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緒
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お
ふりがな文庫
“
緒
(
お
)” の例文
「暇なく上下すればその
緒
(
お
)
が疲れ
易
(
やす
)
い。一連では念仏を申し、一連では数をとって積る処の数を弟子にとれば緒が休まって疲れません」
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「毎朝だからな、毎朝穿かせちゃ、やれねえぜ。覚えときな、英さん」と、いちど結んだ
緒
(
お
)
をまた解いて、穿き方を教えてくれた。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「呆れましたな。旦那のような変り種は
臍
(
へそ
)
の
緒
(
お
)
切って初めてでございますよ。まさかあっし共をからかうんじゃござんすまいね」
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ついにゴンゴラ総指揮官の
勘忍袋
(
かんにんぶくろ
)
の
緒
(
お
)
が切れ、警衛隊に命令して、金博士をオムスク酒場から引き立て、官邸へ連れて来させたのであった。
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それぞれ、旗さしものを側近く引き寄せ、
兜
(
かぶと
)
の
緒
(
お
)
をしめて、馬の腹帯をかたくして、出陣の命令を今かいまかと待ちわびているのであった。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
が、
勘忍
(
かんにん
)
ぶくろの
緒
(
お
)
が切れた。じぶんは、どうなってもよかった。乱心といわれても、切腹でも、そんなことは、かまっていられなかった。
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
次にスサノヲの命が天照らす大神の左の御髮に
纏
(
ま
)
いておいでになつた大きな
勾玉
(
まがたま
)
の澤山ついている玉の
緒
(
お
)
をお
請
(
う
)
けになつて
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
⦅えい、くそ、なんて物分りの悪い婆あだろう!⦆とチチコフは、そろそろ堪忍袋の
緒
(
お
)
を切らせながら、肚の中で呟やいた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
大賽銭箱
(
だいさいせんばこ
)
の前に立つと、赤い紙入を出して、小銭を
摘
(
つま
)
んでポイと投げ、鈴の
緒
(
お
)
に心持触れて、
双掌
(
もろて
)
を合せたまま、ひた拝みに拝み入るのでした。
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あれほど犬に対してしんぼうのいい親方も、一度ならずわたしにはかんにんの
緒
(
お
)
を切ったこともあった。かれはさけんだ。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
南方諸島において、最初にこの美しい宝の貝を
緒
(
お
)
に貫いて頸に掛けていたのは、君々すなわち厳粛なる宗教女性であった。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
驚破
(
すわ
)
といふ時、
綿
(
わた
)
の
条
(
すじ
)
を
射切
(
いき
)
つたら、胸に
不及
(
およばず
)
、
咽喉
(
のんど
)
に
不及
(
およばず
)
、
玉
(
たま
)
の
緒
(
お
)
は
絶
(
た
)
えて媼は
唯
(
ただ
)
一個
(
いっこ
)
、
朽木
(
くちき
)
の像にならうも知れぬ。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
もし仮名遣、
手爾波抔
(
てにはなど
)
を学ばんと思はば俳書に
就
(
つ
)
かずして普通の和書に就け。『
古言梯
(
こげんてい
)
』『
詞
(
ことば
)
の
八千衢
(
やちまた
)
』『
詞
(
ことば
)
の
玉
(
たま
)
の
緒
(
お
)
』
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
例えば縦縞の着物に対して横縞の帯を用いるとか、
下駄
(
げた
)
の
木目
(
もくめ
)
または塗り方に縦縞が表われているとき
緒
(
お
)
に横縞を用いるとかいうような場合である。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
緒
(
お
)
をもって中央にて三
叉
(
さ
)
に結成し、その上に
飯櫃
(
めしびつ
)
の
蓋
(
ふた
)
を載せ、三人各三方より相向かいて座し、おのおの隻手あるいは両手をもって櫃の蓋を緩くおさえ
妖怪玄談
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
それに付けた
緒
(
お
)
は街まで引っ張り置き、誰でもこれを引いて鳴らすを得、その緒長きは一パラサンに達すとある。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
葛
(
くず
)
の材料は朝鮮から入るといいますが、
緒
(
お
)
にする
技
(
わざ
)
は掛川で為されます。昔は
袴
(
はかま
)
や
裃
(
かみしも
)
の
素地
(
きじ
)
として主に織られましたが、今はほとんど皆
襖地
(
ふすまじ
)
