トップ
>
香
>
かんば
ふりがな文庫
“
香
(
かんば
)” の例文
実はあまり
香
(
かんば
)
しい話ではありませんが、若干おもしろいところもありますので、新年そうそう皆さんのお耳を汚させていただきます。
餅のタタリ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
海をも山をも原野をも
将
(
は
)
た市街をも、我物顔に横行濶歩して少しも屈托せず、天涯地角到る処に花の
香
(
かんば
)
しきを嗅ぎ人情の温かきに住む
空知川の岸辺
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
正義の宮殿にも往々にして鳥や鼠の
糞
(
ふん
)
が落ちていると同じく、悪徳の谷底には美しい人情の花と
香
(
かんば
)
しい涙の果実が
却
(
かえっ
)
て沢山に摘み集められる。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ショルは良いバリトンだが、アメリカ的でないので、レコードではあまり
香
(
かんば
)
しいことはない。バッハの『ミサ=ロ短調』のバリトンはこの人だ。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
磯野は一、二の官立学校の試験を、いつも失敗して、今通っている学校は、学課の程度が低く、卒業生の成績や気受けも
香
(
かんば
)
しい方ではなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
むなしき
槽櫪
(
そうれき
)
の間に
不平臥
(
ふてね
)
したる馬の春草の
香
(
かんば
)
しきを聞けるごとく、お豊はふっと
頭
(
かしら
)
をもたげて両耳を引っ立てつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
きみのお
手際
(
てぎわ
)
で
膳
(
ぜん
)
につけておくんなすったのが、見てもうまそうに、
香
(
かんば
)
しく、
脂
(
あぶら
)
の垂れそうなので、ふと思い出したのは、今の
芸妓
(
げいしゃ
)
の口が血の一件でね。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼が在る所、四囲みな彼が如き人を生ず、これ何に由りて然るか、
薔薇
(
ばら
)
の在る所、土もまた
香
(
かんば
)
しというに
非
(
あら
)
ずや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
百合子は、これから力になって貰いたいと思う勝見に、
香
(
かんば
)
しくない疑惑のあるのを情けないことに思いました。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
御存知の通り、蔦屋は上から順々に取られ申候。万一育ちても、祟りにて、
香
(
かんば
)
しきものには相成るまじく存申候。この辺のこと何卒よく/\お考え
被下度
(
くだされたく
)
候
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
もって一身一家の富をいたしたる者にして、世に名声も
香
(
かんば
)
しきことなれども、少壮の時より政府の官につき、月給を蓄積して富豪の名を成したる者あるを聞かず。
慶応義塾学生諸氏に告ぐ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ところが、それから又半年程経つと、今度は道子に対する
香
(
かんば
)
しからぬ風評が立ちはじめました。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
余り
香
(
かんば
)
しくない。がうまく行くだろう。小酒井不木が死んだ。惜しいことだ。日本のポウだと思っていたのに。横山有策も亡くなったと。躰を大事にしよう。金が欲しい。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
時には、謂ゆる一杯機嫌でもって、役所へのさばり出ることさえあるので、そうなっては神聖なお役所も台無しで、文字どおり
香
(
かんば
)
しからぬ空気に充たされてしまうのである。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
この崇高な山に対して嘲るような「浅間山から鬼が尻を出して、鎌で掻き切るようなおならをした」という意味の
香
(
かんば
)
しからぬ俚謡が時として村人の口の端に上るのは、爆発の際
山と村
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
急
(
にはか
)
にも飢ゑて
食
(
もの
)
ほしげなるに、
彼此
(
をちこち
)
に
六六
𩛰
(
あさ
)
り得ずして狂ひゆくほどに、
忽
(
たちま
)
ち文四が釣を垂るるにあふ。其の
餌
(
ゑ
)
はなはだ
香
(
かんば
)
し。心又
六七
河
伯
(
がみ
)
の
戒
(
いましめ
)
を守りて思ふ。我は
仏
(
ほとけ
)
の御弟子なり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
香
(
かんば
)
しい
樅
(
もみ
)
の木のまわりで、一条の日の光の中で、物狂わしく回転してる昆虫のロンド、蚊のファンファーレ、
地蜂
(
じばち
)
のオルガンの音、木の
梢
(
こずえ
)
に鐘のようにふるえてる野蜂の集団の音、または
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
