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さら
ふりがな文庫
“
掠
(
さら
)” の例文
「ばかなやつだ」と六郎兵衛は手酌で飲んだ、「ちょっと油断をしてみろ、一ノ関がすぐに
掠
(
さら
)
ってゆくぞ、きさまは頭の悪いやつだ」
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「何、これが一番だ。入れ物などに入れて置いては、
際
(
すき
)
をねらって
掠
(
さら
)
って行かれてしまう、こうして置けば
奪
(
と
)
ろうたって奪れやしない」
幕末維新懐古談:42 熊手を拵えて売ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
あんな上等の足駄をあんな男にはいてゆかれるのも勿体なかったし、殊には中村のを無断で
掠
(
さら
)
ってゆかれたのが忌々しかった。
変な男
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
身代りとして舟へ飛びこんだ
莫蓮女
(
ばくれんもの
)
の口では、お艶は本所の殿様とやらに
掠
(
さら
)
われたとのことだったが、……どうしてるだろう? こう思うと
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
これから何だね、ゴーッて足まで
掠
(
さら
)
ってきそうな奴が吹くんだね。するとじきまた、白いのがチラチラ降るようになるんだ。旅を渡る者にゃ雪は一番御難だ。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
▼ もっと見る
僕の考えでは、黒田さんは、私を襲ったと同じ怪物に、いきなり
掠
(
さら
)
われたんだと思いますよ。あの怪物が、追っかけた黒田さんの身体を
掴
(
つかま
)
え、空中へ
攫
(
さら
)
いあげたのでしょう。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「さてはうぬが、この淫乱妾のお先棒になって、京弥どのを
掠
(
さら
)
ってまいったのじゃな」
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「生田からの
戻
(
もど
)
り
途
(
みち
)
で、
自暴酒
(
やけざけ
)
に酔った京極家の若侍どもが、お嬢様と私を押ッ取り巻き、私はこの通り浅傷を受けた上に、千浪様を
引
(
ひ
)
ッ
掠
(
さら
)
って
如意輪寺
(
にょいりんじ
)
の裏へ連れ込んで行きました」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、その衝動が、彼女の魂を形もあまさず
掠
(
さら
)
ってしまって、やがて鈍い目付きになり、それは、眠っている子供のように見えた。滝人は、その様子に残忍な快感でも感じているかのように
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
と少し籠が揺れ細い羽が風の中に
掠
(
さら
)
はれてゆく。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
「編笠をかぶっていたし、はなれていたのでよくわかりません、滝尾どのも、いきなり
掠
(
さら
)
われようとした、としか云いませんでしたが」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
途中でへんなやつに
掠
(
さら
)
われたがそれもまた、もうひとり変り種があらわれて取り返してくれた——あの一くせある、風格の乞食はいったい何者であろう?
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
にも拘らず、かような場所へそこ
許
(
もと
)
を
掠
(
さら
)
って参るとは、またどうしたことじゃ
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
どこかへ
掠
(
さら
)
ってゆかれたにしても、あとのほうならまず躯に別条はないだろう、人に知れないところに
匿
(
かく
)
まわれて、いかさま賽を
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
いってみれば縁もゆかりもないならず者が、ときどき踏み込んで来ては、うちの金や物を
掠
(
さら
)
ってゆく、というかたちであった。
枡落し
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「——あいつは江戸から来て、さんざっぱらわれわれを愚弄して、おまけに笙子嬢までひっ
掠
(
さら
)
って、そうして、ひらりといっちまったねえ」
半之助祝言
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
連れ去ったのは刑事だともいうし、半助がいかさま
賽
(
さい
)
を作っていたため、プロの賭博者たちが
掠
(
さら
)
っていったのだともいわれた。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すると、水の底にいる小魚が、みんなその輪に植えた曲げ釘にひっかかって来るので、底の小魚はきれいに
掠
(
さら
)
われてしまう。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すると、水の底にいる小魚が、みんなその輪に植えた曲げ釘にひっかかって来るので、底の小魚はきれいに
掠
(
さら
)
われてしまう。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
気もそぞろに、境内を
走廻
(
はしりまわ
)
ったけれど、早くも曲者たちは娘を
掠
(
さら
)
って逃げたらしい、どこに一人の姿もみつからなかった。
武道宵節句
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「みんな山霊さまに
掠
(
さら
)
われちまって、どこへ持ってゆかれるもんだか、死躰もみつからず、骨も残っちゃいねえのです」
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その事業がおもわく違いなら云うまでもなく
潰
(
つぶ
)
れるし、将来有望で発展性のあるものなら、たちまち大資本の手がのびてきて
掠
(
さら
)
われてしまうのだ。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「山川さんも文子と一緒に
掠
(
さら
)
われたらしい」龍介君は歯噛みをして
口惜
(
くや
)
しがった。そして若者の顔を
睨
(
にら
)
みつけながら
