“たきもの”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
薫物40.9%
焚物25.0%
薫香18.2%
燃料4.5%
度者2.3%
炷物2.3%
焚料2.3%
燻物2.3%
2.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
桜の色の直衣のうしの下に美しい服を幾枚か重ねて、ひととおり薫物たきものきしめられたあとで、夫人へ出かけの言葉を源氏はかけに来た。
源氏物語:19 薄雲 (新字新仮名) / 紫式部(著)
彼に取って「母」と云うものは、五つの時にちらりとみかけた涙をたゝえた顔の記憶と、あのかぐわしい薫物たきものの匂の感覚とに過ぎなかった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
無邪気に娘はよくねむっていたが、源氏がこの室へ寄って来て、衣服の持つ薫物たきものの香が流れてきた時に気づいて女は顔を上げた。
源氏物語:03 空蝉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
と一軒茅葺かやぶきの家の中で焚物たきものをすると見え、戸外おもて火光あかりすから、何卒どうぞ助けて呉れと叩き起しましたが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
龍泉寺の樹々も、ここの草木も、焚物たきものとして焚き尽し、立っているのは、風雨に黒くよごれた幾十りゅうかの菊水の旗ばかりであった。
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
漬物や穀類や焚物たきものや——ここへはいる時は必らずそういう蓄えを取り出しに来るのであるが、その生命いのちかては、常に途切れがちだった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゆるやかな風の通り通うごとに御簾みすの中の薫香たきものの香も梅花のにおいを助けるように吹き迷ってうぐいすを誘うかと見えた。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
居間に近い渡殿わたどのの戸をあけた時から、もう御簾みすの中の薫香たきもののにおいが立ち迷っていて、気高けだかえんな世界へ踏み入る気がした。
源氏物語:23 初音 (新字新仮名) / 紫式部(著)
奥の室から吹き通う薫香たきものの香に源氏の衣服から散る香も混じって宮のおいでになるあたりはにおいに満ちていた。
源氏物語:25 蛍 (新字新仮名) / 紫式部(著)
縄屑やゴミは燃料たきものになるので、土がまじらぬように、そっとかないと叱られる。
アド・バルーン (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「源、まだ起きてたのか。燃料たきものたいしだ。——寢かされ。」
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
兎角とかくは年長の人々を不快がらせずに、出来るだけの事をなすといふにとど度者たきものと存じ候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
炷物たきものいているのでもあろうか? 香料を身につけているのでもあろうか? 駕籠の中から形容に絶した、かんばしい匂いが匂って来た。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
置かば立派で神威を増し、伐らば二束三文の神林を、ことごとく一時に伐り尽させたところが、思うほどに売れず、多くは焚料たきものとするか空しく白蟻を肥やして、基本金に何の加うることなき所多し。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
人ごころの汚れの中よりかおり高き燻物たきものを神にささぐ
魚と蠅の祝日 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
今昔物語には、此の大臣もまた「形美麗に有様いみじきこと限りなし」「大臣のおん形ごゑ気はひたきものよりはじめて世に似ずいみじきを云々」と記しているので、われ/\は富貴と権勢と美貌と若さとに恵まれた驕慢きょうまんな貴公子を、直ちに眼前に描くことが出来る。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)