上州
花隈
(
はなくま
)
の城主として、天狗飛切りの秘術を編み出し、当時
芳名
(
ほうめい
)
香
(
かんば
)
しいところの、戸沢山城守より伝授されたる小太刀潜入飛燕の術もて、岩に手を掛け枯木に縋りまたは空中を両手で
煽
(
あお
)
ぎ
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
爾のしろしめすごとくわが夫に天地の
正気
(
せいき
)
鍾
(
あつま
)
るあり、その壮宏たる富嶽のごとく、その
香
(
かんば
)
しきこと
万朶
(
まんだ
)
の桜のごとく、その
秀
(
しゅう
)
その
芳
(
ほう
)
万国ともに
儔
(
たぐい
)
し難し、我
如何
(
いか
)
にしてこの夫を欺くべけんや
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
西涼
(
せいりょう
)
(
甘粛省
(
かんしゅくしょう
)
・蘭州)の地にある
董卓
(
とうたく
)
は、前に黄巾賊の討伐の際、その司令官ぶりは至って
香
(
かんば
)
しくなく、乱後、朝廷から罪を問われるところだったが、内官の十常侍一派をたくみに買収したので
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秋立つや
白湯
(
さゆ
)
香
(
かんば
)
しき施薬院
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
よしんば自分の過去には
香
(
かんば
)
しからぬ歴史があっても、一子久吉はまぎれもない水野家の嫡流、当然家をつぐべきはこの子供だ。
明治開化 安吾捕物:11 その十 冷笑鬼
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
余
(
あんま
)
り
香
(
かんば
)
しい発見じゃございませんわね。
然
(
そ
)
う承われば、あなたは以前から聾耳だったかも知れませんよ。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
いわんやまた
阿母
(
あぼ
)
老健にして、新妻のさらに
愛
(
いと
)
しきあるをや。葉巻の
香
(
かんば
)
しきを吸い、陶然として身を安楽椅子の安きに託したる武男は、今まさにこの楽しみを
享
(
う
)
けけるなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
尤も、要屋で聽くと、決して
香
(
かんば
)
しい方ではなく、他家から入つて家督に直つた主人の山之助などは、口を極めてといふ程でなくとも、こと毎に久吉の陰險さをほのめかします。
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
巴里
(
パリー
)
にも
倫敦
(
ロンドン
)
にもあんな大きな、そしてあのやうに
香
(
かんば
)
しい
蓮
(
はす
)
の花の咲く池は見られまい。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
香
(
かんば
)
しい、暖かな、とろりとした、春の野に
横
(
よこた
)
わる心地で、枕を逆に、掻巻の上へ寝巻の腹ん
這
(
ばい
)
になって、蒲団の裙に乗出しながら、
頬杖
(
ほおづえ
)
を支いて、
恍惚
(
うっとり
)
した
状
(
さま
)
にその菫を見ている内
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
だがその報告の内容は、キンギン国にとって、あまり
香
(
かんば
)
しいものではなかった。
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
師匠も銀子の口車に乗り、やがて大弓場を処分して、藤本へ入って来たのだったが、入れてみると、ちぐはぐの親父と、銀子の
所思
(
おもわく
)
どおりに行かず、師匠の立場も
香
(
かんば
)
しいものではなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
只
餌
(
ゑ
)
の
香
(
かんば
)
しきに
昧
(
くら
)
まされて、
釣
(
つり
)
の糸にかかり身を
亡
(
うしな
)
ふ事なかれといひて、去りて見えずなりぬ。不思議のあまりにおのが身をかへり見れば、いつのまに
鱗
(
うろこ
)
金光
(
きんくわう
)
を備へてひとつの
鯉魚
(
りぎよ
)
と
化
(
け
)
しぬ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
その
春
(
はる
)
来
(
きた
)
るごとに余に永遠希望の雅歌を歌いくれし
比翼
(
ひよく
)
を
(
ママ
)
有する森林の親友も、その菊花
香
(
かんば
)
しき頃
巍々
(
ぎぎ
)
として千秋に
聳
(
そび
)
え常に余に愛国の情を喚起せし
芙蓉
(
ふよう
)
の山も、余が愛するものの失せてより
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
文藝春秋新社は意外にも紳士淑女のたむろするところで、礼節の念は
嫩
(
ふたば
)
より
香
(
かんば
)
しく、かりそめにも筆者に激動を与えるような饒舌をもらさない。
巷談師
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「いや、惜しまれている中にやめるのが花です。冠婚葬祭博士、
余
(
あんま
)
り
香
(
かんば
)
しい地位じゃありません」