であります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
草鞋
(
わらじ
)
の新しいのが、上り口にある。さっき婆さんが
振
(
ぶ
)
ら下げてたのは、大方これだろう。自分は
素足
(
すあし
)
の上へ草鞋を
穿
(
は
)
いた。
緒
(
お
)
を
踵
(
かかと
)
へ通してぐっと引くと
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何
(
な
)
んでもその社には錆びた二つ三つの
鋏
(
はさみ
)
を置き、その
願
(
がん
)
ほどきに切ったらしい、女の黒髪の束にしたのを
数多
(
たくさん
)
かねの
緒
(
お
)
に結びつけてあったのを憶えている。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
産婆は自分の世話をするお
終
(
しま
)
いの湯をつかわせて、涼風の吹く窓先に赤子を据え、
剃刀
(
かみそり
)
で
臍
(
へそ
)
の
緒
(
お
)
を切って、米粒と一緒にそれを紙に包んで、そこにおくと
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その深い罪のお詫びは、
仮令
(
たとえ
)
、この
儚
(
はか
)
ない玉の
緒
(
お
)
が絶えましてもキットお側に付添うて致します。……お別れしたくない……子供の事を
呉々
(
くれぐれ
)
もお願いします。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
今も向こうで聞いておれば、白萩様をむごたらしい松葉
燻
(
いぶ
)
しになされるとか。松葉燻しもよいけれど、もしもその時白萩様の
魂
(
たま
)
の
緒
(
お
)
が切れたらどうなされます。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
伝馬への本船からの
臍
(
へそ
)
の
緒
(
お
)
のごとき役を努めていた綱は今一方はずされ、どちらも延ばされた。波田はすぐに、船首の方の綱をも、うまくはずすことができた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
鶴見がなつかしがるのは、これがその正体である。明治八年三月十五日出生隼男と明記した包の中から
干乾
(
ひから
)
びて黒褐色を呈したものがあらわれる。
臍
(
へそ
)
の
緒
(
お
)
である。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
何でも古い
黄八丈
(
きはちじょう
)
の一つ身にくるんだまま、
緒
(
お
)
の切れた女の
草履
(
ぞうり
)
を枕に、捨ててあったと云う事です。
捨児
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この世の乱れも近づいたようにおびえていた平安朝末期の人の心もいつか
弛
(
ゆる
)
んで、再び昔ののびやかな気分にかえると、そのゆるんだ
魂
(
たま
)
の
緒
(
お
)
を更にゆるめるように
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
取調べの町人は情けある人とて一夜の
猶予
(
ゆうよ
)
を与えられ候まま、父に手あつく仕えし上、暁け方眠りにつくを待ちて
玉
(
たま
)
の
緒
(
お
)
を
絶
(
た
)
ち、返す刀にて自らも
冥途
(
めいど
)
の旅に上り候。
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
手槍を取って庭に降り立つとき、数馬は
草鞋
(
わらじ
)
の
緒
(
お
)
を
男結
(
おとこむす
)
びにして、余った緒を小刀で切って捨てた。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
よし、とばかり刀の
下
(
さ
)
げ
緒
(
お
)
をとって
襷
(
たすき
)
にかけ、
袴
(
はかま
)
の
股立
(
ももだ
)
ちを取りながら先方の浪人を見ると、その身構えがまるで
素人
(
しろうと
)
だ。掛け声勇ましくこちらは飛び込んで行った。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それは大沼枕山の遺族を訪問した時、わたくしは特に許されて枕山が誕生の時の
臍
(
へそ
)
の
緒
(
お
)
書を見た。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼女は宿六とマダムの交際の真相については露いささかも知らないのだから、貧苦に追われて流浪十幾年、積年の
怨
(
うら
)
み、重なる無礼、軽蔑、カンニンブクロの
緒
(
お
)
が切れた。
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
見ず知らずの連中との
臍
(
へそ
)
の
緒
(
お
)
切って初めての交際やのお
陰
(
かげ
)
で、たちまち頭がカーッとなった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
お蘭の玉の
緒
(
お
)
を、いつあの白痴が
曳
(
ひ
)
いて行ったか、自分が婿を貰い、世の常の女の定道に入るとすれば、この世のどこかの隅であの白痴が
潰
(
つい
)
え
崩
(
くず
)
れてしまうような
傷
(
いた
)
ましさを
みちのく
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
練習帆船
琴
(
こと
)
ノ
緒
(
お
)
丸
(
まる
)
