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了
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お
ふりがな文庫
“
了
(
お
)” の例文
窓ぎわに椅子をずらしてそんな思い出に
耽
(
ふけ
)
っていた私は、そのとき急に、いまやっと食事を
了
(
お
)
え、そのままベッドの上に起きながら
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
シューマンのように、気が違って死んだヴォルフの作品には、潜伏した狂気とも言うべき、手に
了
(
お
)
えない一脈の憂愁さが流れている。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
煙草を銜え、飛行服のバンドを
緊
(
し
)
め直し乍ら、
池内
(
いけうち
)
操縦士が、折から
発動機
(
エンジン
)
の点検を
了
(
お
)
えて事務所に帰って来た、
三枝
(
さえぐさ
)
機関士に訊ねた。
旅客機事件
(新字新仮名)
/
大庭武年
(著)
初め久野が合宿へ行った時、皆遠漕から前日に帰って、初めて練習を
了
(
お
)
えたところであった。久野は皆の顔のひどく黒いのにびっくりした。
競漕
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
貴殿が、是と信じていることは、わしの非とするところ、この是非得失は、論じても
了
(
お
)
えまい。山は、当所だけでなく、愛宕も、鞍馬もある。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
▼ もっと見る
中学の課程すらも満足に
了
(
お
)
えていない
今村謹太郎
(
いまむらきんたろう
)
にとっては、
浅野護謨
(
あさのごむ
)
会社事務員月給七十五円という現在の職業は、十分満足なものであった。
犠牲者
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
だが、三年兵のうちで、二人だけは、よう/\内地で初年兵の教育を
了
(
お
)
えて来たばかりである二年兵を指導するために残されねばならなかった。
雪のシベリア
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
溝
(
みぞ
)
にうつ伏せになっている
死骸
(
しがい
)
を調べ
了
(
お
)
えた巡査が、モンペ姿の婦人の方へ近づいて来た。これも姿勢を崩して今はこときれているらしかった。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
検屍やら
骨上
(
こつあ
)
げやら葬式やらと、福介と二人で何から何迄仕切ってやってのけ、大阪で初七日を済まし、奉行所の手続きもすっかり
了
(
お
)
えてから
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
どこまで始末に
了
(
お
)
えねえか
数
(
すう
)
が知れねえ。
可
(
い
)
いや、地尻の番太と
手前
(
てめえ
)
とは、
己
(
おら
)
が
芥子坊主
(
けしぼうず
)
の時分から居てつきの厄介者だ。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
闘
(
たたか
)
ハスニ/柳橋妓ニ命ズルハ少年ノ興/駒野禅ニ参ズルハ前世ノ因/廿歳旧游游ビテ未ダ
了
(
お
)
ヘズ/又台麓酔吟ノ人ト為ル〕
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
誰とでも
喧嘩
(
けんか
)
がしたい、誰と喧嘩をしても自分の
得
(
とく
)
になるだけだって、現にここへ来て公言して
威張
(
えば
)
ってるんだからね、実際始末に
了
(
お
)
えないよ。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
祈り
了
(
お
)
えた時、わらい声が風にゆれる高い葉の中に舞い上がった、それは眼に見えぬ鳥がそこにいて、
樫鳥
(
かしどり
)
のように嘲けり鳴いているかと思われた。
精
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
けれども、私の傍には厳然と、いささかも威儀を崩さず小坂氏が
控
(
ひか
)
えているのだ。五分、十分、私は足袋と悪戦苦闘を続けた。やっと両方
履
(
は
)
き
了
(
お
)
えた。
佳日
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
今般四年がかりにて俳諧辞書編輯を
了
(
お
)
え大倉書店より出版につき大兄の序文もしくは校閲願度旨にて参上仕候につき御面倒ながら御面会相願度と存候。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
まず以上で花と実との
概説
(
がいせつ
)
を
了
(
お
)
えた。これは
一気呵成
(
いっきかせい
)
に
筆
(
ふで
)
にまかせて書いたものであるから、まずい点もそこここにあるであろうことを恐縮している。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
この方面の事を
了
(
お
)
えて、秀吉が姫路へ帰って来たときは、もう九月となっている。木の香、
丹青
(
たんせい
)
すべて新しき城に坐して、秀吉は初めて、こういった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
歌い
了
(
お
)
