“くま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:クマ
語句割合
69.1%
24.6%
球磨2.1%
1.3%
0.6%
0.4%
久万0.4%
求麻0.4%
久摩0.2%
九万0.2%
玖満0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
さびしい風が裏の森を鳴らして、空の色は深くあおく、日の光は透通すきとおった空気に射渡さしわたって、夕の影が濃くあたりをくまどるようになった。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「このふえは、極楽ごくらくまでこえるだろうか。くまさんは、どうしたろう……。」などといって、子供こどもたちは、ふえいたのでありました。
熊さんの笛 (新字新仮名) / 小川未明(著)
鹿児島を出でて人吉ひとよしに入り、さらに自動車を駆つて球磨くま川沿ひの林温泉に泊ることにした。
八月の霧島 (新字旧仮名) / 吉田絃二郎(著)
彼は妻の枕もとに近づき、蛾を追い払って、あかりを消す前に、まぶしそうに目をつぶっている彼女の眼のまわりの黒ずんだくまをいかにも痛々しそうに見やった。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
そして無心で、いろいろの宝を、その小槌から打出しては、それを惜しげもなく鶴見に贈る。こういう考が鶴見の心のすみの、どこかのくまわだかまりはじめた。きものに魅せられたようである。
若水といふ事は去年こぞ御生気の方の井をてんして蓋をして人にくませず、春立つ日主水司もんどのつかさ内裏だいりに奉れば朝餉あさがれいにてこれをきこしめすなり、荒玉の春立つ日これを奉れば若水とは申すにや云々
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
この知事留任の希望は終に具体的の騒動となって、その先発は城下から七里離れた山分の久万くま山であった。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
(百樹曰、安寿は対王が妻なるよし塩尻廿二巻にいへり、猶考)西遊記(前編)景清かげきよつかは日向にあり、世の知る処なり。其母の塚は肥後国求麻くまの人吉の城下より五六里ほど東、切幡村きりばたむらにまつる。
瑠璃るりの空に弧を描いた久摩くまの峯や、群青ぐんじょうの岩絵具を盛り上げた筒井峠、由良の流れは繭糸をくずしたように山裾をめぐっていた——その広やかな視野からあつまって来る風が
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うちの賢夫人(……というのは母のことだが)と長女の千々ちぢ子さまは、葬式の手続きのため、匆々、東京へ転入したが、当主たる石田九万くま吉氏は、現職のまま海軍民政部の嘱託にひっぱられ
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
一方、桐野・篠原・池上隊などは、玖満くま(球磨)がわを下って八代やつしろへ向っています。西郷殿の所在はしかとわかりませんが、横川に宿営したのが事実のようであります。
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
顧みれば瀧口、性質こゝろにもあらで形容邊幅けいようへんぷくに心をなやめたりしも戀の爲なりき。仁王にわうともくまんず六尺の丈夫ますらをからだのみか心さへ衰へて、めゝしき哀れに弓矢の恥を忘れしも戀の爲なりき。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
皮膚の上にもう一枚皮膚ができたやうに、垢と脂とで汚れきつてゐるが、眼蓋まぶたや唇のぐるりだけ黒ん坊みたいにくまどつて生地の肌色が現れてゐた。
釜ヶ崎 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)