に乗り組んでいたとき、私たちの教官であった、
中川倉吉
(
なかがわくらきち
)
先生からきいた、先生の体験談で、私が、腹のそこからかんげきした、一生わすれられない話である。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
怪
(
あや
)
しいと云うので、
床板
(
ゆかいた
)
をめくって見るとさまざまの物をかくしてあった。
訴人
(
そにん
)
の男の云う通り緋の
緒
(
お
)
でくくった袴も、長刀も出て来た。その外に、一つの古い仮面が出て来た。
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
几帳
(
きちょう
)
の
紐
(
ひも
)
が動いて触れた時に、十三
絃
(
げん
)
の琴の
緒
(
お
)
が鳴った。それによってさっきまで琴などを
弾
(
ひ
)
いていた若い女の美しい室内の生活ぶりが想像されて、源氏はますます熱していく。
源氏物語:13 明石
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
私は日記帳を茶の間の押入の
用箪笥
(
ようだんす
)
の抽出(私以外には用のない、誰も手を触れることのない抽出)の、
臍
(
へそ
)
の
緒
(
お
)
書だの父母の古手紙だのの重ねてある一番下に突っ込んでおいて
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
唖
(
おし
)
のお長の手枕にはじまって、絵に描いた女が自分に近よって、狐が
鼬
(
いたち
)
ほどになって、更紗の蒲団の花が淀んで、
鮒
(
ふな
)
が沈んで針が
埋
(
うず
)
まって、下駄の
緒
(
お
)
が切れて女郎蜘蛛が下って
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
已に
覚期
(
かくご
)
をした様であったが、年と共に
玉
(
たま
)
の
緒
(
お
)
新
(
あらた
)
に元気づき、わずかに病床を離るゝと直ぐ例の
灌水
(
かんすい
)
をはじめ、例の
細字
(
さいじ
)
の手紙、著書の
巻首
(
かんしゅ
)
に入る可き「千代かけて」の歌を十三枚
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
人から聴けば
臍
(
へそ
)
の
緒
(
お
)
も
煎
(
せん
)
じ、
牛蒡
(
ごぼう
)
の種もいいと聴いて
摺鉢
(
すりばち
)
でゴシゴシとつぶした。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
柏原富次は鞄と傘と、
緒
(
お
)
の切れた泥下駄をいっしょくたに胸にかかえていた。
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
女の子は赤い
緒
(
お
)
の
草履
(
ぞうり
)
、男の子は白い緒の草履、お弁当はみんな揃えてお
寿司
(
すし
)
の折詰を学校からあつらえ、お菓子や
飲料
(
のみもの
)
のことまで世話人を
定
(
き
)
めたところが、あいにくその日は朝から曇って
旧聞日本橋:04 源泉小学校
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
将士
(
しょうし
)
は、
額
(
ひたい
)
から流れて
兜
(
かぶと
)
のしのびの
緒
(
お
)
につららになった
汗
(
あせ
)
をヒキもぎり、がりがりかんでかわきをとめながら戦った。食うものがすくないので、しかたなく馬をほふってたべねばならなくなった。
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
ただ一枚の写真だけが私の生命の
緒
(
お
)
だったのです。
悪魔の聖壇
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「しかし勝って
兜
(
かぶと
)
の
緒
(
お
)
を締めるんです」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
珠
(
たま
)
の
緒
(
お
)
の惜しき盛りに 立つ
霧
(
きり
)
の
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
故郷
(
ふるさと
)
や
臍
(
ほぞ
)
の
緒
(
お
)
に泣く
歳
(
とし
)
の暮
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
と
臍
(
ほぞ
)
の
緒
(
お
)
切っての大奮発。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
そして、静かに、
曲
(
ま
)
がった
烏帽子
(
えぼし
)
の
緒
(
お
)
をむすび直すあいだに、薄い自嘲と度胸をすえた
太々
(
ふてぶて
)
しさとを、どこやらにたたえていた。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
与八も奇異なる思いをしながら、それをほどいて見ると、守り袋が一つと、
涎掛
(
よだれかけ
)
が一枚ありました。その守り袋を開いて見ると
臍
(
へそ
)
の
緒
(
お
)
です。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“緒”の意味
《名詞》
いとぐちのこと。
(出典:Wiktionary)
緒
常用漢字
中学
部首:⽷
14画
“緒”を含む語句
情緒
由緒
端緒
一緒
緒口
下緒
内緒
紅緒
緒方
緒言
前鼻緒
心緒
鼻緒
革緒
御一緒
鼻緒屋
情緒纏綿
楠緒
由緒書
由緒付
...