かほり)” の例文
おかみさん、どうぞ、その花をお呉んなさい、その一つで三つの花、薔薇と鈴振花すゞふりばな茉莉花まつりくわの三つの香がするかほりの高い意地惡さうな花をさ。
わるい花 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
するど山颪やまおろしると、舞下まひさがくもまじつて、たゞよごとすみれかほり𤏋ぱつとしたが、ぬぐつて、つゝとえると、いなづまくうつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
金絲のぬひはくをした上衣うはぎきらめかして大買人おほあきんどもあれば、おもさうな荷物を脊負しよつてゆく人足にんそくもある、香料かうれうたへなるかほりり/\生温なまぬくい風につれてはなを打つ、兒童こども極樂ごくらくへでもつた氣になつて
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
其上そのうへやまか、をんなにほひか、ほんのりとかほりがする、わし背後うしろでつくいきぢやらうとおもつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さく出来栄できばえ予想よさうして、はなかほりひらめくひかりごと眼前がんぜんあらはれた彫像てうざう幻影げんえいは、悪魔あくまに、おびうばはうとして、らず、きぬかうとして、ず、いましめられてもなやまず、むちうつてもいたまず
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから障子しやうじうちそとで、はなしをしたり、わらつたり、それから谷川たにがは二人ふたりして、其時そのとき婦人をんな裸体はだかになつて、わし背中せなか呼吸いきかよつて、微妙びめうかほりはなびらにあたゝかつゝまれたら、そのまゝいのちせてもい!
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うやつて何時いつにやらうつゝともしに、う、不思議ふしぎな、結構けつこうかほりのするあツたかはななかへ、やはらかにつゝまれて、あしこしかたえりから次第しだいに、天窓あたままで一めんかぶつたから吃驚びツくりいし尻持しりもちいて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)