釵子かざし)” の例文
衣桁いこうの下には、脱ぎっ放しの絹の寝衣ねまきやら、刺繍枕ぬいまくらが乱れていた。すずの燭台の明りが流れている床に、珠の釵子かざしが一本落ちているのを、宋江もチラと見た風だし、婆惜ばしゃくもはっと気がついた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
有難味も真の値打ねうちも……。よろしい、こん夜ここでの楮幣は、明日、わしの佐女牛の屋敷へ持参せい。——わが家の倉にある伽羅きゃら、油、そうの薬、白粉、唐織からおり、珠、釵子かざし、欲しい物と交易こうえきしてやる。