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奴
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め
ふりがな文庫
“
奴
(
め
)” の例文
「何ぬかす、あんぽんたん
奴
(
め
)
。わいが寝こんでしもて、孫がどうなるもんか。ベンゲットの他あやんは、敲き殺しても死なへんぞ。」
わが町
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「……これはこれは……まだ御機嫌も伺いませいで……亭主の佐五郎
奴
(
め
)
で御座りまする。……何か女中が無調法でも……ヘヘイ……」
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「その通りだよ、親分、自分の本当の娘でないから、閑斎の海坊主
奴
(
め
)
、お澪を大旗本の何とかの
守
(
かみ
)
の
妾
(
めかけ
)
に差出すことを承知したんだ」
銭形平次捕物控:095 南蛮仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
熊「ヘン
嫉
(
そね
)
め、おたんちん、だがな八公、若大将にゃア気持が悪くなるてえことよ、阿魔
奴
(
め
)
でれ/″\しアがって、から
埓口
(
らちくち
)
アねえ」
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
汝
(
うぬ
)
野狐
奴
(
め
)
、また
来
(
う
)
せた。と得三室外へ躍出づれば、ぱっと
遁出
(
にげだ
)
す人影あり。廊下の
暗闇
(
やみ
)
に姿を隠してまた——得三をぞ呼んだりける。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
孫
奴
(
め
)
は、殊のほか短慮者ゆえ、御奉公を過っても、三度まで死罪のお
宥
(
ゆる
)
しをお含みおき下さるなら、差出しましょうといわれたそうな。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
此奴
(
こいつ
)
、
他妻
(
ひとづま
)
の寝室へ忍びこんだ姦夫……や、何ということだ、わしの友人でしかも子供のように齢の若いこの男を……淫婦
奴
(
め
)
が」
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
公園をさまよう若者達が「木馬館のラッパが、馬鹿によく響くではないか。あのラッパ吹き
奴
(
め
)
、きっと
嬉
(
うれ
)
しいことでもあるんだよ」
木馬は廻る
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
お
蔭
(
かげ
)
で
名誉
(
めいよ
)
は
助
(
たす
)
かった。もう
出発
(
しゅっぱつ
)
しましょう。こんな
不徳義
(
ふとくぎ
)
極
(
きわま
)
る
所
(
ところ
)
に一
分
(
ぷん
)
だって
留
(
とどま
)
っていられるものか。
掏摸
(
すり
)
ども
奴
(
め
)
、
墺探
(
おうたん
)
ども
奴
(
め
)
。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「たわけな武者修業
奴
(
め
)
、剣法では
汝
(
うぬ
)
には勝てぬけども、鎌の手の妙術、自然に会得した
滝之助
(
たきのすけ
)
だ。むざむざ
尻叩
(
しりたた
)
きを食うものか」
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「何だ。貴様たち。こちらは文字のある先生方じゃないか。下衆のくせに寄ってたかって、先生方に
反抗
(
はむか
)
うなんて、恥知らず
奴
(
め
)
が……。」
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
あの村のマルタ
奴
(
め
)
の妹のマリヤが、ナルドの香油を一ぱい満たして在る
石膏
(
せっこう
)
の壺をかかえて饗宴の室にこっそり
這入
(
はい
)
って来て、だしぬけに
駈込み訴え
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「馬鹿爺い
奴
(
め
)
。どこへでも往きゃあがれ。いずれ四文もしないガラス玉か何かだろう。あんな手品に乗って気を揉んだのは、馬鹿だった。」
橋の下
(新字新仮名)
/
フレデリック・ブウテ
(著)
息子が係りの刑事に連れられて、入ってきたのを見るや否や、いきなり大声で「こン畜生! この親不孝の馬鹿野郎
奴
(
め
)
!」と
怒鳴
(
どな
)
りつけた。
母たち
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
反対者の冷笑
熱罵
(
ねつば
)
もコヽを
先途
(
せんど
)
と
沸
(
わ
)
き上れり、「露探」「露探」「山木の婿の成りぞこね
奴
(
め
)
」「花吉さんへ
宜
(
よろ
)
しく願ひますよ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
船頭が「こいつ
奴
(
め
)
っ」と掛け声をかけながら、出刃庖丁の峯で彼の頭を叩くと、鰒は𥇥をぱちぱちさせて、まばたきをする。
飛沙魚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
淡々
奴
(
め
)
根が材木屋のむすこだけあつて、商才を弟子集めの上に
働
(
はたらか
)