危し‼ 潜水艦の秘密
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そして欲しくなれば、ふじこやなをこのような娘たちを
掠
(
さら
)
って、
藁堆
(
こうたい
)
や
馬草
(
まぐさ
)
の中で思うままに寝る。それがおれの望みだ、四千余石の館も要らない。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「私も同様ですが、貴女や虎之助さんも危ないんです、いま詳しいことを話している暇はないが、兵部どの一味が、われわれを
掠
(
さら
)
おうとしているんです」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「河童第一号」と書いてあるからには、敬吉を
掠
(
さら
)
ったのも、やはりいま評判の「河童」の仕業にちがいない。
水中の怪人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「わかった、あのときの男だ」と新八は云った、「いつか向島の
土堤
(
どて
)
で、石川兵庫介さんに
掠
(
さら
)
われようとしたとき、駆けつけて来て助けた男だ、そうだろう」
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そこで電灯を消して撮影の邪魔をしたが、それと気づいて山川少将に扮装していた軍事探偵は、撮影したフィルムと文子を
掠
(
さら
)
って、
逸早
(
いちはや
)
くも逃亡したのである。
危し‼ 潜水艦の秘密
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「あいつはおれの誇りを食い名を食った、おれを世間から
剥
(
は
)
ぎ、友達から
掠
(
さら
)
った、おれにはもう一滴の血も残ってはいない、骨だけだ、それで、あいつは逃げた」
葦
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「おうさびいさびい」のろはわざとふるえ声で云いながら、市三の脇にある火鉢へいって
跼
(
かが
)
みこんだ、「一朱おっことしたうえに
財布
(
さいふ
)
をかっ
掠
(
さら
)
われたような心持だ」
源蔵ヶ原
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「つめ
賽
(
さい
)
は博奕の法度、場銭を
掠
(
さら
)
ったうえに
簀巻
(
すまき
)
にして川へ叩きこまれても文句の云えねえのが仲間の定法だ、——正さんの顔なら
凄味
(
すごみ
)
があってきっと
威
(
おど
)
しが利くぜ」
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
集めた。無理な遣繰りだったんだろう。そいつが
祟
(
たた
)
って卒中で倒れ、二日めにお亡くんなりなすった。すると高次のやつめ、その旦那の集めた金を
掠
(
さら
)
って消えやがった
夜の蝶
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「わしは初めからこの白髪首を
賭
(
か
)
けている。この首一つで廻座の幾人かを
冥途
(
めいど
)
へ
掠
(
さら
)
っていければ安いものじゃ。相手の多いほど首の値打も増す訳じゃでの。そうであろう」
三十二刻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「俗に神隠しとか、
天狗
(
てんぐ
)
に
掠
(
さら
)
われる、などということを申します」と或るとき吉塚が云った
その木戸を通って
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
こんどは別の下職が
箪笥
(
たんす
)
の中の物や少しばかり貯めた金を
掠
(
さら
)
って逃げた……おまえが生れたのはそのじぶんだったが、もともとあまり達者でもなかったおまえのおっ母さんは
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
今夜の
生贄
(
いけにえ
)
は五人だが、丁度これで五人目だから、これで役目も終った、あとは
掠
(
さら
)
って来た例の女を
肴
(
さかな
)
に朝まで呑み明そう——などと、不気味なことを低い声で話し合っている。
其角と山賊と殿様
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「いま帰ってゆきました」老人は
可笑
(
おか
)
しそうに
喉
(
のど
)
で笑った、「……面白い話を聞きましたよ、お留守宅にいたあの浪人共が、ゆうべ夜中に銭を
掠
(
さら
)
って逃げたということでございます」
内蔵允留守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かよを
掠
(
さら
)
って来たのはよけいかもしれないがあの人を死なせたからってべつに焼打ち以上の価値があるわけじゃない、そんなに云われるほどばかなまねをしてはいないと思いますがね
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「地図をかっ
掠
(
さら
)
ってきやした、
此方
(
こっち
)
へきて下さい!」
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「暴漢が現われて御老職を
掠
(
さら
)
っていった」という。
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
する覚悟まで決めたが、元の起こりは——伯母に
掠
(
さら
)
われた四十五両、それが返ったと思っちゃ悪いだろうか、これだけあれば小さくとも店が持てる、そしてお滝さん、……もしおまえに障りがないんなら、私と一緒に苦労を
金五十両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
……今度の手柄は、お天気安が
掠
(
さら
)
ったわけさ
初午試合討ち
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「崩れた石垣がどうかして、この家の土台の下に水の抜ける穴があいたんだろう、この音はそこから水の抜ける音だ、さっきよりずっと大きくなってるが、そうさ、こいつがもっと大きくなれば、この家はたぶんぶっ倒れるか、水に
掠
(
さら
)
われるかするだろうぜ」
暴風雨の中
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
掠
漢検準1級
部首:⼿
11画
“掠”を含む語句
掠奪
劫掠
掠取
剽掠
奪掠
雑兵劫掠
侵掠
寇掠
拷掠
掠傷
掠疵
掠奪焚焼
掠賊
掠過
掠領
攻掠
殺伐掠奪
殺損奪掠
盜掠
虜掠
...