にほ)” の例文
「咲く花のにほふがごとく今盛なり」と歌われたみ代に、何故このみ仏は受難の相貌を呈しているのであろう。何故、口辺の美しい微笑は消え去ったのか。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
あをによし寧楽ならみやこはなにほふがごとくいまさかりなり 〔巻三・三二八〕 小野老
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
天皇の御生涯しょうがいを偲ぶとき、私は一層その感を深くする。小野老朝臣おぬのおゆあそんが「あをによし寧楽ならの都は咲く花のにほふがごとく今盛なり」と詠じたように、天平のみ代はたしかに稀有けうの黄金時代であったろう。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)