)” の例文
晩餐を果てて、三人燈下に物語りつゝあり、「何だか、阿母おつかさん、先生が御不在ともや、其処そこいらが寂しいのねエ」と、お花は、篠田の書斎のかたかへりみつゝ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
素人でも今の通りなアイスクリームをモット早くモット上等に拵えようともえば毛布を蒙せないで茶筒の頭を片手ででも両手ででもグルグルと根気よく廻転まわすのです。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
この玲瓏れいろうとして充実せる一種の意識、この現世うつしよの歓喜と倫を絶したる静かにさびしく而かも孤独ならざる無類の歓喜は凡そ十五分時がほども打続きたりとぼしきころ、ほのかに消えたり。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
婦人をんなはかなしとおももひたえて、松野まつの忠節ちうせつこゝろより、われ大事だいじもふあまりに樣々さま/″\苦勞くらう心痛しんつう大方おほかたならぬこゝろざしるものから、それすらそらふくかぜきて、みゝにだにめんとせざりし
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしが、おもつても! ……」
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一昨日をとゝひの晩も『浪の家』から、電話ぢやく解らないツてんで態々わざ/\使者ひとまで来たぢやないか、何が面白くて湖月などにグヅついてたんだ、帰つたともや
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「あんな大した腕持つてる律義りちぎな職人でせエ此の始末だ、さうかともや、悪い泥棒見たいな奴が立身して、めかけ置いて車で通つて居る、神も仏もあつたもんぢやねエ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)