ぬる)” の例文
一刻を争ひ寸陰ををしむ現代人にその様な手ぬるい形式をつて居る事は作者も読者も堪へ得ない事だ、今日こんにちなほ従来の文法を守つて居るのは馬鹿の骨頂こつちあうだと云ふ主張から
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「はア」と自分はぬるい茶を一杯すゝつてから、「それでですナア、今喞筒ポンプを稽古して居るのは?」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「耶蘇教の婚礼なんてナンチいう、フウタラ、ヌルイ(風多羅ふうたらぬるい? 自烈度じれったいの意)モンや」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「そればっかりじゃない。事件ことの起りが三月の十一日じゃろう。それから十二、十三と三日もっとるのに下手人がわからんとは余りにも手ぬるいちゅうて、大目付から矢の催促じゃ」