あつた)” の例文
紅葉を焚いて、ふすふすと白うくすぼる煙のかげで、あつたかいぞと私がかがめば、妻も双手もろてをかざして蹲む。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
五六歩あるくと、智惠子の柔かな手に、男の手の甲が、木の葉が落ちて觸る程輕く觸つた。寒いともあつたかいともつかぬ、電光の樣な感じが智惠子の腦を掠めて、體が自ら剛くなつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
りますけれども、只今、なにかおあつたかいものでもさう申して参りますですから……
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「親分、矢張りあの小僧があつためてましたよ」
あつたかにしましたからお休みなさいな。
鉄の死 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
御飯ごはんくろうてもあつたかい
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
あつたかさうなさらに!
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
『その着物を絞つて下さい、日向さん、いや、それよりあつためてやらなくちや。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
あつたかい
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
『その着物を絞つて下さい、日向さん、イヤ、それよりあつためてやらなくちや。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『構ひません。冷くて氣持が好いですよ。さ、もう泣かなくて可い、好い兒だ! 好い兒だ!……イヤ、うしてるよりや家へ歸つて寢かした方が好い。ませう日向さん! 此儘お送りしますから。あつためなくちや、惡い!』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)