えた姥は、大息をついて、ぐったりした。其から暫らく、山のそよぎ、川瀬の響きばかりが、耳についた。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
三といい
了
(
お
)
うと同時に野猪が跳び出すその時遅くかの時速くまた蛙めが野猪の頸に飛び付いたのを一向知らず
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
一五六 なおこの章を
了
(
お
)
えるに当って、先に論及した一点について、興味ある註釈を加えておかねばならぬ。
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
読
(
よ
)
み
了
(
お
)
えて僕は、やけに苦しくなって、とても部屋にじっとしてはいられず、立ちあがって出て行った、と。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
さもあらばあれ、われこの翁を
懐
(
おも
)
う時は遠き笛の
音
(
ね
)
ききて
故郷
(
ふるさと
)
恋うる旅人の
情
(
こころ
)
、動きつ、または
想
(
そう
)
高き詩の一節読み
了
(
お
)
わりて限りなき大空を
仰
(
あお
)
ぐがごとき心地す
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
仏頂寺は立派に腹を切り
了
(
お
)
えた上に、咽喉を
掻
(
か
)
ききっている。これは
反魂香
(
はんごんこう
)
の力でも呼び生かす
術
(
すべ
)
はない。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
元来栄達に志す人ではなかったから、位に
即
(
つ
)
いた後、種々の善政を布き、良法を設けて、市民の信頼に報い
了
(
お
)
わり、直ちに位を
棄
(
す
)
つること
弊履
(
へいり
)
の如くであった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
宗演師講演の英訳を
了
(
お
)
えて、それを当時円覚寺内の帰源院に来て居られた夏目漱石さんに見てもらったことを覚えて居る。
元良
(
もとら
)
先生も、その時居られたかと思う。
釈宗演師を語る
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
そうして
機会
(
おり
)
を見て
伯林
(
ベルリン
)
か
巴里
(
パリー
)
へ出て、どこかの
寄席
(
よせ
)
か劇場の楽手になり
了
(
お
)
おせる計画だったのですが……しかしその計画はスッカリ失敗に帰して
終
(
しま
)
ったのです。
死後の恋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
門を出入りする官員らの大部分は、
髷
(
まげ
)
を残して白
足袋
(
たび
)
を
穿
(
は
)
いていた士族であった。通りがかりにじろじろと眺められる場所で、阿賀妻は
恬然
(
てんぜん
)
と用意をなし
了
(
お
)
えた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
この驚くべき報告が麓へ拡まると、町からも村からも大勢の加勢が
駈着
(
かけつ
)
けた。安行の屍体は自宅へ、お杉と𤢖の
亡骸
(
なきがら
)
は役場へ、
其
(
そ
)
れ
其
(
ぞ
)
れに
引渡
(
ひきわた
)
しの
手続
(
てつづき
)
を
了
(
お
)
えた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
するのだから、始末に
了
(
お
)
えねえや。奥様! こんな人に
介意
(
かま
)
っているよりか旦那の容体が大事だ!
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
然
(
しか
)
るに学校に
在
(
あ
)
りて多年
蒐集
(
しゅうしゅう
)
したる智識をば一旦業を
了
(
お
)
え校門を
出
(
い
)
ずると同時に、そのすべてを失却するもの甚だ多い。
仏国
(
ふっこく
)
の如きこの例に
漏
(
も
)
れざるものと言うべきである。
教育の最大目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ちょうど演奏の
了
(
お
)
わる時刻だったので、やがて制服姿の彼が肩をすぼめながら、おそろしい厳粛な表情で、
傍目
(
わきめ
)
もふらずとっとと二人の前を行きすぎようとしたことがあったが
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
主人は打水を
了
(
お
)
えて後満足げに庭の面を見わたしたが、やがて足を洗って
下駄
(
げた
)
をはくかとおもうとすぐに下女を
呼
(
よ
)
んで、
手拭
(
てぬぐい
)
、
石鹸
(
シャボン
)
、湯銭等を取り来らしめて湯へいってしまった。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
点火したのをそこへ載せておくと
少時
(
しばらく
)
すると自然に消えて主人が観覧を
了
(
お
)
えて再び出現するのを待つ、いわばシガーの
供待部屋
(
ともまちべや
)
である。これが日本の美術館だったらどうであろう。
喫煙四十年
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
お返事をお書き
了
(
お
)
えになったあとでもなお院は見えぬものに見入っておいでになった。
源氏物語:41 御法
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
