あたゝま)” の例文
ヤクツク人は夜通し煖炉を焚いてゐるが、それでもあたゝまりは長くは持たない。だから夜中に寒くなると、誰か早く目の醒めたものが薪をくべ足すのである。
ながらく往き来をしない二人のいはゆる旧交があたゝまつて、度々神田へ出てくるなら、それぢや、昼休みにでも寄れといふので、彼は、名刺を渡しておいたのである。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
○さて幽霊はかげも見えず、源教げんけうあたゝまりて睡眠ねふけをもよほし、居眠ゐねふりしつゝつひに倒れんとして目をひらきしに、お菊が幽霊いうれい何時いつきたりてほとけむかひ、まうけたる新薦あらこもの上にすはかしらたれてゐたり。