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焚物
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たきもの
ふりがな文庫
“
焚物
(
たきもの
)” の例文
粗末な食事にも堪え、冬の寒いなかに
焚物
(
たきもの
)
の乏しいのをも
厭
(
いと
)
わず、熱心にソルボンヌの大学へ通って、物理学の講義を聞きました。
キュリー夫人
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
龍泉寺の樹々も、ここの草木も、
焚物
(
たきもの
)
として焚き尽し、立っているのは、風雨に黒くよごれた幾十
旒
(
りゅう
)
かの菊水の旗ばかりであった。
日本名婦伝:大楠公夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
というのも、人間というやつが元来無精者で、腰をまげて地面から
焚物
(
たきもの
)
を拾うだけの才覚がないからさ。(エレーナに)そうじゃないでしょうか、ねえ、奥さん。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「差し上げたくはございますが、お湯を沸かす
焚物
(
たきもの
)
がございません」民弥はやっぱり相手にしない。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「じつにすばらしい温泉ですね、此だけのお湯を涌かすのには、余つ程
焚物
(
たきもの
)
が
要
(
い
)
るでせうなあ」
落語家温泉録
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
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焚物
(
たきもの
)
も良寛さんが、自分でかきあつめて来た、松葉や枯芝である。良寛さんは、それを少しづつ、ゆつくりかまどの中へ入れてやる。ちやうど
兎
(
うさぎ
)
に草を
喰
(
た
)
べさせるやうに。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
焚物
(
たきもの
)
の積んである小屋や、穀物の納屋、雑具小屋、その後ろは
蔬菜畠
(
そさいばたけ
)
で、裏手はよく手入れの行届いた梨や柿や葡萄や、梅、桃、杏子などの果樹がすくすくと枝をひろげている。
内蔵允留守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
此の
間
(
ま
)
に包を抱えて土手へ
這上
(
はいあが
)
り、無茶苦茶に
何処
(
どこ
)
を
何
(
ど
)
う逃げたか覚え無しに、畑の中や
堤
(
どて
)
を越して無法に逃げて
行
(
ゆ
)
く、と一軒
茅葺
(
かやぶき
)
の家の中で
焚物
(
たきもの
)
をすると見え、
戸外
(
おもて
)
へ
火光
(
あかり
)
が
映
(
さ
)
すから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お留 (それを察したやうに又うなづく。)いゝえ、どこでも
焚物
(
たきもの
)
には困るんですよ。この頃のやうに炭や薪が高くなつては、その日暮し同樣の者はまつたく凌げません。それで、實はね。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
漬物や穀類や
焚物
(
たきもの
)
や——ここへはいる時は必らずそういう蓄えを取り出しに来るのであるが、その
生命
(
いのち
)
の
糧
(
かて
)
は、常に途切れがちだった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして
焚物
(
たきもの
)
の中から松葉を拾つて来て、ほらよ、と鹿の仔の鼻先にさし出した。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
正面は粗末なる板戸の出入口。
下
(
しも
)
のかたには
土竈
(
どがま
)
、バケツ、
焚物
(
たきもの
)
用の枯枝などあり。その上の棚には膳、
碗
(
わん
)
、皿、小鉢、茶を入れたる罐、
土瓶
(
どびん
)
、茶碗などが載せてあり。ほかに
簑笠
(
みのがさ
)
なども掛けてあり。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ここ半年以上もたえて見なかった煙なども立ち昇った……城をつつむ唯一の目かくしとなる木立なども、惜し気もなく
伐
(
き
)
り下ろして
焚物
(
たきもの
)
にしている形跡がある。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
焚
漢検準1級
部首:⽕
12画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“焚”で始まる語句
焚
焚火
焚木
焚付
焚附
焚口
焚殺
焚落
焚死
焚出