“ぬくもり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
温気20.0%
微温20.0%
20.0%
温籠10.0%
温度10.0%
血温10.0%
體温10.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
埃つぽい白けた温気ぬくもりを蹴散らすやうに勇ましく、ところが矢張り悄々として兎も角然し間違ひもなく跳ね起きはして、ふやけた寝床を片附けてゐたら
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
唯有とある小路の湯屋は仕舞を急ぎて、廂間ひあはひの下水口より噴出ふきいづる湯気は一団の白き雲を舞立てて、心地悪き微温ぬくもりの四方にあふるるとともに、垢臭あかくさき悪気のさかんほとばしるにへる綱引の車あり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
御米およねは十時過じすぎかへつてた。何時いつもより光澤つやほゝらして、ぬくもりのまだけないえりすこけるやう襦袢じゆばんかさねてゐた。なが襟首えりくびえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
頭の中に籠ツてゐた夜の温籠ぬくもりを、すツかり清水せいすいまして了ツた、さて長火鉢ながひばちの前にすはると、恰で生まれ變ツたやうな心地だ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
次に手ばしこく蒲團をたたんで押入へ押籠む……夜の温籠ぬくもりは、二十日鼠はつかねづみのやうに動くお房のまほりと、中窓から入ツて來る大氣とにさまされて、其處らが廓然からりとなる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ぬかのように見えた粒は次第に太く長くなって、今は一筋ひとすじごとに風にかれるさままでが目にる。羽織はとくに濡れつくして肌着にみ込んだ水が、身体からだ温度ぬくもり生暖なまあたたかく感ぜられる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
七兵衛が死骸をかかえ起して、胸をくつろげて先ずその疵口をあらためると、からだはまだ血温ぬくもりがあった。
半七捕物帳:18 槍突き (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
番甲 申上まうしあげまする、こゝにパリスさまころされてさせられます、またロミオにも、また其以前そのいぜん死去みまかりましたはずのヂュリエットにも、體温ぬくもりのあるまゝ、あたらしくころされてをられまする。