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温
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ぬ
ふりがな文庫
“
温
(
ぬ
)” の例文
生
温
(
ぬ
)
るいものがこみ上って来たかと思うと、ドロッと口の中に咳出された。吐くと、白い砂の上に鮮やかに赤かった。頭上で声がした。
ひとりすまう
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
マルセーユへ上陸した夜、足の強直病にかかり腕を支えてくれたのも、この同じ黄鼬鼠の外套の
温
(
ぬ
)
くさだったと彼は思った。
旅愁
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
岩の軒からは私達を
匝
(
めぐ
)
って雨垂れが太い水晶簾を懸る。それを水呑に受けて渇いた喉を潤した。
温
(
ぬ
)
るいが旨い味だ。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
草紅葉まだ
温
(
ぬ
)
くけれど、その
上
(
へ
)
にも落葉うごけり。向ひ山、こなたの小丘、見るものはみな枯木のみ。
観想の時:――長歌体詩篇二十一――
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
温
(
ぬ
)
く
温
(
ぬ
)
くと午後の日影は、松林の中にもさし込めば、此山肌の黄褐色の上をも照らしてゐる。
山岳美観:02 山岳美観
(旧字旧仮名)
/
吉江喬松
(著)
▼ もっと見る
そして、冴えてゐるがしだいに
温
(
ぬ
)
くもりの増して来る日は、何だかのうのうと、つまり誰もゐないので日そのものが路一杯にひろがつて
日向
(
ひなた
)
ぼつこをしてゐるみたいであつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
五月の陽光は原っぱの隅々から私たちの懐中から、シャツの中まで満ちてしまい、ある
温
(
ぬ
)
くさがわけのわからぬ悩ましさを感ぜしめ、のどを渇かさしめ、だるく疲らしてくれた。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
「
温
(
ぬ
)
くうなって歩きよいせに、ちっと東京見物にでも連れて行って貰おういの。」
老夫婦
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
さういふ未来を浮べながら、まだうで立てで
温
(
ぬ
)
くまつてゐるその皮をむいた。
続重病室日誌
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
慈愛の炎は、
凍
(
こご
)
えきッていた五体を、母のふところのように
温
(
ぬ
)
くめてくれた。閉ざされていた氷心は春に逢い、人心地をよびさまされた。赤々と見える
周
(
まわ
)
りの顔は、みな美しい好い顔に見えた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
飛び込みながら「
箆棒
(
べらぼう
)
に
温
(
ぬ
)
るいや」と云った。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
厨房
(
くりや
)
のやうに
温
(
ぬ
)
くいことが知れた
わがひとに与ふる哀歌
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
草紅葉まだ
温
(
ぬ
)
くけれど、その
上
(
へ
)
にも落葉うごけり。向ひ山、こなたの小丘、見るものはみな枯木のみ。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
橇の脇板へ肱をついている矢代の指先だけ、千鶴子の肩の外套の毛に触れ
温
(
ぬ
)
くかった。
旅愁
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「この方が
温
(
ぬ
)
くうてえい!」
老夫婦
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
「えらい
温
(
ぬ
)
るそうでんな」
秋深き
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
谿くまの
湿地
(
しめち
)
に生ふる
鼬羊歯
(
いたちしだ
)
かすかなる
陽
(
ひ
)
の
温
(
ぬ
)
くもりにあり
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
泥酔漢
(
のんだくれ
)
のおくびと、
殺人
(
ひとごろし
)
の
温
(
ぬ
)
るい
計画
(
たくらみ
)
とにふりそそぐ雨。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
魚すくふ童が
叉手
(
さで
)
の水あかりほの
温
(
ぬ
)
るむらし尻はからげつ
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
灰色
(
はいいろ
)
黄
(
き
)
ばむ
小蒸汽
(
こじようき
)
の
温
(
ぬ
)
るく、まぶしく
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
饐
(
す
)
え
温
(
ぬ
)
るむ
空
(
そら
)
のをち、
薄
(
うす
)
らあかりに
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
大理石
(
なめいし
)
の
苦悩
(
なやみ
)
に
湯気
(
ゆげ
)
は
濃
(
こ
)
く、
温
(
ぬ
)
るく
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
温
常用漢字
小3
部首:⽔
12画
“温”を含む語句
温順
温和
温泉
温柔
温気
生温
微温
温暖
温習
温味
温雅
微温湯
温泉宿
温泉場
温厚
温室
温湯
温石
温突
温度
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