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つぶね
おなじ
六八浅ましき
奴なりとも、
京は人の情もありと聞けば、
渠をば京に送りやりて、
六九栄ある人に仕へさせたく思ふなり。我かくてあれば
万に貧しかりぬべし。
父は磯良が
五九切なる
行止を見るに忍びず、正太郎を責めて
押籠めける。磯良これを悲しがりて、
六〇朝夕の
奴も
殊に
実やかに、かつ袖が方へも
私に物を
餉りて、
信のかぎりをつくしける。
赤穴、
母子にむかひて、吾が近江を
遁れ来りしも、雲州の
動静を見んためなれば、一たび
下向りてやがて帰り来り、
五一菽水の
奴に
御恩をかへしたてまつるべし。
五二今のわかれを給へといふ。