)” の例文
岸をトンとすと、屋形船は軽く出た。おや、房州で生れたかと思うほど、玉野は思ったよりたくみさおをさす。大池はしずかである。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
岸をトンとすと、屋形船やかたぶねは軽く出た。おや、房州で生れたかと思ふほど、玉野は思つたよりたくみさおさす。大池おおいけしずかである。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ここを先途せんどげども、せども、ますまするるなみいきおいに、人の力はかぎりりて、かれ身神しんしん全く疲労して、まさ昏倒こんとうせんとしたりければ、船は再びあやうく見えたり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
驚破すはやと、母屋おもやより許嫁いひなづけあにぶんのけつくるに、みさしたるふみせもあへずきててる、しをりはぎ濡縁ぬれえんえだ浪打なみうちて、徒渉かちわたりすべからず、ありはすたらひなかたすけのせつゝ、してのがるゝ。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
舳櫓ともろ船子ふなこは海上鎮護ちんごの神の御声みこえに気をふるい、やにわにをば立直して、曳々えいえい声をげてしければ、船は難無なんな風波ふうはしのぎて、今は我物なり、大権現だいごんげん冥護みょうごはあるぞ、と船子ふなこはたちまち力を得て
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)