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湯船
などと、
猫撫聲で、
仰向けにした
小兒の
括頤へ、
動りをくれて
搖上げながら、
湯船の
前へ、ト
腰を
拔いた
體に、べつたりと
踞んだものなり。
しかし、そこは、もはや
雪が
深くて、
湯船は、
半分ほども、
雪に
埋まっていました。それですから、あたりには
彼らが
食べるような
餌が、いくら
探しても、
落ちているわけはなかったのでした。
と
言つたが、うつかり
手も
入れられない。で、ちよこんと
湯船の
縁へ
上つて、
蝸牛のやうに
這𢌞る。が、
飛鳥川の
淵は
瀬と
成つても、
此の
湯はなか/\ぬるくは
成らぬ。