“颷々”の読み方と例文
読み方割合
ひょうひょう100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
こうして、此方こなた、諏訪明神の、境内もいよいよ寂しくなり、嵐をはらんだ杉の梢が物凄く颷々ひょうひょうと鳴るばかり、他には生物いきものの声さえない。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
折から颷々ひょうひょうたる朔風さくふうの唸りが厳冬の闇をけ、空には白いものが魔の息吹いぶきみたいにちらつきだしていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのとき三木の城は、ふしぎな静寂にとらわれていた。墨のような一色の夜の底には、呼吸する人の気もなく、空には颷々ひょうひょうと影なく形なく舞う落葉の声が不気味にけめぐって——。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)