して、門下三千と称してゐる。これがまづ、いまいましい。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
何と及ばぬながら一つ
競駈
(
かけくらべ
)
を試して見ようでござらぬかと言うと、野猪心中取るにも足らぬ守宮
奴
(
め
)
と蔑みながら、さようサ
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
オルクン
奴
(
め
)
は、わたくし共の様子を見て、疑はれたのだなと
暁
(
さと
)
つたものですから、仲間の槍を皆取り上げて、一束にして一人の男に渡しました。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
「ヨシ、ごろつき
奴
(
め
)
、死ぬまでやってやる」私はこう怒鳴ると共に、今度は固めた拳骨で体ごと奴の鼻っ柱を下から上へ向って、
小突
(
こづ
)
き上げた。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
だから、あなたがこの手紙を御覧になるときはその点でもユリ
奴
(
め
)
、運のいい奴! と私をゆすぶって下すっていいのです。
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「おお、ハンス
奴
(
め
)
。ナチスの旗を立てている。なに、モール博士、降服しろと信号を送っているぞ。な、なまいきな奴だ」
人造人間の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「へつ、
此
(
こ
)
の
弱蟲
(
よわむし
)
! そんなら
貴樣
(
きさま
)
らには、
何
(
なに
)
ができる。
此
(
こ
)
の
命知
(
いのちし
)
らず
奴
(
め
)
!」そして
肩
(
かた
)
をそびやかして
睨視
(
にら
)
めつけました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
「わざと求めて
邂逅
(
いきあ
)
ってやろう。そうだ北条内記
奴
(
め
)
に。そうして
彼奴
(
きゃつ
)
の眼の前で、思うさま大声で笑ってやろう。ゲラゲラゲラと崩れるように」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
日の暮れぬ前にあんたのお抱えのアルカーシカ
奴
(
め
)
を、ちょっとわたしに貸し下されて、わしの男ぶりを然るべくととのえさせては貰えんですかい。
かもじの美術家:――墓のうえの物語――
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
いいか、よく聞くがよい、恥知らず
奴
(
め
)
! すべてそれらの祝福は天に達せぬ前に落ち、神の処までのぼりゆくのはただ一つののろいのみであろう!
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
なんだと、このおしやべりもの
奴
(
め
)
。
俺
(
おれ
)
を嘘つきだなんて、一たい貴様、何だつてそんな悪口をいふんだ? そんなことをいふわけを言へ、もしわけを
孝行鶉の話
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
住所も刷ってないような怪し気な奴めが! と言わんばっかりの顔をしてフガ
奴
(
め
)
はジロジロと人の
手許
(
てもと
)
を眺めていた。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「人非人
奴
(
め
)
! 人非人奴! どれほどまで
執念
(
しふね
)
く
妾達
(
わたしたち
)
を、苦しめるのでございませう。あゝ口惜しい! 口惜しい!」
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「何と云ッて出たものだろう?」と
強
(
し
)
いて考えてみても、心
奴
(
め
)
がいう事を聴かず、それとは全く
関繋
(
かんけい
)
もない
余所事
(
よそごと
)
を
何時
(
いつ
)
からともなく思ッてしまう。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
塵埃
(
ほこり
)
が
積
(
たか
)
る時分にゃあ掘出し
気
(
ぎ
)
のある
半可通
(
はんかつう
)
が、時代のついてるところが有り
難
(
がて
)
えなんてえんで買って行くか知れねえ、ハハハ。
白丁
(
はくちょう
)
奴
(
め
)
軽くなったナ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
廊下に出してさえ置けば、狸
奴
(
め
)
が綺麗に
舐
(
な
)
めてくれる。それは至極結構だが、聖堂には狸が出るという評判が立ったもんだから、狸の
贋物
(
にせもの
)
が出来たね。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
殊に私らの仲間ではうっかり
羽織袴
(
はおりはかま
)
でも着用に及び、扇子を持って歩き出そうものなら、それこそ馬鹿
奴
(
め
)
と叱られる位の進歩をさえ示して来たのである。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
鵜呑
(
うの
)
みにして埋めて来た
哀
(
かな
)
しみが
抉
(
えぐ
)
りだされるのだ、「蝦夷のうぐいすめは季節の去就にまよっておるのじゃ、たわけもの
奴
(
め
)
が、
碌
(
ろく
)
