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押當
読み方 | 割合 |
おしあて | 66.7% |
おしあつ | 33.3% |
斯して置は殺生なり
然とて
生返らせなば又々旅人へ惡さをなす者共なれば
止めを
刺て呉んと鐵の棒の
先を
咽の
邊りへ
押當て
一寸々々と
葭で物を突く如く
手輕に止めを
いひさしてお
力は
溢れ
出る
涙の
止め
難ければ
紅ひの
手巾かほに
押當て
其端を
喰ひしめつゝ
物いはぬ
事小半時、
坐には
物の
音もなく
酒の
香したひて
寄りくる
蚊のうなり
聲のみ
高く
聞えぬ。
拔て胸先に
押當れどもお梅は
夫の事のみ心に
懸り
勿々怖るゝ
容子もなく
殺さば殺し給へ決して隨ふまじと
罵る
故粂之進は刀を
拔は拔たれども
素より殺す心なければ
納め
方に
困り居るを