“臆(お)” の例文
小酒井さんは場所慣れた人であり、何人にも臆(お)めない人であり、どのような環境にも融合することの出来る人でした。
小酒井さんのことども (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
オースチンリードで出来合いをすこし直さしたモーニングの突立った肩が黄いろい金鎖草の花房に臆(お)じた挨拶をしながら庭の門を入る。東洋風の鞣革(なめしがわ)の皮膚、鞣革の手の皮膚。
百喩経 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
地丸左陣は静かに進み、定めの席へ端座すると、グイと臆(お)めず相手を見たが、五分の隙もない構えである。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
華美な身装、濃艶(のうえん)な縹緻、それから推(お)すと良家の娘で、令嬢と云ってもよい程であったが、その大胆な行動や、物に臆(お)じない振舞から見れば素人娘とは受け取れない。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
年はおよそ十七ばかり、地丸左陣を凝然(じっ)と見詰め、臆(お)じも恐れもせず立っている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「お酒は嫌いでございます」鳰鳥は臆(お)めずにまた云った。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)