“笈”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おい60.3%
きゅう14.7%
きふ8.8%
おいずる5.9%
おひ4.4%
1.5%
おひづる1.5%
ずる1.5%
キフ1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
若君のお刀は伝家の宝刀、ひとの手にふれさせていいしなではありませぬ。また、拙者せっしゃつえ護仏ごぶつ法杖ほうじょうおいのなかは三尊さんぞん弥陀みだです。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これらの門弟たちは、全国六十余州からきゅうを負って集ったもので、全然門弟の来なかったはんは、たしかに二つくらいしかない。
淡窓先生の教育 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
私たちが青年期にもつたやうな“きふを負うて”なんていふ感傷は、滑稽化してゐるにちがひない。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
土間に、置きすててあるおいずるを、老人はひっくり返して、あわただしくあらためた。赤いよだかけをした地蔵如来、幾つもの巾着、守札まもりふだ、椿の花——
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう遠く、行つてしまつたことゝ、おもつてゐたおひづるのおぢいさんが、また、やつてきたのでありました。
さがしもの (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
それより七年以前まえの天宝八年に、范陽はんよう進士しんし呉青秀ごせいしゅうという十七八歳の青年が、玄宗皇帝の命を奉じ、彩管さいかんうてしょくの国にり、嘉陵江水かりょうこうすいを写し、転じて巫山巫峡ふざんふきょうを越え
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
おひづるのいろもほのぼの。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
前世の約束ごとゝ思いましたから、うちを仕舞っておいずるを掛け、罪滅つみほろぼしのために西国三十三番の札所を廻りましたのは、ひょッと面目ないと思って田舎にでもかくれてゝ
洛陽らくようへ上って進士しんしの試験を受けるのを青春第一の関門とした若人たちが——キフヲ負ウテ郷関ヲ出ヅ——と悲歌したが、そんな気もちに似たものが、明治末期のぼくらにも、やはりあったのである。