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燻
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くん
ふりがな文庫
“
燻
(
くん
)” の例文
やがて江戸の
街
(
まち
)
も花に埋もれやうといふ三月の中旬、廣重の
鞠子
(
まりこ
)
の繪を見るやうに、空までが桃色に
燻
(
くん
)
じたある日のことでした。
銭形平次捕物控:197 罠に落ちた女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いつも変らぬことながら、お通は追懐の涙を
灌
(
そそ
)
ぎ、花を手向けて香を
燻
(
くん
)
じ、いますが如く
斉眉
(
かしず
)
きて
一時余
(
いっときあまり
)
も物語りて、帰宅の道は暗うなりぬ。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
腹を開いた
燻
(
くん
)
製の魚などが吊されているとすれば、誰あろうがこの家を、信心深い北海の漁家とみるに相違ない。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
山の朝暉やや黄
燻
(
くん
)
、空は朝焼けの気味。支度して乗鞍へ向う。雪前日よりさらにしまる。輪樏にかえて、天狗原神詞から真直ぐ乗鞍の斜面を登る。尾根に近く雪いよいよ固結。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
木村重成ら決死の出陣に香で身を
燻
(
くん
)
じた人多く、甚だしきは
平定文
(
たいらのさだぶみ
)
容姿言語一時に冠絶し「人の妻娘
何
(
いか
)
に
況
(
いわん
)
や宮仕へ人は、この人に物いはれざるはなくぞありける」(『今昔物語』)。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
また、客の身近には、これとて
綺羅
(
きら
)
な調度は何一つないが、さすがに上田城三万八千石の城主真田
昌幸
(
まさゆき
)
が次男の果て——そこはかとなく
燻
(
くん
)
じる香木のにおいも民間にない種類の名木らしい。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
道人
(
どうじん
)
は薄赤い絹を解いて、
香炉
(
こうろ
)
の煙に一枚ずつ、中の
穴銭
(
あなせん
)
を
燻
(
くん
)
じた
後
(
のち
)
、今度は
床
(
とこ
)
に懸けた
軸
(
じく
)
の前へ、丁寧に円い頭を下げた。軸は
狩野派
(
かのうは
)
が
描
(
か
)
いたらしい、
伏羲文王周公孔子
(
ふくぎぶんおうしゅうこうこうし
)
の四大聖人の画像だった。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
愛稱ガラツ八の八五郎が、お先煙草を五匁ほど
燻
(
くん
)
じて、
鐵瓶
(
てつびん
)
を一パイ
空
(
から
)
つぽにして、さてこんな事を言ひ出すのです。
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
燻
漢検1級
部首:⽕
18画
“燻”を含む語句
一燻
燻肉
蚊燻
燻蒸
黒燻
松葉燻
燻腿
燻製
燻銀
燻占
空燻
燻製鰊
余燻
燻々
銀燻
坐燻
股燻製
突燻
燻鰊
燻香
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