踊躍ようやく)” の例文
私が最も愛読した書物は西田先生の『善の研究』であったが、私はそこにおいてかつて感じたことのない全人格的な満足を見出すことができて踊躍ようやく歓喜した。
語られざる哲学 (新字新仮名) / 三木清(著)
色の真黒まっくろな子供が、手がわりに銃を受取るとひとしく、むくむく、もこもこと、踊躍ようやくして降りたのを思うと、一具の銃は、一行の名誉と、衿飾きんしょくの、旗表はたじるしであったらしい。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それからは不平の事は日をうて加はつても、準備のはかどつて行くのを顧みて、慰藉ゐしや其中そのうちに求めてゐた。其間に半年立つた。さてけふになつて見れば、心に逡巡しゆんじゆんするおくれもないが、又踊躍ようやくするきほひもない。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)