“ぬる”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヌル
語句割合
80.7%
微温10.2%
4.5%
2.3%
1.1%
1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ぬるい、いや熱くさえある血潮が彼の二ノ腕までまみれさせ、彼は蒼白となったおもてに、その双眼を、じっと、ふさいだままにしていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
是においてか、情愛は會得ゑとくの作用にともなふがゆゑに、かれらのうちのうるはしき愛そのあつ微温ぬるさを異にす 一三九—一四一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「はア」と自分はぬるい茶を一杯すゝつてから、「それでですナア、今喞筒ポンプを稽古して居るのは?」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
北輝雄は未だ夏期なつぬるみの去らない光明を頭からいつぱい浴びながら、無細工な大きな卓机にもたれかゝつていゝ気持でうつとりしてゐた。やうやく三十分前ばかりに眼を醒ましたところだつた。
二人の男 (新字旧仮名) / 島田清次郎(著)
春雨や小磯の小貝ぬるるほど
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
岩のくぼみにたたえた春の水が、驚ろいて、のたりのたりとぬるうごいている。地盤の響きに、満泓まんおうの波が底から動くのだから、表面が不規則に曲線を描くのみで、くだけた部分はどこにもない。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)