八月の霧島はちがつのきりしま
夜の汽車から浪に映る宮島の燭を見ようと思つてゐたが、旅の疲れですつかり眠つてしまつて、眼がさめたころは夜はすでに明けてゐた。中国特有の低い砂山の松の間には赤い百合の花が咲いてゐた。芒の穂につつまれた磯の、広い塩田には朝の露が重く、まだ人の影 …