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落
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お
ふりがな文庫
“
落
(
お
)” の例文
「あれは、ただ
遠
(
とお
)
くからながめているものです。けっして、あの
花
(
はな
)
が
水
(
みず
)
の
上
(
うえ
)
に
落
(
お
)
ちてきたとて
食
(
た
)
べてはなりません。」と
教
(
おし
)
えました。
赤い魚と子供
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
すると
其時
(
そのとき
)
夕刊
(
ゆふかん
)
の
紙面
(
しめん
)
に
落
(
お
)
ちてゐた
外光
(
ぐわいくわう
)
が、
突然
(
とつぜん
)
電燈
(
でんとう
)
の
光
(
ひかり
)
に
變
(
かは
)
つて、
刷
(
すり
)
の
惡
(
わる
)
い
何欄
(
なにらん
)
かの
活字
(
くわつじ
)
が
意外
(
いぐわい
)
な
位
(
くらゐ
)
鮮
(
あざやか
)
に
私
(
わたくし
)
の
眼
(
め
)
の
前
(
まへ
)
へ
浮
(
うか
)
んで
來
(
き
)
た。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その
美
(
うつく
)
しい
空
(
そら
)
に
奪
(
うば
)
はれてゐた
眼
(
め
)
を、ふと一
本
(
ぽん
)
の
小松
(
こまつ
)
の
上
(
うへ
)
に
落
(
お
)
すと、
私
(
わたし
)
は
不思議
(
ふしぎ
)
なものでも
見付
(
みつ
)
けたやうに、
暫
(
しばら
)
くそれに
目
(
め
)
を
凝
(
こ
)
らした。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
森
(
もり
)
の
奥
(
おく
)
の
住
(
す
)
まいには、
毎日
(
まいにち
)
木枯
(
こが
)
らしが
吹
(
ふ
)
いて、
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
も
落
(
お
)
ちつくすと、やがて
深
(
ふか
)
い
雪
(
ゆき
)
が
森
(
もり
)
をも
谷
(
たに
)
をもうずめつくすようになりました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
しかし
私
(
わたくし
)
は三
途
(
ず
)
の
川
(
かわ
)
らしいものを
渡
(
わた
)
った
覚
(
おぼ
)
えはない……
閻魔様
(
えんまさま
)
らしいものに
逢
(
あ
)
った
様子
(
ようす
)
もない……
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やらさっぱり
腑
(
ふ
)
に
落
(
お
)
ちない。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
元
(
もと
)
は
直立
(
ちよくりつ
)
してゐたもので、
高
(
たか
)
さは
七八十尺
(
しちはちじつしやく
)
もあつたものですが、
二百年程前
(
にひやくねんほどまへ
)
に
雷
(
かみなり
)
が
落
(
お
)
ちたゝめに
折
(
を
)
れたのだといふことでありました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
責
(
せ
)
めてそんなものが一
幅
(
ぷく
)
でもあつたらと
思
(
おも
)
つた。けれども
夫
(
それ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
呼吸
(
こきふ
)
する
空氣
(
くうき
)
の
屆
(
とゞ
)
くうちには、
落
(
お
)
ちてゐないものと
諦
(
あきら
)
めてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
さうして
極
(
きま
)
り
切
(
き
)
つた
理窟
(
りくつ
)
も
反覆
(
はんぷく
)
して
聞
(
き
)
かせて
居
(
ゐ
)
るうちにはころりと
落
(
お
)
ちて
畢
(
しま
)
ふといふ
其
(
そ
)
の
呼吸
(
こきふ
)
を
内儀
(
かみ
)
さんは
能
(
よ
)
く
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
恁
(
か
)
くてぞありける。あゝ、
日
(
ひ
)
は
何時
(
いつ
)
ぞ、
天
(
てん
)
より
星
(
ほし
)
一
(
ひと
)
つ、はたと
落
(
お