今日からは起きても
宜
(
い
)
い事になった。しかし歩いちゃいけないんだ。乃公は毛布巻にされて腕椅子の上に坐っていたが、おびんずる様のようで始末に
了
(
お
)
えない。退屈で仕方がない。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
苔蒸
(
こけむ
)
した
井筒
(
いづつ
)
に
溢
(
あふ
)
れる水を
素焼
(
すやき
)
の
甕
(
かめ
)
へ落していたが、ほかの女たちはもう水を
汲
(
く
)
み
了
(
お
)
えたのか、皆甕を頭に載せて、しっきりなく飛び
交
(
か
)
う
燕
(
つばくら
)
の中を、家々へ帰ろうとする所であった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
序
(
ついで
)
に書き加えておくが、私が以上の本文の清書を
了
(
お
)
えたのは、昭和十六年十二月十日のことであるが、私はそれから十日目の十二月二十日、満十二年ぶりに、東海道線の汽車に乗って
御萩と七種粥
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
「かんだち」が一日中去来していた。今は宵の八時。澄んだ十四日の月が、静かな、一日の為事を
了
(
お
)
えてのびのびした町の上に照っている。今夜は不動さまのお縁日で堀の方は
賑
(
にぎ
)
わっている。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼氏は
徐
(
おもむ
)
ろにポケットから取り出したダンヒルのパイプに、クレーブンミクスチュアをつめる。彼女は、汗ばんだ鼻をコンパクトの鏡に写し
了
(
お
)
えてから、チョコレートの銀紙をむきはじめる。
案内人風景
(新字新仮名)
/
百瀬慎太郎
、
黒部溯郎
(著)
「さあ、もう
沢山
(
たくさん
)
、もう沢山」と、一同が食事を
了
(
お
)
えたとき監督はそう言ったが、病人はまだ腰を上げずに鉢の上へのしかかって、片手では粥を
掬
(
すく
)
い、のこる片手では胸をしっかり抑えていた。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
「中途で弾き止めた清元の『
山姥
(
やまうば
)
』、
今生
(
こんじょう
)
の思い出に
了
(
お
)
えとうござる」
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
だが、この晩の歌会は非常に静粛に
了
(
お
)
えた。よく統一されていた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
私はもう二三日すれば私のノオトを書き
了
(
お
)
えられるだろう。それは私達自身のこうした生活に就いて書いていれば切りがあるまい。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
讃之助は、もう
葬送行進曲
(
ヒューネラル・マーチ
)
を
了
(
お
)
えて華やかな第四楽章のプレストに入ったらしい音を遠音に聞き乍ら、場所柄を超越した
呑気
(
のんき
)
さで話し出しました。
葬送行進曲
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
やがて食事を
了
(
お
)
えて、わが
室
(
へや
)
へ帰った宗助は、また
父母未生
(
ふぼみしょう
)
以前
(
いぜん
)
と云う
稀有
(
けう
)
な問題を眼の前に
据
(
す
)
えて、じっと
眺
(
なが
)
めた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
病妻の看護のために彼の家に来ていてくれた義母は、今はもう娘のためにするだけのことは
為
(
な
)
し
了
(
お
)
えていたのだ。年老いた義母には郷里に身を落着ける家があるのだ。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
建久六年三月二十日造営の功を
了
(
お
)
え、供養をとげられた。天子の行幸があり、将軍頼朝も上洛した。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……彼にいかなる不平があり、またいかなる
好餌
(
こうじ
)
をもって誘われたか知らぬが、要するに、毛利と本願寺の
楯
(
たて
)
に使われ、楯の役目を
了
(
お
)
われば、
可惜
(
あたら
)
、自滅のほかない。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
六一 我々は今や、市場における競争の機構がいかなるものであるかを、よく理解し
了
(
お
)
えた。実際においても交換の問題は、価格の高騰及び下落によって解かれている。
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
新橋へ、人を見送りに行ったと云う以上、二時間もすれば帰って来るべき
筈
(
はず
)
の夫を、
夕餉
(
ゆうげ
)
の支度を
了
(
お
)
えて、ボンヤリと待ちあぐんでいる妻の
邪気
(
あどけ
)
ない面影が、
暫
(
しば
)
らく彼の頭を支配した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
“了”の意味
《名詞》
(リョウ)了承。承知。
(出典:Wiktionary)
了
常用漢字
中学
部首:⼅
2画
“了”を含む語句
了解
了簡
終了
不了簡
了見
読了
御了解
仕了
了然
明了
角倉了以
喫了
了簡方
道了
結了
御了簡
了得
秦吉了
完了
速了
...