なことはあるまいさ」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「然し、」と彼は
復
(
また
)
しても吉野が憎くなる。「アノ野郎
奴
(
め
)
、(有難う御座います。)とはよくも言ひやがつた!」
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
(三)ヒヤーこりゃ
如何
(
どう
)
じゃ。アノ四角
奴
(
め
)
、一夜の
中
(
うち
)
に八角に成りよった。この分でわまた明日わ、十角や二十角にも成るだろう、こりゃ
所詮
(
しょせん
)
叶
(
かな
)
わぬわイ。
三角と四角
(その他)
/
巌谷小波
(著)
番頭
奴
(
め
)
ジロリ我々一行の姿を見て、
忽
(
たちま
)
ち態度を一変し、無礼極まる言辞を
弄
(
ろう
)
して、別館という、梅毒患者ばかり押込めておく薄汚い
室
(
しつ
)
へ追い込もうとした。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
「なあんだ兵吉じゃねえか。
仁助
(
にすけ
)
も三吉もか。馬鹿野郎ども。我家さチャセゴに来る奴、あっか。馬鹿
奴
(
め
)
。」
手品
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「さてはその方、あらかじめ自分で
盗
(
ぬす
)
み、松の根元にかくし
置
(
お
)
いたものにちがいあるまい。
不届
(
ふとど
)
きもの
奴
(
め
)
!」
とんまの六兵衛
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
兎に角、そう言うから、じゃお宮という女
奴
(
め
)
、何を言っているのか、知れたものじゃない、と思いもしたが、まだ何処へも行きゃしないというので安心した。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「やい、この
騙
(
かたり
)
奴
(
め
)
、よくも、よくも、そんなことが云えたものだ、やい、手前がいくらそんなことを云って、ごまかそうとしたって、
乃公
(
おいら
)
の方には証人があるぜ」
立山の亡者宿
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
この化物
奴
(
め
)
と、矢庭に
右手
(
めて
)
に持ったる提灯を投げ捨てて、小僧の襟髪掴んで曳とばかりに投出すと、
傍
(
かたえ
)
のドンドンの中へ
真逆
(
まっさか
)
さまに転げ墜ちて、ザンブと響く水音
河童小僧
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかし
彼時
(
あのとき
)
親類共の
態度
(
そぶり
)
が
余程
(
よッほど
)
妙だった。「何だ、馬鹿
奴
(
め
)
! お先真暗で夢中に騒ぐ!」と、こうだ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
日本一のうつけ者
奴
(
め
)
、両方の腕がなくなって生きていても何になろうぞ、それにしても過去の戒行が
拙
(
つたな
)
いばかりに、貴様のような者を主人に持ったのが無念でならぬ
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「又来てやがる! 行かねえか、
騙
(
かた
)
り
奴
(
め
)
! 愚図々々してるとふん
捉
(
づかま
)
えて、つき出してやるぞ!」
掠奪せられたる男
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「それから——例の、軽輩の秋水党、こいつ
奴
(
め
)
が、又二の舞を演じて、某らを討取ろうと——」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
私が部屋に
這入
(
はい
)
ると絹のハンカチに涙の地図をかいた女が私の姿を見ると
罵
(
ののし
)
るように、妾は日本が憎い、妾の恋しい人を連れ出すのはこのインボスタ
奴
(
め
)
! このジャブです。
孟買挿話
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
「では、あの、前夜あの者
奴
(
め
)
をお
庇
(
かば
)
い遊ばしたことを、お詑びに参るのでござりまするか」
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「いや人でなし
奴
(
め
)
に、切腹を申しつける
廉
(
かど
)
はない。縛り首にせい。縛り首にじゃ。」
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
奴等の買いたいのは錫なんだ。いいか欲しいのは錫なんだぞ。馬鹿者
奴
(
め
)
! 分ったか
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
“奴”の意味
《名詞》
(やっこ)(家つ子の転)家来、家の子。
(やっこ)徳川時代における武家の下僕、中間。
(やっこ)徳川時代の侠客。
(やつ)人や物などをぞんざいに言う語。
(出典:Wiktionary)
“奴”の解説
奴(やっこ)は、江戸時代の武家の下僕のこと。『古事記』が編纂された古代においては奴は奴隷階級を意味したと考えられる。
(出典:Wikipedia)
奴
常用漢字
中学
部首:⼥
5画
“奴”を含む語句
彼奴
奴婢
奴隷
彼奴等
奴輩
何奴
奴等
奴僕
這奴
黒奴
奴凧
匈奴
守銭奴
此奴等
畜生奴
小奴
冷奴
農奴
渠奴
爺奴
...