)
ちて、
卵
(
たまご
)
の
如
(
ごと
)
き
石
(
いし
)
となり、
其
(
そ
)
の
水上
(
みなかみ
)
の
方
(
かた
)
よりしてカラカラと
流
(
なが
)
れ
來
(
く
)
る。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし
室
(
しつ
)
は
比較的
(
ひかくてき
)
に
廣
(
ひろ
)
く
作
(
つく
)
られるのが
通常
(
つうじよう
)
であるから、
右
(
みぎ
)
のようなものゝ
落
(
お
)
ちて
來
(
き
)
さうな
場所
(
ばしよ
)
から
遠
(
とほ
)
ざかることも
出來
(
でき
)
るであらう。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
ゆうべの
夢見
(
ゆめみ
)
が
忘
(
わす
)
れられぬであろう。
葉隠
(
はがく
)
れにちょいと
覗
(
のぞ
)
いた
青蛙
(
あおがえる
)
は、
今
(
いま
)
にも
落
(
お
)
ちかかった三
角頭
(
かくとう
)
に、
陽射
(
ひざ
)
しを
眩
(
まば
)
ゆく
避
(
さ
)
けていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
下
(
くだ
)
るわ、/\、/\。
流
(
なが
)
れは
何處
(
どこ
)
まで
行
(
い
)
つても
盡
(
つ
)
きないのかしら?『
今
(
いま
)
までに
私
(
わたし
)
は
幾
(
いく
)
哩
(
マイル
)
落
(
お
)
ちたかしら?』と
愛
(
あい
)
ちやんは
聲高
(
こわだか
)
に
云
(
い
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
大臣
(
だいじん
)
の子は小さな
樺
(
かば
)
の木の下を通るとき、その大きな青い
帽子
(
ぼうし
)
を
落
(
お
)
としました。そして、あわててひろってまた一生けん
命
(
めい
)
に走りました。
虹の絵の具皿:(十力の金剛石)
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
『ボズさん!』と
僕
(
ぼく
)
は
思
(
おも
)
はず
涙聲
(
なみだごゑ
)
で
呼
(
よ
)
んだ。
君
(
きみ
)
、
狂氣
(
きちがひ
)
の
眞似
(
まね
)
をすると
言
(
い
)
ひ
玉
(
たま
)
ふか。
僕
(
ぼく
)
は
實
(
じつ
)
に
滿眼
(
まんがん
)
の
涙
(
なんだ
)
を
落
(
お
)
つるに
任
(
ま
)
かした。(畧)
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
七十幾つとか言つても、まだ飛んだ達者な婆さんでしたが、
夜更
(
よふけ
)
に急にお産があるといふ使で出かけたつきり、堀へ
落
(
お
)
ちて死んでゐたのを
銭形平次捕物控:160 二つの刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
翌日日暮れに停車場へ急ぐとちゅうで、自分は
落
(
お
)
ち
稲
(
いね
)
を拾ってる、そぼろなひとりの
老婆
(
ろうば
)
を見かけた。見るとどうも新兵衛の女房らしい。
落穂
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
たずねて
村役人
(
むらやくにん
)
の
家
(
いえ
)
へいくと、あらわれたのは、
鼻
(
はな
)
の
先
(
さき
)
に
落
(
お
)
ちかかるように
眼鏡
(
めがね
)
をかけた
老人
(
ろうじん
)
でしたので、
盗人
(
ぬすびと
)
たちはまず
安心
(
あんしん
)
しました。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
柿
(
かき
)
の
木
(
き
)
はまた
梨
(
なし
)
や
桐
(
きり
)
の
木
(
き
)
とちがつて、にぎやかな
木
(
き
)
で、
父
(
とう
)
さんが
遊
(
あそ
)
びに
行
(
ゆ
)
く
度
(
たび
)
に
何
(
なに
)
かしら
集
(
あつ
)
めたいやうなものが
木
(
き
)
の
下
(
した
)
に
落
(
お
)
ちて
居
(
ゐ
)
ました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
こういわれて、
男
(
おとこ
)
の
子
(
こ
)
が
函
(
はこ
)
の
中
(
なか
)
へ
頭
(
あたま
)
を
突込
(
つっこ
)
んだ
途端
(
とたん
)
に、ガタンと
蓋
(
ふた
)
を
落
(
おと
)
したので、
小児
(
こども
)
