穏和おだやか)” の例文
とにかく、仇敵討かたきうちってのは穏和おだやかじゃあねえ。次第しでえによっちゃ腕貸うでかししねえもんでもねえから、さあ行くべえ。
穏和おだやかというよりもむしろ無口な彼は、自分でそうと気がつかないうちに、彼に好意をもった夫人の口車くちぐるまに乗せられて、最も有利な方面から自分をみんなの前に説明していた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
穏和おだやかな声した親仁おやじは、笹葉にかくれて、がけへ半ばしゃがんだが、黒の石持こくもちの羽織に、びらしゃらばかまで、つり革の頑丈に太い、提革鞄さげかばんはすにかけて、柄のない錆小刀さびこがたなで、松の根を掻廻かきまわしていた。
と高らかに云って、穏和おだやか
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)