アンナ・セルゲーヴナの様子は見る眼もいじらしく、その身からは、しつけのいい純真な世慣れない女性の清らかさが息吹いていた。
かつては、余りに神格化されすぎた大楠公だったし、近来の研究では、その人を人間として息吹き返させる史料にも、じつに乏しい。
ローマの帝王的息吹きが彼の上を吹き過ぎたのだった。彼が多少感染してる当時のパリー芸術と同様に、彼は秩序を追い求めていた。
目に触れるものすべては、恐怖の姿をしていた。暗夜の広大な風の息吹きの下にあって、何物か身を震わさないものがあろうか!
あるいは、聖霊の息吹きを受けて、つめたい花びらをいちまい胸の中に宿したような気持ち。日本も、けさから、ちがう日本になったのだ。