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紛
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ぷん
ふりがな文庫
“
紛
(
ぷん
)” の例文
大な
鋤
(
すき
)
を打込んで、身を横にして
仆
(
たお
)
れるばかりに土の塊を鋤起す。気の遠くなるような黒土の
臭気
(
におい
)
は
紛
(
ぷん
)
として、鼻を衝くのでした。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
といいながら、
衝
(
つい
)
と
起
(
た
)
ったから、何を
為
(
す
)
るのかと思ったら、ツカツカと私の前へ来て
直
(
ひた
)
と向合った。前髪が
顋
(
あご
)
に触れそうだ。
紛
(
ぷん
)
と
好
(
い
)
い
匂
(
におい
)
が鼻を衝く。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
竜之助は、また
首垂
(
うなだ
)
れて酒を飲み出す。怖ろしさから傍へ寄ったお松の
化粧
(
けしょう
)
の香りが
紛
(
ぷん
)
としてその酒の中に散る。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
其手袋を鼻の先へ押当てゝ、
紛
(
ぷん
)
とした
湿気
(
しけ
)
くさい
臭気
(
にほひ
)
を嗅いで見ると、急に
過去
(
すぎさ
)
つた天長節のことが丑松の胸の中に浮んで来る。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
疲れのせいか横になって、うつらうつらと眼を閉じていると、暫くして
紛
(
ぷん
)
と鼻を
撲
(
う
)
つ酒の香りがしました。それはあまりに芳烈な清酒の香りであります。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
家
(
うち
)
も
見窄
(
みすぼ
)
らしかったが、主人も
襟垢
(
えりあか
)
の附た、近く寄ったら
悪臭
(
わるぐさ
)
い
匂
(
におい
)
が
紛
(
ぷん
)
としそうな、
銘仙
(
めいせん
)
か何かの
衣服
(
きもの
)
で、
銀縁眼鏡
(
ぎんぶちめがね
)
で、汚い
髯
(
ひげ
)
の
処斑
(
ところまだら
)
に生えた、土気色をした、
一寸
(
ちょっと
)
見れば病人のような、陰気な
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
気の遠くなるような黒土の
臭気
(
におい
)
は
紛
(
ぷん
)
として、鼻を
衝
(
つ
)
くのでした……板橋村を離れて、旅人の群にも逢いました。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
兵馬も面を突き出して福松の耳に口をつけようとすると、
紛
(
ぷん
)
として白粉の匂いが鼻を打ちました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その時に、お銀様の鼻に触れたのは
紛
(
ぷん
)
として
腥
(
なまぐ
)
さい、いやないやな臭いであります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それさへあるに、土気の
襄上
(
のぼ
)
る
臭気
(
にほひ
)
は
紛
(
ぷん
)
と鼻を
衝
(
つ
)
いて、堪へ難い思をさせるのであつた。次第に葬られて、小山の形の土饅頭が其処に出来上るまで、丑松は考深く眺め入つた。叔父も無言であつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
戸をあけて一歩外へ出ると、
紛
(
ぷん
)
として血の香いが鼻を
撲
(
う
)
ちます。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
紛
(
ぷん
)
として立ちのぼる香りは椿油の香いであります。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
紛
常用漢字
中学
部首:⽷
10画
“紛”を含む語句
紛糾
紛紜
紛擾
紛々
紛失
紛雑
紛争
紛失物
紛雜
気紛
腹立紛
紛帨
見紛
氣紛
紛込
云紛
紛堊
天衣紛
大紛亂
雑然紛然
...