の
頭
(
あたま
)
はころりととれて、
赤
(
あか
)
い
林檎
(
りんご
)
の
中
(
なか
)
へ
落
(
お
)
ちました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
「
選
(
よ
)
りに
選
(
よ
)
つて
奴
(
やつ
)
が
落
(
お
)
ちるなんてよつぽど
運
(
うん
)
が
惡
(
わる
)
いや‥‥」と、
一人
(
ひとり
)
はまたそれが
自分
(
じぶん
)
でなかつた
事
(
こと
)
を
祝福
(
しゆくふく
)
するやうに
云
(
い
)
つた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
反抗が
嫌
(
いや
)
なら嫌で、もっと
落
(
お
)
ち
著
(
つ
)
いていればよかったろうと思われたに違いない。暴風も一過すれば必ず収まるものである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「どこか
服
(
ふく
)
の下にでも
紛
(
まぎ
)
れこんではおらんかな、え? ひょっとしたら、
長靴
(
ながぐつ
)
の中にナイフが
落
(
お
)
ちてるかも知れんぞ、え?」
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
電話の内容は、首領を驚かせるに充分だったと見えて、彼は右手で机をおさえ、辛うじて
崩
(
くず
)
れ
落
(
お
)
ちようとする全身をささえている様子だった。
人造人間殺害事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして
殘
(
のこ
)
つた
四分
(
しぶん
)
の
三
(
さん
)
の
雨
(
あめ
)
が
葉
(
は
)
から
枝
(
えだ
)
、
枝
(
えだ
)
から
幹
(
みき
)
へ
流
(
なが
)
れて、
徐々
(
じよ/\
)
に
地面
(
じめん
)
に
落
(
お
)
ち、そこにある
落
(
お
)
ち
葉
(
ば
)
に
吸
(
す
)
ひ
取
(
と
)
られるのです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
そんなお
喋
(
しゃべ
)
りをしていますと、
突然
(
とつぜん
)
空中
(
くうちゅう
)
でポンポンと
音
(
おと
)
がして、二
羽
(
わ
)
の
雁
(
がん
)
は
傷
(
きず
)
ついて
水草
(
みずくさ
)
の
間
(
あいだ
)
に
落
(
お
)
ちて
死
(
し
)
に、あたりの
水
(
みず
)
は
血
(
ち
)
で
赤
(
あか
)
く
染
(
そま
)
りました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
のびやかで、ひっぱり
上
(
あ
)
げるような
調子
(
ちようし
)
が、ある
點
(
てん
)
まで
行
(
い
)
つて、ぴったりと
落
(
お
)
ちつきよく
納
(
をさ
)
まつてゐるではありませんか。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
其
(
その
)
翌日
(
よくじつ
)
から、
私
(
わたくし
)
は
朝
(
あさ
)
は
東雲
(
しのゝめ
)
の
薄暗
(
うすくら
)
い
時分
(
じぶん
)
から、
夕
(
ゆふべ
)
は
星影
(
ほしかげ
)
の
海
(
うみ
)
に
落
(
お
)
つる
頃
(
ころ
)
まで、
眞黒
(
まつくろ
)
になつて
自動鐵檻車
(
じどうてつおりのくるま
)
の
製造
(
せいぞう
)
に
從事
(
じゆうじ
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
滞留のあまりに久しければ、さまざまの
係累
(
けいるい
)
もやあらんと、相沢に問いしに、さることなしと聞きて
落
(
お
)
ちいたりと
宣
(
のたも
)
う。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「だけど、あの子はすぐに氷の
割
(
わ
)
れ目にでも
落
(
お
)
っこちるぐらいのとこだろうな。」と、ガンは心ぼそくなってきました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
「それだからね、
翼
(
はね
)
の
弱
(
よわ
)
いものや
體
(
からだ
)
の
壯健
(
たつしや
)
でないものは、みんな
途中
(
とちう
)
で、かわいさうに
海
(
うみ
)
に
落
(
お
)
ちて
死
(
し
)
んでしまふのよ」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
