“ようやく”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
38.5%
踊躍23.1%
踴躍15.4%
妖薬7.7%
用役7.7%
要扼7.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その姿を煤煙と電燈の光との中に眺めた時、もう窓の外が見る見る明くなって、そこから土のにおいや枯草の匂や水の匂がひややかに流れこんで来なかったなら、ようやく咳きやんだ私は、この見知らない小娘を頭ごなしに叱りつけてでも、又元の通り窓の戸をしめさせたのに相違なかったのである。
蜜柑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ようやくく頂に着いた時、私たちは既に窯場にいるのを知った。
全羅紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
——後に、四童、一老が、自動車を辞し去った時は、ずんぐりとして、それは熊のように、色の真黒まっくろな子供が、手がわりに銃を受取るとひとしく、むくむく、もこもこと、踊躍ようやくして降りたのを思うと、一具の銃は、一行の名誉と、衿飾きんしょくの、旗表はたじるしであったらしい。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一たび槍ヶ岳や穂高岳に登った人は、日本アルプスに列座する大連嶺の、雪にひらめき氷にとがれる壮観に接して、北へ! 北へ! と、踴躍ようやくする自然崇拝者の、憧憬を持ち得られるであろう、それからそれへと、自然に対する愛慕と驚異の情を、有し得るようになるであろう。
上高地風景保護論 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
「このふみ御覧のころはわたしども夫婦はおしりに帆上げたあとと思召し被下度以下御不審を晴さむとてかいつまみ申述候大手住おおてずみにてお前さんをお見かけ申しあまり夫と生うつしなるまま夫の窮場を救わんとの一芝居打ちお前さんをくわえこみ夫の手をかりて妖薬ようやくをあたえかみの毛をあたって死んだと見せ夫の身代に相立申候段重々不相済あいすまずとは存候共これひとえに夫なる卍の富五郎を落しやらんわたしのこんたん必ずおうらみ被下間敷くだされまじくただただ合掌願上奉候金子些少には候えども一夜の悪夢の代としてなにとぞお納め被下度尚当夜あたりお手入のあるべきことはわたし共の先刻承知女房のわたしでさえ取違えそうなお前さんへお引合せ下すったは日頃信ずる五右衛門さまのれいけん夫の悪運のつよいところ今ごろ探したとて六日の菖蒲あやめ十日の菊無用無用わたしゃ夫とふたり手に手をとり鳴く吾妻のそらをあとにして種明しは如依件よってくだんのごとしお前さんも生々無事息災に世渡りするよう昨夜のことを忘れずに末永く夫ともども祈上申候あらあらかしく——卍女房巴のお若より。」
其方共儀忠節ちうせつの計ひとは申乍ら用役ようやく身分みぶんを以て家事不取締とりしまりいたし候段屹度叱り申付る
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こいつと目差した船があると、まずその進路を要扼ようやくし、ドンと大砲をぶっ放すのだ。だがそいつは空砲だ。つまり停まれという信号なのだ。それで相手が停まればよし、もしそれでも停まらない時には、今度は実弾をぶっ放すのだ。が、それとてもあてはしない。相手の前路へ落とすのだ。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)