“おだやか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
67.7%
8.6%
平穏5.4%
穏和4.3%
3.2%
平和2.2%
温和2.2%
穏当2.2%
平穩1.1%
妥当1.1%
恬静1.1%
靜穩1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
薄暗いドアに紙をって、昨日きのうの日づけで、診療の都合により面会を謝絶いたし候——医局、とぴたりと貼ってある。いよいよおだやかでない。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
唯だ彼人の往かんはおだやかならねば、我もえ往かざるべし。そが上コンスタンチヌスの寺なる彼儀式は固より餘りでたからぬ事なり。
いずれこの納まりは平穏おだやかに済むまいと見ていると、それから二人のあいだに尖った声が交換されて、しまいには二つの影がもつれ合って動き出した。
半七捕物帳:11 朝顔屋敷 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
穏和おだやかというよりもむしろ無口な彼は、自分でそうと気がつかないうちに、彼に好意をもった夫人の口車くちぐるまに乗せられて、最も有利な方面から自分をみんなの前に説明していた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今年は必ず約をまむとなり。道遠ければ、祭の前日にいで立たむとす。かしまだちの前の夕には、喜ばしさの餘に、我眠のおだやかならざりしも、ことわりなるべし。
平和おだやか謂出いいいだせば、屠犬児は顔をげて、「何の雑作もござりませぬ。初手からそう出さっしゃれば、訳は無いに、余計なことに御騒ぎなされる。やれやれ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……姉さんは温和おだやかだから、ええええ御都合のいい時で結構。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
只、一体が穏当おだやかでない性質たちの処へ、料理人にほとんど共通な、慢心ッ気が手伝って到る所で衝突しては飛出す、一つ所に落着けず、所々方々をわたり歩いたものだ。
越後獅子 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
當番たうばん水夫すゐふからは何等なにら報告ほうこくうちけつして信じません。いわんや此樣こんな平穩おだやか海上かいじやう難破船なんぱせんなどのあらうはづい、無※ばかなツ。
先刻せんこくまではきはめて動搖ゆるぎ平穩おだやかであつた弦月丸げんげつまる何時いつにか甲板かんぱんかたむくばかりはげしき動搖ゆるぎかんじてるのであつた。
又その我慢が成らんならば、も少し妥当おだやかに事を為てもらひたかつた。私の方に言分のあると謂ふのは其処そこだ。言はせればその通り私にも言分はある。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
然し、貫一さん、う考へて御覧、まあ、私たちの事をどう思うてゐらるるか知らんが、お前さんの爾来これまで為方しかた、又今日のこの始末は、ちと妥当おだやかならんではあるまいか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
義人の妝飾そうしょくは「髪をみ金を掛けまた衣〔を着〕るがごとき外面の妝飾にあらず、ただ心の内のかくれたる人すなわちやぶることなき柔和にゅうわ恬静おだやかなる霊」
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
なんといふ靜穩おだやかな日だらう
(旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)