
(
のこ
)
って
居
(
お
)
り、
今尚
(
いまな
)
お
里人
(
りじん
)
の
尊崇
(
そんすう
)
の
標的
(
まと
)
になって
居
(
お
)
ります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
所がこの、道子の自由な行動は、
仮令
(
たとい
)
夫には無視されて居たにしろ、世間には遂に無視しては
居
(
お
)
られぬ位のものになって
了
(
しま
)
ったのでした。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
いや
串談
(
じようだん
)
ではなし
札幌
(
さつぽろ
)
の
病院長
(
びようゐんちやう
)
に
任
(
にん
)
じられて
都合次第
(
つがふしだい
)
明日
(
あす
)
にも
出立
(
しゆつたつ
)
せねばならず、
尤
(
もつと
)
も
突然
(
だしぬけ
)
といふではなく
斯
(
か
)
うとは
大底
(
たいてい
)
しれて
居
(
お
)
りしが
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
新政府に
嫁
(
か
)
し、維新功臣の
末班
(
まっぱん
)
に列して
爵位
(
しゃくい
)
の高きに
居
(
お
)
り、
俸禄
(
ほうろく
)
の
豊
(
ゆたか
)
なるに
安
(
やす
)
んじ、
得々
(
とくとく
)
として
貴顕
(
きけん
)
栄華
(
えいが
)
の
新地位
(
しんちい
)
を占めたるは
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
この法は、晴天の
巳
(
み
)
の時に、白
胡麻
(
ごま
)
の油を手の甲、指、額に塗り、日輪に向かいて
居
(
お
)
らしめ、手合わさしてわが口のうちにて
妖怪学
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
彼れ其実は全く嗅煙草を嫌えるも
唯
(
た
)
だ
空
(
から
)
の箱を
携
(
たずさ
)
え
居
(
お
)
り、喜びにも悲みにも其心の動く
度
(
たび
)
我
(
わが
)
顔色を悟られまじとて煙草を
嚊
(
か
)
ぐに
紛
(
まぎ
)
らせるなり
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
……ところが又一方に、そうした事実を以前からよく知っている、不可思議な人物が、どこかに
居
(
お
)
ったので御座いましょう。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「あっ、
居
(
お
)
る……」兄の袖をひくと、範綱も、見あげていた。そこは、さっき、文覚護送の
檻車
(
かんしゃ
)
が通った時、たくさん、見物がいた所である。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お光はそれを傍に
居
(
お
)
って聞いていた。夕方彼女は父について家を出た。村のはずれの小さい小屋のような家の前で父は「太一いるか」と言った。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
また是と前後して生まれたかと思う風土記の物語の中にも「
子
(
こ
)
らに恋ひ
朝戸
(
あさど
)
を開き
我
(
わ
)
が
居
(
お
)
ればとこ世の浜の
浪
(
なみ
)
の音きこゆ」
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「小生も兼て人を不忠とか不義とか、大言に罵り置きたれば、
拠
(
よんどころ
)
無きも、今度は一身を以て、国難に代らねばならぬ事、疾に落着
仕
(
つかまつ
)
り
居
(
お
)
るなり」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
昨日
(
さくじつ
)
父より帰国しろという手紙を受取り候う時は、とっさにはぼんやり
致
(
いた
)
し
居
(
お
)
り
候
(
そうら
)
いしかど、ようやくにして悲しさ申しわけなさに泣き申し候う。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「
御出
(
おいで
)
でやす。御這入んなさい」と友達見た様に云ふ。小使に
食
(
く
)
つ
付
(
つ
)
いて行くと
四
(
よ
)
っ
角
(
かど
)
を
曲
(
ま
)
がつて
和土
(
たゝき
)
の廊下を
下
(
した
)
へ
居
(
お
)
りた。世界が急に暗くなる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
玉村侯爵とは松浪伯爵の兄君で、三人の娘には
伯父君
(
おじぎみ
)
に当って
居
(
お
)
る、余程面白い人で、時々いろいろ
好奇
(
ものずき
)
な事をする。
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
(評釈) 説明の言葉は簡単だが,この一章は人生の問題に触れて
居
(
お
)
り、貴重なる教訓をわれ等に
与
(
あた
)
うるものである。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
操は
襖
(
ふすま
)
を一枚隔てた
室
(
へや
)
に
居
(
お
)
る、文吉は頭の中で操の像を描きつつ「モウ知りそうなものだ、彼が来ていることを知りながらも出て来ないのであろうか」
愛か
(新字新仮名)
/
李光洙
(著)
と云い棄てて階段を
上
(
あが
)
ろうとすると、またもや同じ声が聞こえる。耳を澄ますと、それは
嗄
(
しゃ
)
がれた、
呻
(
うめ
)
く様な声で確かに書記の
居
(
お
)
る室から来るらしい。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
「見てみい。きれいじゃろうが。……こゝにこら、お日さんが出てきよって、川の中に鶴が立って
居
(
お
)
るんじゃ。」
砂糖泥棒
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
「そう
仰
(
おっ
)
しゃいますが、これを
黙
(
だま