下
(
した
)
にゐた
人
(
ひと
)
が
綱
(
つな
)
をひきそこなつて、
綱
(
つな
)
がぷっつりと
切
(
き
)
れて、
運
(
うん
)
わるくも
下
(
した
)
にあつた
鼎
(
かなへ
)
の
上
(
うへ
)
に
落
(
お
)
ちて
眼
(
め
)
を
廻
(
まは
)
しました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
歎
(
なげ
)
くべきことならずと
嫣然
(
につこ
)
と
笑
(
ゑ
)
みて
靜
(
しづ
)
かに
取出
(
とりいだ
)
す
料紙
(
りやうし
)
硯
(
すゞり
)
、
墨
(
すみ
)
すり
流
(
なが
)
して
筆先
(
ふでさき
)
あらためつ、
書
(
か
)
き
流
(
な
)
がす
文
(
ふみ
)
誰
(
た
)
れ/\が
手
(
て
)
に
落
(
お
)
ちて
明日
(
あす
)
は
記念
(
かたみ
)
と
見
(
み
)
ん
名殘
(
なごり
)
の
名筆
(
めいひつ
)
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
国王や
家来
(
けらい
)
たちは
心配
(
しんぱい
)
しまして、もし高いところから
落
(
お
)
ちて
怪我
(
けが
)
でもされるとたいへんだというので、いろいろいってきかせましたが、王子は平気でした。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
塵
(
ごみ
)
と一
處
(
しよ
)
に
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
へ
落
(
お
)
ちて
居
(
ゐ
)
たのを、
博士
(
はかせ
)
が
戯
(
たはむ
)
れに
取出
(
とりだ
)
されたので、
之
(
これ
)
は一
抔
(
ぱい
)
頂戴
(
てうだい
)
したと、一
同
(
どう
)
クツ/\
笑
(
わら
)
ひ。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
博士は、
落
(
お
)
ちつきをとりもどしていた。
科学者
(
かがくしゃ
)
らしく、ちみつに頭を働かし、このふしぎな
透明人間
(
とうめいにんげん
)
の
秘密
(
ひみつ
)
をできるかぎり
探
(
さぐ
)
りだしてやろうと考えていた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
秋深うして
萬山
(
ばんざん
)
きばみ
落
(
お
)
つ。枕をそばだつれば野に悲しき聲す。あはれ鐘の音、わづらひの胸にもの思へとや、この世ならぬひゞきを、われいかにきくべき。
清見寺の鐘声
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
世
(
よ
)
に
気楽
(
きらく
)
なるものは
文学者
(
ぶんがくしや
)
なり、
世
(
よ
)
に
羨
(
うらや
)
ましき
者
(
もの
)
は
文学者
(
ぶんがくしや
)
なり、
接待
(
せつたい
)
の
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
まぬ者も
文学者
(
ぶんがくしや
)
たらん事を
欲
(
ほつ
)
し、
落
(
お
)
ちたるを
拾
(
ひろ
)
はぬ者も
文学者
(
ぶんがくしや
)
たるを
願
(
ねが
)
ふべし。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
しかし、長陣の
窶
(
やつ
)
れと、苦慮の
憔悴
(
しょうすい
)
は、
唇
(
くち
)
のまわりの
髭
(
ひげ
)
にも、
落
(
お
)
ち
窪
(
くぼ
)
んでいる眼にも
蔽
(
おお
)
い得ないものがある。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武石は、突然、その懸命な声に、自分が悪いことをしているような感じを抱かせられ、窓から
辷
(
すべ
)
り
落
(
お
)
ちた。
渦巻ける烏の群
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
彼はふと此の頃めっきり
老
(
ふ
)
けた母の顔を眼に浮べ、まあこれでこんどの事はあたりさわりのないように一先ず
落
(
お
)
ち
著
(
つ
)
きそうな事に思わずほっとしていたものの
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
奴隷は
眼脂
(
めやに
)
に
塊
(
かたま
)
った
逆睫
(
さかまつげ
)
をしばたたくと、大きく口を開いて背を延ばした。弓は彼の肩から
辷
(
すべ
)
