おだやか)” の例文
新字:
この大漁獲だいりようがあつたので、明日あすからは餓死うゑじに心配しんぱいはないとおもふと、人間にんげん正直せうじきなもので、そのゆめはいとやすく、あさ寢醒ねざめ何時いつになくむねおだやかであつた。
今年は必ず約をまむとなり。道遠ければ、祭の前日にいで立たむとす。かしまだちの前の夕には、喜ばしさの餘に、我眠のおだやかならざりしも、ことわりなるべし。
もしも、ふいと此の屍體を見たならば、誰にしたツて、おだやかに、やすらかに眠ツてゐるものとしか思はれぬ。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
すでよるふかく、くわふるに當夜このよなみおだやかにして、ふねいさゝか動搖ゆるぎもなければ、船客せんきやく多數おほかたすでやすゆめつたのであらう、たゞ蒸滊機關じようききくわんひゞきのかまびすしきと
さらば汝等は呪誼せられざるべし。我は實に此の如く思議せり。此の如く思議して、復たいのりの詞を出すことあたはずして寢たり。舟はおだやかに我夢を載せて、北のかたヱネチアに向へり。
我はわが辭退の理にかなへる、友の腹立ちしことの我儘に過ぎざるを信じたりき。されど或時は無聊に堪へずしてベルナルドオなつかしく、我詞の猶おだやかならざるところありしを悔みぬ。