)
って
居
(
お
)
りましたら、あとで
若旦那
(
わかだんな
)
に、どんなお
小言
(
こごと
)
を
頂戴
(
ちょうだい
)
するか
知
(
し
)
れませんや」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ところが、この地に着いて、
偶然
(
ふと
)
私は
憶出
(
おもいだ
)
したのは、この米沢の近在の某寺院には、自分の母方の大伯父に当る、
某
(
なにがし
)
といえる老僧が
居
(
お
)
るという事であった。
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
予
再
(
ふたた
)
び家を東京に
移
(
うつ
)
すに及び、先生
直
(
ただ
)
ちに
駕
(
が
)
を
抂
(
まげ
)
られ、いわるるよう、
鄙意
(
ひい
)
、君が何事か
不慮
(
ふりょ
)
の
災
(
さい
)
あらん時には、
一臂
(
いっぴ
)
の力を出し
扶助
(
ふじょ
)
せんと思い
居
(
お
)
りしが
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
がしかしその実
泥水
(
どろみず
)
に
居
(
お
)
らなくとも泥水よりいっそう深き
穢
(
けが
)
れに心の染まれるものが世には多くありはせぬか。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「マンさん、あんたもどうやら、
出心
(
でごころ
)
がついたようにあるねえ。
兄
(
あに
)
さんの
林助
(
りんすけ
)
さんは、関門の方に行ってなさるということだが、元気にして
居
(
お
)
りんさるかね」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
衣通
(
そとおり
)
媛の藤原
郎女
(
いらつめ
)
であり、禊ぎに関聯した海岸に
居
(
お
)
り、物忌みの海藻の歌物語を持ち、また因縁もなさそうな和歌
ノ
浦の女神となった理由も、やや明るくなる。
水の女
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
「忠義ばかりでは、いやさ、善人ばかりでは国も家も立てかねるということです。榊原の家には悪人が不足しているが、それが不幸の源なのだと思って
居
(
お
)
ります」
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
が、柳吉は「お前は家に
居
(
お
)
りイな。いま一緒に行ったら
都合
(
ぐつ
)
が悪い」蝶子は気抜けした気持でしばらく
呆然
(
ぼうぜん
)
としたが、これだけのことは柳吉にくれぐれも頼んだ。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「いま京太郎から研究問題の説明を聞いて
居
(
お
)
るところじゃ、そんな下らぬ新聞記事などは
止
(
や
)
めにしろ」
天狗岩の殺人魔
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「お前は何が悲しいとお云いなのかい? こんな月夜にこうして外を歩いて
居
(
お
)
れば、誰でも悲しくなるじゃないか。お前だって心の中ではきっと悲しいに違いない」
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
よく友人
輩
(
たち
)
は
一口
(
ひとくち
)
に「君、それは鼠だろう」と
貶
(
けな
)
してしまう、
成程
(
なるほど
)
鼠の
居
(
お
)
るべき
処
(
ところ
)
なら鼠の
所業
(
しわざ
)
かと
合点
(
がてん
)
もするが、鼠の
居
(
お
)
るべからざる
処
(
ところ
)
でも、
往々
(
おうおう
)
にして聞くのだ
頭上の響
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
「お婆さん、何か薬がありませんか、苦しくてこうやって
居
(
お
)
られません。何か一つ薬を下さいな。」
老婆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
手
(
て
)
を
束
(
つか
)
ねて
見
(
み
)
て
居
(
お
)
る
迄
(
まで
)
の
事
(
こと
)
で、
醫者
(
いしや
)
を
呼
(
よ
)
びますにも、
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
はぬと
云
(
い
)
ふので、
大層
(
たいそう
)
に
遽
(
あは
)
てました。
手療法一則:(二月例会席上談話)
(旧字旧仮名)
/
荻野吟子
(著)
喩え其願いが無理であろうとも、承知せずには
居
(
お
)
られないような、不思議に魅力のある声である。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかして感謝すべきは余は黙止し
居
(
お
)
るを得べければなり、もちろん普通の情として忍ぶべきにあらざるなり、余は余の国人を
後楯
(
うしろだて
)
となし
力
(
つと
)
めて友を外国人に求めざりき
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
その往復する時間が揺れ方の大小に係わらないことを見つけ出したということが話されて
居
(
お
)
り、
之
(
これ
)
は彼の学生時代のことだと
云
(
い
)
われていますが、
之
(
これ
)
もよほど疑わしいので
ガリレオ・ガリレイ
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
ここに
居
(
お
)
れば一番よく見え、その残酷な快感を詳細に満喫出来るというんで、ほんとの闘牛ゴウアウスの連中は、借金しても争って、倍も高い陽かげの
一等
(
ソンブラ
)
へ納まるのだ。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
居
常用漢字
小5
部首:⼫
8画
“居”を含む語句
住居
芝居
居眠
居住
居候
起居
被居
常居
居室
居合
居堪
居据
居酒屋
蹲居
居所
居間
居処
籠居
安居
芝居気
...