り
落
(
お
)
ちた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
お
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
りの
紀
(
こつな
)
さへ
席
(
せき
)
を
遠
(
とほ
)
ざけられて、
何
(
なに
)
かしら
込
(
こ
)
み
入
(
い
)
つた
話
(
はなし
)
のありさうなのを、
玄竹
(
げんちく
)
は
氣
(
き
)
がかりに
思
(
おも
)
ひつゝ、
落
(
お
)
ち
着
(
つ
)
かぬ
腰
(
こし
)
を
無理
(
むり
)
から
落
(
お
)
ち
着
(
つ
)
けて、
天王寺屋
(
てんわうじや
)
、
米屋
(
よねや
)
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
うむその
沈着
(
おちつ
)
いていて気性が高くて、まだ入用ならば学問が深くて腕が確かで男前がよくて品行が正しくて、ああ
疲労
(
くたび
)
れた、どこに一箇所
落
(
お
)
ちというものがない若者だ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
私はそのあいだに部屋片附けたり、寝台
綺麗
(
きれい
)
に直したりして、床の上に
落
(
お
)
ってた光子さんの足袋
拾
(
ひろ
)
て、——帰りしなに光子さんは私の足袋
穿
(
は
)
いて行きなさったのんです。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
百
仭
(
じん
)
の崖上
僅
(
わづか
)
に一条の
笹
(
ささ
)
を
恃
(
たの
)
みて
攀
(
よ
)
ぢし所あり、或は左右両岸の大岩
既
(
すで
)
に
足
(
あし
)
を
噛
(
か
)
み、前面の危石
将
(
まさ
)
に頭上に
落
(
お
)
ち
来
(
きた
)
らんとする所あり、一行
概
(
おおむ
)
ね多少の負傷を
被
(
かうむ
)
らざるはなし。
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
是等の中には
煮焚
(
にた
)
きの爲、
温暖
(
おんだん
)
を取らん爲、又は
屋内
(
おくない
)
を照さん爲、故意に焚き火せし跡も有るべけれど、
火災
(
くわさい
)
の爲屋根の
燃
(
も
)
え
落
(
お
)
ちたる跡も有らん。屋根の事は次項に記すべし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
それ、
姫
(
ひめ
)
が
來
(
わ
)
せた。おゝ、あのやうな
輕
(
かる
)
い
足
(
あし
)
では、いつまで
蹈
(
ふ
)
むとも、
堅
(
かた
)
い
石道
(
いしみち
)
は
磨
(
へ
)
るまいわい。
戀人
(
こひびと
)
は、
夏
(
なつ
)
の
風
(
かぜ
)
に
戲
(
たはむ
)
れ
遊
(
あそ
)
ぶあの
埓
(
らち
)
もない
絲遊
(
かげろふ
)
に
騎
(
のッ
)
かっても、
落
(
お
)
ちぬであらう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「私は夜の目も
落
(
お
)
ち/\寝ずに看病しているんでございますよ。婆とは何事でしょう?」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
山
(
やま
)
高
(
たか
)
み
白木綿花
(
しらゆふはな
)
に
落
(
お
)
ちたぎつ
滝
(
たぎ
)
の
河内
(
かふち
)
は
見
(
み
)
れど
飽
(
あ
)
かぬかも 〔巻六・九〇九〕 笠金村
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
藻岩山
(
さうがんざん
)
が
紫色
(
しゝよく
)
になつて
見
(
み
)
えるだらうと
思
(
おも
)
ひますの、いま
頃
(
ころ
)
はね、そして
落葉松
(
からまつ
)
の
葉
(
は
)
が
黄色
(
きいろ
)
くなつて、もう
落
(
お
)
ちかけてる
時
(
とき
)
ですわね。
私
(
わたし
)
あの、
藻岩山
(
さうがんざん
)
に三
度
(
ど
)
も
登
(
のぼ
)
つたことがあるんですわ。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
落
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
“落”を含む語句
落着
落籍
洒落
墜落
落葉松
陥落
部落
落胆
落魄
落付
落下傘
落花
落下
零落
落人
落葉
破落戸
聚落
落日
洒落気
...