罅隙かげき)” の例文
ひる近く、船は珊瑚礁さんごしょう罅隙かげきの水道を通って湾に入った。S島だ。黒き小ナポレオンのいるというエルバ島である。
その頂は天を摩し、所々僅に一石塊をるべき罅隙かげきを存じて、蘆薈ろくわい若くは紫羅欄あらせいとうこれに生じたり。
「兄に歸れ、兄に歸れ」と、もう、さう決心したかの如く心で叫ぶと、おも荷をおろした樣に身が輕くなつた氣がする代り、自分と女なる物との間に、非常に大きな罅隙かげきが出來た。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
加ふるに絶崖の罅隙かげき穿うがちて鞺々だう/\深潭に落下する一小瀑あり。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
彼邊の壁に罅隙かげきありて、一の大なる物を安んず。手もて摸すれば銅のはちなり。その内には金銀貨を盛りて溢れんと欲す。われは此異境の異の愈〻益〻甚しきを覺えたり。
(相待上新しき地層の石にして、石灰分ある温泉の鹽類の凝りて生ずる所なり。)無花果樹いちじゆくはそのめぐりに枝さしかはし、野生の葡萄は柱頭迄ぢ上り、石質の罅隙かげきを生じたる處には