くん)” の例文
見て思ひも寄ず十兩に有付ありつく事と兩手をくんで樣々と思案しあんをしやゝしばらく有て思出しけん申樣澤の井殿の宿やどの村名は私しのおとうとの名の字を上へ付候樣におぼえ申候と云に其方のおとうとの名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
身動みうごきもせずじつとして兩足をくんすわつてると、その吹渡ふきわた生温なまぬくいかぜと、半分こげた芭蕉の實や眞黄色まつきいろじゆくした柑橙だい/\かほりにあてられて、とけゆくばかりになつてたのである。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
大勢にて追取卷くんほぐれつ戰ふ有樣善か惡かは分らね共若者のはたら凡人ぼんじんならず天晴の手練かなと感じながらに見て居たるに今大勢おほぜいの雲助にたゝふせられ已に一命も危く見ゆるゆゑかの武士は立上り何はともあれ惜き若者見殺しにするもなさけなしいざたすけて呉んときたえ上たるてつ禪杖ぜんぢやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)