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ホーレンシュタインも
香
(
かんば
)
しくない。その他夥しい指揮者があるが、語るに足るものはない。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
巴里
(
パリー
)
にも
倫敦
(
ロンドン
)
にもあんな大きな、そしてあのように
香
(
かんば
)
しい
蓮
(
はす
)
の花の咲く池は見られまい。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
大通
(
おおどおり
)
へ抜ける暗がりで、甘く、且つ
香
(
かんば
)
しく、
皓歯
(
しらは
)
でこなしたのを、口移し……
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、その結果は
香
(
かんば
)
しくなかった。
断層顔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
面相は
香
(
かんば
)
しからぬものがあったが、悠々たるその態度。余が感じたのは「馬力」の一語につきる。余は戦場の兵隊にもかかる馬力を感じたことはなかったのである。
決戦川中島 上杉謙信の巻:――越後守安吾将軍の奮戦記――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
その後、声も若さも失ったファーラーは再度オペラに復帰の望みを絶たれ、コンサートとレコードへの復活を心がけたが、少くともレコードの方は
香
(
かんば
)
しいことがなかったようだ。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
「閑話休題に願いまして、斯ういう具合に、偉人は和漢洋ともに幼少の頃のことを忘れません。普通の人間とは違っています。
栴檀
(
せんだん
)
は二葉より
香
(
かんば
)
しい。菊太郎君、さあ、どうだね?」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
通
(
とおり
)
一つの裏町ながら、
撒水
(
まきみず
)
の跡も夢のように白く乾いて、薄い
陽炎
(
かげろう
)
の立つ
長閑
(
のどか
)
さに、彩色した貝は一枚々々、甘い蜂、
香
(
かんば
)
しき蝶になって舞いそうなのに、ブンブンと
唸
(
うな
)
るは
虻
(
あぶ
)
よ、口々に
喧
(
やかま
)
しい。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
専ら利得の
香
(
かんば
)
しからぬ奔命に終始して、信長の長大をはかるために犬馬の労を致したのである。
二流の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
もっとも、要屋で聴くと、決して
香
(
かんば
)
しい方ではなく、他家から入って家督に直った主人の山之助などは、口を極めてというほどでなくとも、ことごとに久吉の陰険さをほのめかします。
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
香
(
かんば
)
しくない事に相場が
定
(
きま
)
っている。精々上等のところで何か小面倒な調査を明日の今頃までになぞと言って仰せつけられる。然もなければお小言だ。罷り間違えば一番いけないことかも知れない。
小問題大問題
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
怪しまれて
誰何
(
すいか
)
を受けることがあれば、鶏や鼠のなき声を真似ることも古い習いとなっていたが、時々はまた、お楽しみなことでしたね、などと、通人のものとも見えぬ
香
(
かんば
)
しからぬことを言って
紫大納言
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
香
(
かんば
)
しいことでない。困ったものだと思って、妻にも話した。
四十不惑
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
あまり
香
(
かんば
)
しい収穫もなかった様子です。
銭形平次捕物控:116 女の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
スカウトとしては名声があるが、その私生活は、はなはだ世評の
香
(
かんば
)
しくない男だ。銀座にキャバレーを経営しているが、ここまで云えば、あとはアッタリマエでしょう、説明がいらぬという人物。
投手殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「
栴檀
(
せんだん
)
は二葉より
香
(
かんば
)
しかったんですな」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「今度のは余り
香
(
かんば
)
しくないんですか?」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
“香”の解説
香(こう、en: incense)とは、本来、伽羅、沈香、白檀などの天然香木の香りをさす。そこから線香、焼香、抹香、塗香等の香り、またこれらの総称として用いられる。お香、御香ともいう。
(出典:Wikipedia)
香
常用漢字
小4
部首:⾹
9画
“香”を含む語句
香花
香物
名香
香気
薫香
香油
香料
鬱金香
麝香
芳香
香水
茴香
香炉
沈香
涙香
香煎
香箱
香染
香具
香山
...